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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2018/04/15 (Sun)
あらためて確認しておきますが、
ジミ・ヘンドリックスが
メジャーデビューしたのは1966年12月、
逝去したのが1970年9月18日、
活動期間は4年にも満たない短さです。

その間に発表した作品は、
ベストアルバムを除き、アルバムが4枚、
シングルが5枚…
そして、映像に記録された、
いくつかのライヴ・パフォーマンス…
これが公式には、
ジミヘンのすべてということになります。

しかし、
この間に彼は、
その後のエレクトリック・ギターのあり方を提示し、
死後およそ半世紀が過ぎようとしている現在でも、
人々に影響を与え続けています。

そして、
限られた記録からだけでは、
彼の真意を読み解くことができず、
未発表の音源や映像が発掘されるたびに、
新たな検証が加えられ、
ようやく、
少しずつ実像が見えるようになってきた、
というところでしょうか。

歴史上、
このようなミュージシャンは他に例がなく、
月並みな表現ですが、
孤高の天才とでも呼ぶしかありません。

そんなジミヘンですが…

じつは、
スタジオ・ワークが好きだった、
ということがわかっていて、

自身でスタジオを所有しただけでなく、
(エレクトリック・レディ・ランド)
ヒラメクものがあるとすぐに録音し、
そこで最新の機材(エフェクター)を試しながら、
曲のイメージを創り上げていったようです。

彼にとって、
エフェクターとスタジオ・ワークに長けたエンジニアは、
とても重要だったといえます。

3月中旬に発売されたジミヘンの最新作、
『BOTH SIDES OF THE SKY』は、
そんな彼が信頼したエンジニア、
エディ・クレイマーが制作に携わった、
未発表音源集です。

ジミヘンの未発表音源集といえば、
1970年代には多数発売されていて、
それこそ玉石混交の状況でした。

その多くは、
おそらく本人が生きていたら、
100%世にでることはなかったであろう、
と思われる作品ばかりでしたが、
何枚か素晴らしい内容のものがあったことも事実です。

例えば、
逝去していなかったら、
次のスタジオ・アルバムになる可能性が高かった、
とまで言われた『CRY OF LOVE』は、
まさにその話が真実であったと思わせる内容であったし、
ライヴ音源集の『THE JIMI HENDRIX CONCERTS』などは、
邦題そのままの(邦題は『炎のライヴ!! 68〜70』)
火を噴くようなパフォーマンスの連続に圧倒されたものです。

その後、
1990年代に入り、
ジミの遺族が版権を管理するようになってからは、
未発表音源も整理され、
以前のような混乱した状況は解消されました。
(一方で、『CRY OF LOVE』はタイトルが変わり、
2枚組になってしまい、
『THE JIMI HENDRIX CONCERTS』は廃盤のままで、
少々残念だったりもします…)

今回発売された、
『BOTH SIDES OF THE SKY』は、
その2枚に匹敵するような素晴らしい内容でした。

まず何が素晴らしいといって、
エディ・クレイマーが関わっているせいか、
圧倒的に音質がよいことが挙げられます。

おかげで、
あちこちで使用ギターやアンプ、
それからエフェクターの種類などが議論されています。

次に、
先ほど述べたように、
スタジオ好きのジミが、
かなりギターを重ねている曲と、
ジャムっぽい、
作曲の原型と思われるものがバランスよく収録されていることです。

ジャムといえば、
バンド以外のミュージシャンが参加している曲もあり、
こちらは違った楽しみ方ができます。

オープニングは、
マディ・ウオーターズでおなじみの、
「Mannish Boy」を、
ストラトとユニ・ヴァイブの組合せで、
派手にアレンジしています。
(ヤードバーズのカヴァーより派手です)

続く「Lover Man」は、
BBの「Rock Me Baby」を倍速でアレンジしており、
(映画『天才ジミ・ヘンドリックスの生涯』のオープニングで有名)
こちらはハムバッキングPUのギター(おそらくSG)
を使ってシンプルなオーヴァードライヴだけで弾いています。

どちらもピッキングの音が聴こえるほど、
クリアな音質で、
まずは、
この2曲に圧倒されてしまいます。

そして、
ジミがスタジオで作り込んだ音として、
「Stepping Stone」と「Power Of Soul」は、
ポップスの主流が16ビートになった、
現代でも十分に新鮮に聴こえるナンバーです。

どちらもジミの最後期の録音であり、
「もし、あそこで逝去しなかったら…」
と想いを馳せてしまいます。

「Send My Love To Linda」と「Cherokee Mist」は、
まだ曲として成立していない段階ではあるものの、
ジミのギターだけ聴いてみれば、
もう完成の領域に入ったことを伺わせる、
貴重な音源。
ヴィブラフォンが入った、
歌なしの「Angel」である「Sweet Angel」と合わせて聴くと、
たいへん興味深いものが感じられます。

やはり、抜群にギターうまいですね。

バンド以外のメンバーとのセッションでは、
ステファン・スティルスと2曲、
(1曲でジミはベースを弾き、ギターを弾いていない)
ジョニー・ウィンターと1曲、
そしてサックス奏者のロニー・ヤングブラッドと1曲、
となっていて、
ジミがゲストを引き立てる側に回り、
控えめなプレイに徹しているおかげで、
それぞれの持ち味を楽しむことができます。

ということで、

予想以上によい出来であった
『BOTH SIDES OF THE SKY』は、
うれしい誤算でしたが、
あらためてジミ・ヘンドリックスの偉大さに触れ、
研究意欲が旺盛になってしまった、
今日この頃ではあります。

この方はもう、
バッハやベートーベンのレベルですよ。

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★ ILLUSTRATION BY nyao