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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2008/05/04 (Sun)
さて、
私的ロック評論シリーズの第1弾です。
このシリーズでは、
私のこれまでの人生に、
強い影響を及ぼしたアルバムについて、
主観を中心に語ってみたいと思います。
「ロックのアルバムごときで変わってしまうなんて、
安っぽい人生だな」などとおっしゃらずに、
しばらくお付き合いください。

第1回は、
KISSの『DESTROYER』、
いや、
あえて当時の邦題でいきましょう。
キッスの『地獄の軍団』です。



『地獄の軍団/キッス(DESTROYER/KISS)』
(1976年発表)

SDE1
1.デトロイト・ロック・シティ
 (Detroit Rock City)
2.暗黒の帝王
 (King Of The Night Time World)
3.雷神
 (God Of Thunder)
4.地獄の遺産
 (Great Expectations)

SIDE2
5.燃えたぎる血気
 (Flaming Youth)
6.スウィート・ペイン
 (Sweet Pain)
7.狂気の叫び
 (Shout It Out Loud)
8.ベス
 (Beth)
9.ドゥ・ユー・ラブ・ミー
 (Do You Love Me)

『地獄の軍団』は、
私が中学3年のときに、
生まれて初めて買った、
ロックのアルバムです。

私は「ミュージックライフ」のグラビアや、
ラジオから流れていた、
このアルバムからの先行シングル、
「狂気の叫び」を聴いて、
キッスの存在を知りました。

今では信じられないことかもしれませんが、
1970年代中期は、
AM局に、
ロック専門の電話リクエスト番組や、
全米ヒットチャートの番組があり、
当たり前のようにラジオから、
英語で歌うロックが流れていたのです。

私の記憶では、
ベイシティローラーズやクィーンをはじめ、
スィート、カーペンターズ、
スタイリスティックスに代表されるディスコナンバーを演奏するグループが、
当時(1975年〜1976年)の、
ヒットチャートの常連でした。

私はその頃すでに、
歌謡曲に退屈を覚え、
海外のシーンに興味を持っていました。
それも、
ヒットチャートの常連や、
ビートルズのような主流派…、
とうか…、
“イイ子ちゃん”や“カワイコちゃん”的な存在ではなく、
反体制派、
よりヘヴィでハードなもの…、
つまり、
不良っぽく暴力的な存在を求めるようになっていました。

思春期の私は、
かなり世の中に対して反抗的で、
その表現方法も過激でした。
思春期特有の、
訳もなく内面から沸き上がる暴力衝動が、
ハードロックを求めたことは、
自然の摂理であったのかもしれません。

私は「ミュージックライフ」で最初にキッスを見て以来、
“やってはいけないことをしている連中”という印象を受け、
その活動に関心を持っていました。
当時の「ミュージックライフ」の多くの読者と同様、
あのビジュアルで、
どんな音を出しているグループなのか、
興味津々であったというわけです。

そんなとき、
ラジオから流れてきた「狂気の叫び」が、
私の琴線をくすぐる、
たいへんヘヴィなロックンロールナンバーであったので、
アルバムを買わずにはいられなくなったというわけです。

さて、
LPレコードに針を落とすと、
なにやら会話が聞こえてきて、
車のエンジンをかける音、
続いて、
走り始めた車内の様子が流れてくる中、
「デトロイト・ロック・シティ」の有名なイントロが、
ジャガジャガジャガジャガ…と登場し、
ドラムのロールに導かれ、
コードがジャジャーンっときた瞬間、
私は思わず、
「かっ、かっこいーっ!」っと叫んでしまいました。

ポール・スタンレイが、
暴力的で荒涼とした背景の中、
「I feel uptight on a Saturday night」と歌い出す頃には、
「これがロックだっ、
俺は今日からこれで行くんだ、
もう後戻りはできないんだっ」
などと意味不明な誓いをしてしまう始末でした。
この1曲目の衝撃がいかにスゴいものであるかを、
物語っている光景といえるでしょう。

