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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2011/12/11 (Sun)
『トッド・ラングレン/サムシング / エニシング
(TODD RUNDGREN/SOMETHING / ANYTHING ?)』
(1972年発表)



SDE1
アイ・ソー・ザ・ライト(瞳の中の愛)
 (I Saw the Light)
所詮は同じこと
 (It Wouldn't Have Made Any Difference)
ウルフマン・ジャック
 (Wolfman Jack)
冷たい朝の光
 (Cold Morning Light)
イット・テイクス・トゥー・トゥ・タンゴ
 (It Takes Two to Tango (This Is For the Girls))
甘い想い出
 (Sweeter Memories)

SDE2
イントロ
 (Intro)
ブレスレス
 (Breathless)
ナイト・ザ・カルーゼル・バーント・ダウン
 (Night the Carousel Burnt Down)
セイヴィング・グレイス
 (Saving Grace)
マーリーン
 (Marlene)
ソング・オブ・ザ・ヴァイキング
 (Song of the Viking)
アイ・ウェント・トゥ・ザ・ミラー
 (I Went to the Mirror)

SDE3
ブラック・マリア
 (Black Maria)
ワン・モア・デイ
 (One More Day (No Word))
伝えられずにいられない
 (Couldn't I Just Tell You)
トーチ・ソング
 (Torch Song)
小さな赤い灯
 (Little Red Lights)
オーヴァーチュア/マイ・ルーツ:マネー~メッシン・ウィズ・ザ・キッド
 (Overture- My Roots: Money (That's What I Want) / Messin' With The Kid)

SDE4
風に舞うほこり
 (Dust in the Wind)
ピス・アローン
 (Piss Aaron)
ハロー・イッツ・ミー
 (Hello It's Me)
サム・フォークス・イズ・イーヴン・ホワイター・ザン・ミー
 (Some Folks Is Even Whiter Than Me)
ユー・レフト・ミー・ソア
 (You Left Me Sore)
スラット
 (Slut)


前回、
U2の話の中で、
1987年…新婚当時、
経済的にまったく余裕のなかった年に、
2枚だけ手に入れたLPの1枚が
『ヨシュアトゥリー』であったと言いましたが、
その、
もう1枚というのが、
トッド・ラングレンの『サムシング / エニシング』でした。

トッド・ラングレンといえば、
その昔、
『ミュージックライフ』誌で、
ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズと、
顔の長さを争っていたことが印象に残っていて、
不覚にも、
ずっと、
お笑い系というか…、
マジメなミュージシャンではないと思っていました。

その後、
1978年頃、
ユートピアのメンバーとして来日し、
テレビの音楽番組に出演した彼を見て、
初めてミュージシャンとして認識するに至るのですが、
当時はCHAR以外に愛用者を知らなかった、
黒いフェンダー・ムスタングを抱え、
SFっぽい、
プログレがかったハードロックを演奏するトッドは、
とても新鮮に映ったものです。

ただ、
その当時すでに、
トッド・ラングレンはソロとユートピアの活動を並行させ、
一方プロデューサーとしても活躍していて、
たくさんのレコードを出していたので、
どこから聴いたらよいのか、
少々取っつきづらい存在でした。
その上、
ソロアルバムの多くは廃盤になっていて、
中古レコード屋で高値がついていました。
これも影響したのか、
私が彼に近づくまでには、
その後数年を必要としたのです。

1986年。
アメリカのライノが、
トッド・ラングレンの作品の販売権を手に入れ、
すべての作品を最発することになりました。
このタイミングで、
音楽雑誌がこぞって彼の特集を組み、
ようやく私は彼に近づくことができるようになりました。

そして、
多くの音楽評論家から高い評価を得ているのが、
この『サムシング / エニシング』だということがわかり、
経済的に余裕がない状況で2枚組はキビシかったのですが、
清水の舞台から飛び降りる勢いで、
手に入れたのでした。

