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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
55
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2008/04/07 (Mon)


「現役のギタリストで誰が好きですか?」
と尋ねられたら、
別格のジェフ・ベック師匠はさておき、
私は迷うことなく、
パット・メセニーの名前を挙げます。
すると、ほとんどの場合、
「フュージョンが好きなんですね?」
という答えが返ってきます。
どうやら世間一般の常識では、
パット・メセニーは、
“軟弱フュージョン野郎”の一味だと思われているようです。

(※注:軟弱フュージョン野郎とは、
○ー・○トナーやラ○ー・○ールトンに代表される、
これ見よがしなテクニックでギターを弾きたおし、
ジャズがどーしたと屁理屈をこねる、
やたら耳ざわりのよいメローな音楽をやる輩のことである。
ファンのみなさん、どーもすいません。)

かくいう私も長い間、
パット・メセニーのことを、
“軟弱フュージョン野郎”の一味だと思い、
あえてその存在を無視していたのでありました。

ところが、
1980年代の中頃、
初めて耳にした彼のサウンドは、
簡単に私の固定観念を砕いてしまいました。
まさに、百聞は一聴に如かず…。

そのサウンドは、
ギターシンセと思われる音で、
ジャズというよりは映画音楽のような雰囲気を演出し、
後半になると、
アコースティックギターを使って、
フラメンコもどきのフレーズを弾きまくるという展開の、
まったくもって予想不可能な、
たいへん前衛的な一品でした。

印象的だったのは、
そのサウンドを聴いていると、
景色が見えてくるというか、
映像が浮かんでくるというか、
たいへん視覚的なイメージに支配されることでした。

これが、
彼の作品を語る上で、
たいへん重要なポイントであることを、
私は後に知るのでありました。

それからほどなくして、
今度はあるジャズフェスティバルに出場した際の、
彼のライブ映像を見る機会がありました。

これはまた、
初めて聴いたサウンドとは違い、
かなり音響効果を強調した音でした。
そして、
このとき初めて、
ステージ中央で、
鋭いハーモニクスを連発する、
自宅にいるようなラフな服装の、
パット・メセニーの姿を拝したのです。

ジャズフェスティバルでジャズを演奏しないギタリスト。
普段着で神々しい演奏をするギタリスト。
私は俄然、パット・メセニーに興味を持ちました。

ところが、
いざアルバムを購入しようとしたところ、
ものすごい数の作品が出ていて、
(じつは、彼は多作で有名です。)
また作品に関する情報も少なかったため、
どこから聴いたらよいものか皆目見当がつかず、
すぐに研究活動をあきらめてしまいました。

おかげで、
その後、
2004年に、
彼自身の選曲によるベストアルバムが出るまで、
私のパット・メセニー研究は頓挫してしまったのでした。

さて、
ベストアルバムを聴いて、
いろいろな情報を整理して、
彼の活動の全貌が明らかになってみると、
あらためてその多才ぶりに驚かされることになりました。

パット・メセニーの音楽活動は大きく分けると、
1,自身のグループによる活動(4人以上の編成)
2,トリオによる活動
3,完全なソロ活動(1人で演奏する)
4,他のミュージシャンとのコラボレーション
ということになります。

このうち、
ジャズっぽいのは2と4で、
1と3については何でもアリの、
自由奔放なサウンドに仕上がっています。
とくに3については、
アコースティックギターだけとか、
ディストーションギターだけ(?)とか、
こんなのアルバムにしていいの?
という内容のものまで含まれております。
常識的に考えると、
とても同じ人間の作品とはにわかに信じられないほど、
広い領域にわたった音楽活動です。

私が初めて耳にしたサウンドと、
2番目に耳にしたサウンドが、
まったく違うものであったのは、
それが違う形態の活動の作品であったからなのです。

驚くべきは、
これらを交互に、
あるいは同時並行で活動させ、
短期間で数枚のアルバムを、
一気に発表することがあるということです。

ただ、
おもしろいのは、
どのサウンドを聴いても、
私が最初に受けた印象…、
景色が見えてきたり、
映像が浮かんでくることは変わらないことでした。
この点で、
彼の活動は、
形態を変えても一貫したものであるといえるのです。

これらのことから、
パット・メセニーは、
高度なテクニックを持ちながら、
けっしてテクニックに頼らず、
感覚を優先させたミュージシャンである、
ということがいえると思います。

1975年に発表された、
パット・メセニーのデビューアルバム『ブライト・サイズ・ライフ』では、
今は亡き天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスを相棒として、
当時流行の“フュージョン”とは一線を画した、
素晴らしい名演の数々を繰り広げています。
とくにタイトル曲における、
メセニーのギターに寄り添うジャコのベースラインは白眉で、
ジャコのベストテイクに挙げる人も少なくありません。
未体験の方には、ぜひ一聴をおススメいたします。

ところで、
これだけスゴい才能でありながら、
ステージ上のパット・メセニーは、
ボーダーのTシャツにヨレヨレのジーンズ、
裸足にスニーカーをつっかけて、
ギターのエンドピンのところに、
ストッパー代わりに歯ブラシを突っ込んで、
飾らないというか、
無頓着というか、
いつもにこやかにギターを弾くのでありました。
(これを究極のカッコよさ、というのかもしれません。)
スゴイことをそれと感じさせずに演奏してしまう、
私はフランク・ザッパに共通するものを、
彼から感じ取るのであります。

今年の2月に、
そんな彼の最新作『DAY TRIP』が発表されました。
さっそく発売日に入手して聴いてみたところ、
今回はトリオで、
(彼にしては)わりとしっかりジャズを演奏していました。

もっとも印象に残ったのは、
「Is This America?」という、
アコースティックギターで演奏される曲で、
未曾有の台風の被害を受けた被災地の印象をつづった作品、
という解説が付けられていました。

例によって、
あまりの惨状に「本当にここがアメリカか?」と立ちすくむ、
パット・メセニーの姿が映像として浮かんできたのですが、
ミュージシャンとしてではなく、
人間としての彼のやさしさが伝わってくる、
たいへん素晴らしい作品です。

こうした曲がアルバムのほぼ中央に収録されているおかげで、
このアルバムが、単なるジャズのアルバムにはならないのです。
やはり、一筋縄ではいかない…。
私のパット・メセニー研究はまだ続くことでしょう。

今回は、彼の偉大なる才能に敬意を表して、
長々と記してみました。
彼は“師匠”と呼ぶほど遠い存在に感じられないので、
“先輩”とでも呼ぶことにしましょうか。

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