つづいて、
車の爆発音に、
ギターのビヨーンという、
ロングサスティーンがかぶり、
2曲目の「暗黒の帝王」が始まります。
友人の中に、
この曲のリフが、
「いなかっぺ大将」の、
大ちゃん登場シーンで流れる曲にそっくり、
というヤツがいましたが、
私はこの2曲の流れが大好きでした。
その後の私が、
アルバムでもコンサートでも、
2曲目をたいへん重要視するようになったのは、
案外ここが原点であったのかもしれません。

3曲目の「雷神」は、
グラビアで見ていたキッスのイメージに、
もっとも近い曲でした。
ただ私はなぜか、
この曲をあまり好きになれなかったのです。

それに対して、
4曲目の「地獄の遺産」は、
たいへんお気に入りだった曲です。
それはたぶん、
フレンチポップスを好んでいた私に、
このドンスタドンスタというリズムや、
ピアノが心地良かったからでしょう。
渋谷陽一氏は、
“ボウイやモット・ザ・フープルを思わせる”と解説していましたが、
その後の私が、
両者に熱中したことは、
偶然ではなかったように思われます。

さて、
LPではここからB面になるのですが、
「燃えたぎる血気」〜「スウィート・ペイン」〜「狂気の叫び」という、
B面アタマの3連チャンがとにかくスゴい。
まさに、
ハードロックかくあるべしっ、
という怒濤の3連チャンです。

ドッシリとしたテンポのハード・ブギ、
「燃えたぎる血気」では、
ほんのかすかに、
オルガンの音が聴こえていたりという、
小さな発見に喜び、

つづいて、
つっかかりながら進む、
隠れた名曲、
「スウィート・ペイン」では、
ちょっとエッチな歌詞や、
ギュイ〜ンとうなるギターが最高で、
「俺も早く、スウィート・ペインを味わわせてやりたい」
などと訳もわからず興奮し、

さらに、
シングルカットされていた、
最高にイカしたナンバー「狂気の叫び」では、
リードギターが、
クィーンっとチョーキングで入り、
ティラリララ、ティラリララとトリルで締める部分に、
感動したものです。

キッスの魅力のひとつに、
この特徴的なギターサウンドがあります。
彼らは、
いわゆるマンガチックな表現で言うところの、
ビヨーンとかギュイ〜ンとかクィーンという、
理屈抜きにかっこいいエレキギターのサウンドを、
リスナーに教えてくれます。
それはおそらく、
デビュー当時のクラプトンが、
ロンドン子たちを魅了した状況は、
このようなものだったのではないかと推測されるものであり、
はからずも、
私はこのアルバムでそれを体験することができたのです。

「ベス」は、
じつは、
当時も今もあまり好きではなく、
このようなバラードでヒットを狙わなければならなかった、
当時の音楽業界の事情に、
少々複雑な感情を覚えたものです。

そして、
ラストの「ドゥ・ユー・ラブ・ミー」は、
単純にノレて楽しめるナンバーです。
リフは簡単でわかりやすいものがいい、
ということを示した典型的なナンバーですが、
このような曲で締めることで、
『地獄の軍団』は見事に完結しているのです。

ずっと後になって、
このアルバムがキッスのアルバムの中でも、
特異な位置にあること。
プロデューサーであるボブ・エズリンの意向が強く、
多くの演奏も、
彼が連れてきたスタジオミュージシャンが演奏していて、
キッスのメンバー(とくにエース)は、
そのことをあまりよく思っていないこと。
などがわかり、
たいへん驚きましたが、
当時はそのようなことはわかりませんから、
「キッスってスゴいなぁ」などと言いながら、
単純にカッコいいアルバムとして、
楽しみまくりました。

つまり、
このアルバムは、
アタマで考える必要のない、
理屈抜きで楽しめるサウンドが充満している作品なのです。
そして、
ロックにおけるエレキギターの魅力を、
最大限に示している作品なのです。
そういう意味では、
ロック初心者が出会うには、
最適な作品だったといえるのではないでしょうか。