結局、
こんなに聴きこんだ2枚組の作品は他にない、
という程の愛聴盤になりました。

LP時代は4面に分かれており、
3面までは、
トッド・ラングレンが一人ですべての楽器を操り、
多重録音をした作品、
最後の4面だけが、
多数のゲストを招いた、
バンド形態になっています。

当時はリズムガイドなどもなく、
おそらくドラムから順に録音したのでしょうが、
ときにリズムが早くなったり遅くなったり、
そしてそのツジツマというか帳尻を合わすべく、
ギターやピアノのフレーズが入っていたり、
相当な苦労の跡がうかがえるのですが、
それも作品の一部になっているのが、
素晴らしいところです。

SIDE2はシンセサイザーを駆使し、
後のユートピアに通じるような、
スペイシーなサウンドを展開していますが、
その他は、
ハードロックあり、
ロマンティックなバラードあり、
フォーク調の曲ありで、
まるで、
おもちゃ箱をひっくり返したようにバラエティに富んだ楽曲が並んでいます。

しかし、
全体は、
ソウルっぽいコード感覚とピアノを中心としたアレンジに支配されていて、
楽曲のバラエティの割には散漫な印象は受けません。

この感じは、
トッド・ラングレン特有のもので、
キャロル・キングの男性版、
ステーヴィー・ワンダーの白人版とでも言えばいいでしょうか…、
ただし、
ちょっとハードロックっぽく、
そしてホーンよりもコーラスを重視していて、
その部分は、
ビーチボーイズ的というか…、
変なたとえですが、
山下達郎っぽかったりして、
たいへんコダワリを感じる部分ですが、
一聴して彼とわかる、
特有のサウンドを構築しています。

ソウル、
ピアノ、
ハードロック、
コーラス、
プログレッシブロック…、
このへんが彼を語る上でのキーワードでしょうね。

そして、
基本的にはギタリストというか、
ギターが大好きなようで、
ギターソロを弾くと、
かなりプッツンいっちゃうというか、
のけぞっちゃっています。

このへんの、
きっちり作っているのに少々ほころんでいる部分があるのが、
とてもほほえましいですね。

個人的には、
SIDE1の6曲が強力なのと、
(とくにアタマの3曲とタイトル通り大甘の「甘い想い出」)
THE WHOみたいに12弦ギターをかき鳴らす、
「伝えられずにいられない(Couldn't I Just Tell You)」、
そして永遠の名曲、
「ハロー・イッツ・ミー」が気に入って、
とにかく、
よく聴きこんだものです。



また、
ミュージシャンとしては、
やはり、
マルチプレイヤーの面にアコガレ、
一人でも音楽はできるというか…、
一人でやれば妥協せずに、
100%自分のやりたい音が出せるという点に興味を持ちました。

当時の私は、
バンド活動を休止していたのですが、
ここから一人で多重録音をするべく、
少しずつ機材を集め始めることになります。

私が最低限の機材による、
多重録音のソロ作品を完成させたのは、
1990年のこと…、
以降、
1991年、1992年にそれぞれ1作ずつ、
計3作品を残すに至ったのは、
トッド・ラングレンのおかげ、
というより、
この『サムシング / エニシング』を聴いたからでしょうね。

さらに、
ギタリストもピアノを扱えるようになって、
コード感覚を磨くべきだと思い、
ヤマハのサンプリングシンセを手に入れ、
バイエル1冊を独学でこなすに至るわけですが、
これも間違いなくトッドからの影響です。

これ以降の私は、
ギターを中心に楽曲を考えるのではなく、
あくまでも楽曲優先に考え、
ギターはその表現手段のひとつ、
と考えるようになりました、

この主張が今に至ります。

そう考えると、
今の自分があるのは、
この『サムシング / エニシング』による所が大きく、
あのとき、
かなり無理をして購入したことは、
とても価値があったと思う次第です。

↓最近の映像で、ホール&オーツと共演した映像です。


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★ ILLUSTRATION BY nyao