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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2008/05/04 (Sun)
さて、
私的ロック評論シリーズの第1弾です。
このシリーズでは、
私のこれまでの人生に、
強い影響を及ぼしたアルバムについて、
主観を中心に語ってみたいと思います。
「ロックのアルバムごときで変わってしまうなんて、
安っぽい人生だな」などとおっしゃらずに、
しばらくお付き合いください。

第1回は、
KISSの『DESTROYER』、
いや、
あえて当時の邦題でいきましょう。
キッスの『地獄の軍団』です。



『地獄の軍団/キッス(DESTROYER/KISS)』
(1976年発表)

SDE1
1.デトロイト・ロック・シティ
 (Detroit Rock City)
2.暗黒の帝王
 (King Of The Night Time World)
3.雷神
 (God Of Thunder)
4.地獄の遺産
 (Great Expectations)

SIDE2
5.燃えたぎる血気
 (Flaming Youth)
6.スウィート・ペイン
 (Sweet Pain)
7.狂気の叫び
 (Shout It Out Loud)
8.ベス
 (Beth)
9.ドゥ・ユー・ラブ・ミー
 (Do You Love Me)

『地獄の軍団』は、
私が中学3年のときに、
生まれて初めて買った、
ロックのアルバムです。

私は「ミュージックライフ」のグラビアや、
ラジオから流れていた、
このアルバムからの先行シングル、
「狂気の叫び」を聴いて、
キッスの存在を知りました。

今では信じられないことかもしれませんが、
1970年代中期は、
AM局に、
ロック専門の電話リクエスト番組や、
全米ヒットチャートの番組があり、
当たり前のようにラジオから、
英語で歌うロックが流れていたのです。

私の記憶では、
ベイシティローラーズやクィーンをはじめ、
スィート、カーペンターズ、
スタイリスティックスに代表されるディスコナンバーを演奏するグループが、
当時(1975年〜1976年)の、
ヒットチャートの常連でした。

私はその頃すでに、
歌謡曲に退屈を覚え、
海外のシーンに興味を持っていました。
それも、
ヒットチャートの常連や、
ビートルズのような主流派…、
とうか…、
“イイ子ちゃん”や“カワイコちゃん”的な存在ではなく、
反体制派、
よりヘヴィでハードなもの…、
つまり、
不良っぽく暴力的な存在を求めるようになっていました。

思春期の私は、
かなり世の中に対して反抗的で、
その表現方法も過激でした。
思春期特有の、
訳もなく内面から沸き上がる暴力衝動が、
ハードロックを求めたことは、
自然の摂理であったのかもしれません。

私は「ミュージックライフ」で最初にキッスを見て以来、
“やってはいけないことをしている連中”という印象を受け、
その活動に関心を持っていました。
当時の「ミュージックライフ」の多くの読者と同様、
あのビジュアルで、
どんな音を出しているグループなのか、
興味津々であったというわけです。

そんなとき、
ラジオから流れてきた「狂気の叫び」が、
私の琴線をくすぐる、
たいへんヘヴィなロックンロールナンバーであったので、
アルバムを買わずにはいられなくなったというわけです。

さて、
LPレコードに針を落とすと、
なにやら会話が聞こえてきて、
車のエンジンをかける音、
続いて、
走り始めた車内の様子が流れてくる中、
「デトロイト・ロック・シティ」の有名なイントロが、
ジャガジャガジャガジャガ…と登場し、
ドラムのロールに導かれ、
コードがジャジャーンっときた瞬間、
私は思わず、
「かっ、かっこいーっ!」っと叫んでしまいました。

ポール・スタンレイが、
暴力的で荒涼とした背景の中、
「I feel uptight on a Saturday night」と歌い出す頃には、
「これがロックだっ、
俺は今日からこれで行くんだ、
もう後戻りはできないんだっ」
などと意味不明な誓いをしてしまう始末でした。
この1曲目の衝撃がいかにスゴいものであるかを、
物語っている光景といえるでしょう。

つづいて、
車の爆発音に、
ギターのビヨーンという、
ロングサスティーンがかぶり、
2曲目の「暗黒の帝王」が始まります。
友人の中に、
この曲のリフが、
「いなかっぺ大将」の、
大ちゃん登場シーンで流れる曲にそっくり、
というヤツがいましたが、
私はこの2曲の流れが大好きでした。
その後の私が、
アルバムでもコンサートでも、
2曲目をたいへん重要視するようになったのは、
案外ここが原点であったのかもしれません。