また、
キッスがあのように成功したのは、
この“理屈抜きで楽しめる”という部分を強調したからだと思います。
あのメーキャップは、
パーティの扮装のようなものであって、
当初のイメージのような、
暗く禍々しいものではありませんでした。
仮に彼らがそういう要素を強調していたら、
はたして成功することができたかどうかは疑問の生じるところです。
当時の私が「雷神」を、
当初のイメージ通りの曲なのに、
なぜか好きになれなかったというのは、
このへんに原因があるのかもしれません。
この曲だけが“理屈抜きで楽しめる”曲ではなかったのです。
(もっとも、
ステージのこの曲で、
ジーンが血を吐くのを見てからは、
少し認識を改めましたが…)

さて、
このように、
私は『地獄の軍団』でロックに入門しました。
そしてそれは、
ロックの楽しさ、
カッコよさを体験するということでした。
さらに私は、
このアルバムで、
すっかりエレキギターのサウンドに魅せられてしまい、
これ以降、
人生における私の最大の関心事は、
エレキギターを手に入れること、
そしてギターの腕前を上げること、
さらにはバンドを組んでコンサートをすること、
へと変わっていったのでした。
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★2008/04/30 (Wed)
LOOSE CONNECTIONが、
スタジオで新曲の構想を練っていた時のことです。

私が、
最近気に入っている、
“音響系”のグループに影響を受けた、
テンションの効いたコードを中心とした、
新曲のアイデアを出したところ、
一人のメンバーから、
「SLOWDIVEのAlisonという曲に雰囲気が似ている」
と言われました。

「そうか、そうか、
似たようなことを考えるヤツがいるのか」
とうれしくなった私は、
早速「Alison」が収録された、
SLOWDIVEのセカンドアルバム『SOUVLAKI』を購入しました。

SLOWDIVEはイギリスのグループで、
1989年にデビューし、
1995年に解散するまでに、
『JUST FOR A DAY』(1991年)
『SOUVLAKI』(1994年)
『PYGMALION』(1995年)
の3枚のアルバムを発表しています。
ちなみに、
『SOUVLAKI』には、
あのイーノが、
作曲と一部の録音に参加しております。

今回は、
購入前に私がイメージしていた通りの内容だったため、
STONE TEMPLE PILOTSや
I MOTHER EARTHのような衝撃を、
受けることはありませんでした。

それは、
どのような音かと言えば、
次の通りです。

全体的に、
和音の響きを強調した曲が多いのですが、
モワ〜っとした、
霧がかかったようなエコーが全体にかけられていて、
独特の閉塞感のある音空間が構築されています。

本来は外に向かって解放されるはずの音が、
中へコモったような独特の響き方をするのです。

それは、
私が1990年前後によく聴いていた、
LUSHやCOCTEAU TWINSの音、
当時は“耽美派”と呼ばれていた音によく似ているのです。
つまり、
私はこの音をすでに体験していたのでした。

もう少し、
このあたりの事情を調べてみたところ、
このSLOWDIVEや、
LUSH、COCTEAU TWINSといった連中を総称して、
「シューゲイザー派」と呼ぶそうで、
リアルタイムではそれほどでもなかったようですが、
2000年に入ってから再評価されるようになり、
現在ではマニアを中心に、
かなり評価が高まっているということです。

つまり、
このサウンドにフィードバックのような轟音や、
GROOVYなリズムがミックスされると、
現在進行形の「音響派」になり、
昨年の私がよく聴いていた、
MOGWAIや65DAYS OF STATID、
それから、
日本の残響レーベル系のミュージシャンにつながるわけです。
私の作った新曲が、
SLOWDIVEによく似ていたというのは、
そのような流れから考えると、
ごく自然のことだったのかもしれません。

U2の『UNDER A BLOOD RED SKY』に関わった、
イーノがSLOWDIVEに興味を持ったこともうなずけます。

たいへん笑えたのは、
この“シューゲイザー”の語源で、
私は「ドイツ人の名前かな?」と思っていたのですが、
さにあらず。
靴(shoe)を凝視(gaze)する人で、
shoegazer…。
つまり、
ギターを弾く姿が内向的で、
いつも俯いて弾いていたため、
そう呼ばれるようになったということです。

このへんは、
いかにも皮肉っぽい、
イギリス人らしいネーミングといえるでしょう。

ところで、
ここに至って、
私が確信したことは、
GROOVYな16ビートと、
音響を重視したサウンド、
この2つが、
現代シーンのキーワードであるということです。

