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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2015/05/17 (Sun)
BBキングが逝去されました。
89歳、
長年にわたり糖尿病を患っていたことは、
よく知られていました。

80歳を過ぎてからもステージはこなしていましたが、
椅子に腰掛け、
イントロのギター…
それもチョーキング一発
「チュイーン!」…
だけ弾いて、
聴衆を満足させてしまうという(笑)
もはや名人芸の境地に達していたことも、
これまたよく知られていたことです。

かふいう高齢者にわたしはなりたい…

さてBBキングといえば、
ゴージャスなホーンセクションを入れたアレンジが有名ですが、
5/2(土)NHK-BSで放映された、
「名盤ドキュメント RCサクセション『シングル・マン』」も、
タワー・オブ・パワーのホーンセクションが参加したことで
有名な作品です。

なぜ、
このタイミングで『シングル・マン』なのか?
それは、
リニューアル発売を記念して、
というレコード会社さんの事情によるもの、
などということはさておき…

このアルバムは、
3人編成時代のRCサクセションの最後の作品にして、
不朽の名作であると言われながら、
長らく廃盤の憂き目に会っていたという、
いわくつきの作品です。

5人編成になったRCサクセションが
破竹の勢いで世に出る中、
これを再発してほしいというファンの動きにより、
1980年に復活したのです。
もしも彼らが成功していなかったら、
おそらく二度と世に出ることはなかったでしょう。

私は当時、
すでに『シングル・マン』を聴いていましたが、
正直なところ、
「スローバラード」を除いて、
その魅力がよくわかりませんでした。

フォークなのに、
なぜかホーンセクションが入っていて、
ソウルっぽい雰囲気もあり、
ちょっと散漫な印象を受けたものです。

もともと、
フォークが大嫌いだった私には、
歌詞が私小説っぽく、
かなりヘヴィーであったことも、
敬遠する理由になったと思います。

それが…今回、
番組で、
この作品の背景を紹介され、
さらに各トラックのバランスを変え、
原曲のイメージを前面に出した音を聴くに至り、
ああ…いい作品じゃないか、
と思うようになったのです。

そして、
30年ぶりに、
もう一度聴き直してみた、
という次第です。

おもしろかったのは、
私が1980年当時に感じた、
ホーンセクションに対する違和感は、
じつはキヨシローさんも同じであったということ。

キヨシローさんは、
この3人でできる“ソウル”を目指していたのでしょう。
ホーンセクションを入れるのはいいが、
作り込みが不十分で、
短絡的に“ソウル”をイメージさせる音にしかならなかったことを、
嫌がっていたものと思われます。

しかも、
当時全盛だったニュー・ミュージック的なアレンジも、
随所に散りばめられており…
これが当時の私の耳には、
散漫な印象に聴こえた原因だったと思います。

今となってみると、
ニュー・ミュージックというものが何であったか、
しっかりと理解できているので、
冷静に聴くことができるのです。

さて、
私が今回感銘を受けたのは、
「うわの空」という曲で、
この独特の浮遊感は、
ジミヘンの「エンジェル」や、
フェイセズの「デブリ」を想起させ、
歌詞の解釈からは、
ユーミンの「海を見ていた午後」の男性版、
という見方もでき、
とても魅力的な作品だと思いました。

女性から急に別れ話を告げられると、
男性はアタマが真っ白になり、
フワフワしちゃうんですね(笑)
反対に女性は、
そのときの光景を冷静に記憶しているという…
悲しい男の性(さが)

番組の中では、
この曲の破簾ケンチのギターを絶賛していましたが…
たしかに、
この感じはなかなか出せないでしょう。
フレーズ弾くと同時にハーモニクスが出る…
ミックスダウンで、
ヴォリュームを下げられてしまったのは、
惜しいことです。

リンコさんのウッドベースも、
かなりの腕前だということがわかり、
あらためて、
この3人はおもしろい組み合わせだったんだなぁ…
ということを痛感しました。

RCサクセションのスタジオ作品は、
この後、
ライブアルバムをはさんで、
『PLEASE』になります。

ここへ至ると、
ホーンセクションの使い方もうまくなり、
歌詞もオブラートでくるんだように、
直接的な毒を感じさせない表現になり、
なるほど、
1980年代を代表するサウンドに仕上がっているのですが、
ここに至る原動力が、
『シングル・マン』で味わった、
強烈な挫折感であったとすると、
今回のNHKは、
非常に興味深い検証をしたことになります。

BBキングのような名人芸を確立するのは、
並大抵のことではないのです。

キヨシローさんが高齢になったら、
何をどうやって表現するのだろうか?
レコードは文字通り、
その瞬間の記録であることを実感した、
『シングル・マン』でした。
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★ ILLUSTRATION BY nyao