3曲目の「雷神」は、
グラビアで見ていたキッスのイメージに、
もっとも近い曲でした。
ただ私はなぜか、
この曲をあまり好きになれなかったのです。

それに対して、
4曲目の「地獄の遺産」は、
たいへんお気に入りだった曲です。
それはたぶん、
フレンチポップスを好んでいた私に、
このドンスタドンスタというリズムや、
ピアノが心地良かったからでしょう。
渋谷陽一氏は、
“ボウイやモット・ザ・フープルを思わせる”と解説していましたが、
その後の私が、
両者に熱中したことは、
偶然ではなかったように思われます。

さて、
LPではここからB面になるのですが、
「燃えたぎる血気」〜「スウィート・ペイン」〜「狂気の叫び」という、
B面アタマの3連チャンがとにかくスゴい。
まさに、
ハードロックかくあるべしっ、
という怒濤の3連チャンです。

ドッシリとしたテンポのハード・ブギ、
「燃えたぎる血気」では、
ほんのかすかに、
オルガンの音が聴こえていたりという、
小さな発見に喜び、

つづいて、
つっかかりながら進む、
隠れた名曲、
「スウィート・ペイン」では、
ちょっとエッチな歌詞や、
ギュイ〜ンとうなるギターが最高で、
「俺も早く、スウィート・ペインを味わわせてやりたい」
などと訳もわからず興奮し、

さらに、
シングルカットされていた、
最高にイカしたナンバー「狂気の叫び」では、
リードギターが、
クィーンっとチョーキングで入り、
ティラリララ、ティラリララとトリルで締める部分に、
感動したものです。

キッスの魅力のひとつに、
この特徴的なギターサウンドがあります。
彼らは、
いわゆるマンガチックな表現で言うところの、
ビヨーンとかギュイ〜ンとかクィーンという、
理屈抜きにかっこいいエレキギターのサウンドを、
リスナーに教えてくれます。
それはおそらく、
デビュー当時のクラプトンが、
ロンドン子たちを魅了した状況は、
このようなものだったのではないかと推測されるものであり、
はからずも、
私はこのアルバムでそれを体験することができたのです。

「ベス」は、
じつは、
当時も今もあまり好きではなく、
このようなバラードでヒットを狙わなければならなかった、
当時の音楽業界の事情に、
少々複雑な感情を覚えたものです。

そして、
ラストの「ドゥ・ユー・ラブ・ミー」は、
単純にノレて楽しめるナンバーです。
リフは簡単でわかりやすいものがいい、
ということを示した典型的なナンバーですが、
このような曲で締めることで、
『地獄の軍団』は見事に完結しているのです。

ずっと後になって、
このアルバムがキッスのアルバムの中でも、
特異な位置にあること。
プロデューサーであるボブ・エズリンの意向が強く、
多くの演奏も、
彼が連れてきたスタジオミュージシャンが演奏していて、
キッスのメンバー(とくにエース)は、
そのことをあまりよく思っていないこと。
などがわかり、
たいへん驚きましたが、
当時はそのようなことはわかりませんから、
「キッスってスゴいなぁ」などと言いながら、
単純にカッコいいアルバムとして、
楽しみまくりました。

つまり、
このアルバムは、
アタマで考える必要のない、
理屈抜きで楽しめるサウンドが充満している作品なのです。
そして、
ロックにおけるエレキギターの魅力を、
最大限に示している作品なのです。
そういう意味では、
ロック初心者が出会うには、
最適な作品だったといえるのではないでしょうか。

また、
キッスがあのように成功したのは、
この“理屈抜きで楽しめる”という部分を強調したからだと思います。
あのメーキャップは、
パーティの扮装のようなものであって、
当初のイメージのような、
暗く禍々しいものではありませんでした。
仮に彼らがそういう要素を強調していたら、
はたして成功することができたかどうかは疑問の生じるところです。
当時の私が「雷神」を、
当初のイメージ通りの曲なのに、
なぜか好きになれなかったというのは、
このへんに原因があるのかもしれません。
この曲だけが“理屈抜きで楽しめる”曲ではなかったのです。
(もっとも、
ステージのこの曲で、
ジーンが血を吐くのを見てからは、
少し認識を改めましたが…)

さて、
このように、
私は『地獄の軍団』でロックに入門しました。
そしてそれは、
ロックの楽しさ、
カッコよさを体験するということでした。
さらに私は、
このアルバムで、
すっかりエレキギターのサウンドに魅せられてしまい、
これ以降、
人生における私の最大の関心事は、
エレキギターを手に入れること、
そしてギターの腕前を上げること、
さらにはバンドを組んでコンサートをすること、
へと変わっていったのでした。
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★ ILLUSTRATION BY nyao