ようやく私の感性は、
リアルタイムの音を捉えられるようになったようです。

それにしても、
最近の私の琴線に触れる作品が、
1995年近辺に集中しているのは、
単なる偶然でしょうか?
私には、
どうやらその辺りに、
時代の変わり目があるように、
思えてならないのです。



PS:以下に「Wikipedia」から抜粋した、
「シューゲイザー」についての解説を加えておきましょう。

「シューゲイザー(英語Shoegazing)とは音楽のジャンル。ギターを弾く姿が内向的で俯いて弾いていたため、Shoe(靴)をgaze(凝視)する人、shoegazerとよばれるようになった。ドイツのシューゲルアインシュタインケリッヒが開発した音響装置に音がにているためシューゲイザーと呼ばれたとの説もある。「ハッピー・ヴァレー」という呼び名も当時は存在した。フィードバック・ノイズや深く歪ませたギターサウンドとポップで甘いメロディーを際立たせたサウンドがシューゲイザーの一般的特徴として上げられる。シューゲイザーの原点または契機となった作品はジーザス&メリーチェインの「サイコキャンディ」だと言われている。シューゲイザーには1960年代後半に流行したサイケデリックミュージックのリバイバルまたは新解釈的な面があり、実際にシューゲイザーとサイケデリックには共通する点が多い。もちろん相違点も少なからずある。またその内省的な音楽スタイル全般がオルタナティヴ・ミュージックの一ジャンルとして考えられる事も少なくない。
シューゲイザーは1980年代後半から1990年代前半の間にイギリスに登場し隆盛を極めたが、同時期のマッドチェスターやブリット・ポップの陰に隠れてしまい、注目を十分に受けることなくブームは沈静化してしまった。しかし、ブームが過ぎ去った後もシューゲイザーを愛好するファンやアーティストは確実に増え続けている。そうした後追いの人々によりシューゲイザーは再評価され、そしてテクノやクラブ・ミュージックとの交流により現在も継承発展を続けている。」
★2008/04/27 (Sun)
昨年の秋頃、
私は、
『SLY & ROBBIE GREETS LED ZEPPELIN』
というCDをよく聴いていました。

これは、
レゲエ界を代表するリズムセクションとして有名な、
スライ&ロビーが、
レッド・ツェッペリンのカバーに挑んだ作品です。

レゲエを中心に、
ダブやラップなどを駆使して、
レッド・ツェッペリン・ナンバーを、
現代風にリメイクしており、
全体的には、
レゲエというより、
ソウルっぽい雰囲気に仕上がっています。

「やっぱり、ZEPの曲はよくできているんだなぁ」
あらためてそう感じた私は、
スライ&ロビーのリメイクと、
原曲を比較するために、
ひさしぶりにレッド・ツェッペリンのアルバムを聴くことにしました。

ところが…、
しばらく聴いていたら、
ものすごく違和感を覚えて、
途中で耐えられなくなってしまったのです。
これは、かつて経験したことのない感覚でした。
あのレッド・ツェッペリンが、
どうしようもなく野暮ったい音に聴こえたのです。

前回、
前々回と話題になった、
STONE TEMPLE PILOTSと、
I MOTHER EARTHのカバーをしていた、
大学生バンドの演奏を聴いたとき、
やはり、
他の対バン(40代以上の年齢層が大半を占める)の演奏との間に、
はっきりとした違いを感じてしまいました。
この時も、
対バンの音が野暮ったく聴こえてしまったのです。

「何が違うのだろう?」
私は大学生バンドの演奏を聴きながら、
ひとり思索にふけっていました。

そして、
なにげなく、
ヴォーカリストの動きを見ていたら、
あることに気がつきました。

「そうか…、リズムが違うんだ」
彼の体は、
他のバンドのヴォーカリストよりも、
小刻みに揺れていたのです。

ポピュラーミュージックの歴史は、
リズムの細分化の歴史といってもよいでしょう。
カントリーの2ビートから、
ジャズの4ビートへ、
そしてロックンロールの8ビートから、
ファンクの16ビートへ。
時代の流れとともに、
リズムの刻み方は細かくなっていきました。

1980年代の中盤まで、
ポピュラーミュージックの主流は、
8ビートでした。
しかし、
1980年代後半の、
クラブシーンの台頭により、
アシッド・ジャズが注目され、
いわゆるGROOVYなビートが流行したおかげで、
リズムは完全に16ビート主体になったのです。

1990年代以降に登場した音楽は、
それこそハードロックの世界まで、
すべて16ビートの洗礼を受けているといえます。

それは、
たとえ8ビートの曲であっても、
絶えず裏のリズムを意識しているため、
とにかくリズムの刻み方が細かいのです。
これが現在のポピュラーミュージックの特徴といえるでしょう。
もちろん、
日本の音楽シーンも例外ではなく、
いわゆる歌謡曲の世界でも同じことが言えるのです。

したがって、
『SLY & ROBBIE GREETS LED ZEPPELIN』は、
16ビート中心の、
細かいリズムに支配されており、
ただでさえ、
大雑把なリズムの、
ジョン・ボーナムのドラムに支配された、
原曲がやけに古くさく聴こえたということわけです。

STONE TEMPLE PILOTSや、
I MOTHER EARTHに対して、
なにか新鮮なものを感じたとすれば、
まさにこの、
リズムの違いだったのでしょう。

マイルス・ディビスはかつて、
「ミュージシャンは、
自分が生きている時代を反映する楽器を使わなきゃダメだ。」
と言い放ち、
エレクトリックベースを弾くことを拒否した、
ロン・カーターをカルテットからはずしました。

マイルスの言葉を借りれば、
さしずめ、
「ミュージシャンは、
自分が生きている時代を反映するリズムを感じられなきゃダメだ。」
ということになるでしょう。

この先、
16ビートが32ビートになるようなことは、
あり得ないと思いますが、
きっとその時代を反映したリズムが現れて、
リズムは進化し続けることでしょう。

私が、
かつての名盤ばかり聴くことをやめ、
意識的に新しい作品を聴くようになったきっかけは、
こんなことがあったからでした。

かつて、
ロックは反体制の象徴でした。
旧態然とした権威に対する、
反抗の文化でした。
自らを、
カビの生えた骨董品に封じ込めてしまっては、
この年までロックを続けてきた意味がないのでは?
そう思う、今日この頃です。

↓『SLY & ROBBIE GREETS LED ZEPPELIN』(2007年発表)



収録曲:
Moby Dick
No Quarter
The Rain Song
Kashmir
D'yer Mak'er
Thank You
Going To California
In The Evening
Heart Breaker
Whole Lotta Love
The Rhythm Remain The Same
 「おーっ、なるほど」と納得する曲と、
 「えっ、こうなっちゃったの?」と驚く曲が交互に登場し、
 かなり楽しめる1枚ではあります。
★2008/04/20 (Sun)
(前回からのつづきです)

昨年12月、
LOOSE CONNECTIONが、
吉祥寺「曼荼羅2」に出演した際の対バンだった、
現役大学生バンドが演奏した曲は、
STONE TEMPLE PILOTSと、
I MOTHER EARTHのナンバーということでした。

私は、
STONE TEMPLE PILOTSのことは、
すでに知っていたのですが、
I MOTHER EARTHについては初耳でした。

彼らにこのバンドのことを、
もう少し尋ねてみたところ、
「I MOTHER EARTHはカナダのバンドですが、
たいへんマニアックなので、
CDはなかなか手に入らないかもしれませんよ。」
という答えが返ってきました。

…おっ?
なんということだ。
私の琴線に触れるキーワードが2つも…。
カナダ、
マニアック…。

カナダ…。
そう、
カナダのロックバンドは私の大好物です。

カナダはその歴史のせいか、
アメリカ文化とヨーロッパ文化が、
バランスよく融合している国です。
それは、
アメリカとイギリスのみならず、
東のケベック州へ行くと、
フランス語圏があるように、
フランスからの影響も強く見られます。

この国のロックバンドは、
アメリカ的なリズムのノリ、
いわゆる、
ファンクやソウルのような、
ブラックミュージックのノリの上に、
ヨーロッパ的な繊細な和音のアレンジが乗るという、
独特のサウンドを構築してきました。

とくに、
ZEPやYESの人気が高いせいか、
リフを中心として変拍子を多用することが多く、
このことがまた、
カナダのロックバンドのサウンドを、
いっそう特徴的なものにしています。

そして、
このようなサウンドは、
かつて私の理想とするものであったのです。

RUSH、
MAHOGANY RUSH、
PAT TRAVERS BAND、
MOXY、
HEART、
TRIUMPH…。

通好みの、
隠れ名盤の宝庫、カナダ。
「うーっ、そうか、
I MOTHER EARTHは、
カナダのバンドだったのかぁ…」

しかも、
「入手困難なマニアックなバンドときたか…」、
これは、
かつてユーロロックのコレクションに没頭したことがある私にとって、
魔女のささやきに等しい、
抑えきれない誘惑を感じてしまう、
コレクター魂をゆさぶられる言葉です。
「よしっ、これは買いだっ。
なんとしても、手に入れるぞ」
っとひそかに誓ったのでありました。

I MOTHER EARTHは、
1993年にデビュー、
2003年に解散するまでに、
『Dig』(1993年)、
『Scenery And Fish』(1996年)、
『Blue, Green, Orange』(1999年)、
『The Quicksilver Meat Dream』(2003年)、
という4枚のアルバムを発表。
デビューアルバムには、
GUNSのプロデューサーが、
セカンドアルバムには、
RUSHのアレックス・ライフスンが、
それぞれ関与。
一部のマニアックなファンから、
熱狂的な指示を受けるものの、
大きな成功を得ることもなく解散…。

どうやら、日本国内盤は発表された形跡がありません。

それどころか、
現在では、
中古も新品も、
日本国内ではほとんど流通していない状態です。

そこで、
私は、
アメリカの通販サイトから、
現役大学生バンドが演奏していた、
「One More Astronaut」と
「Used To Be Alright」が収録された、
セカンドアルバム『Scenery And Fish』
を直輸入で購入することにしました。

申し込みから約2週間…、
2月の中旬に、
それははるばる海を越えて、
我が家に到着しました。

高まる期待に胸躍らせ、
CDプレイヤーへスイッチを入れてみると…、
チャルメラやパーカッションが響く、
まるでオモチャ箱をひっくり返したような、
短いインストの後…、
ディストーションの効いたギターが、
コードをかき鳴らし、
「んーっ、凶悪な音…」、
しかしその後すぐにギターは引っ込み、
ベースがかなりファンキーなフレーズを続け、
「えっ、ファンキー?」と思う間もなく、
一瞬のブレイクに続いて…、
「あっ!!!!!」、
超ヘヴィーなリフで、
たたみこまれるような展開に引き込まれ、
一気にっ…、
パーカッションてんこ盛りの、
目眩がしそうなエンディングまで、
行ってしまいました。

スゴイ…。
期待を裏切らない内容…。
というか、
期待以上の恐るべき内容でした。
それも、
いきなり肩すかしを食った後に、
強烈なパイルドライバーをかまされたような感じで、
私の受けた衝撃は相当なものでした。

I MOTHER EARTHの凄さは、
その雑食ぎみな許容範囲の広さです。
いちおう、
グランジ、オルタナティヴに位置しているものの、
ニューウェイブから、ジャズ、ファンク、民族音楽、
およそ80年代以降の音楽がすべて詰め込まれている、
と言っても過言ではありません。

これを、ミクスチャーと言うのでしょうか。

その幅広い素材に、
ハードボイルドな香辛料をきかせて、
一品料理に仕上げた、
まさにそんな印象の作品です。

しかし、
全編にわたって、
印象的なヴォーカルラインが響きわたっているおかげで、
全体が散漫な印象にならず、
統一感の取れた作品に仕上がっています。
ちなみに、
ヴォーカリストを筆頭に、
演奏陣の技量はかなりのものです。
(とくにドラムス!)

また、
ギタリストの観点から見ると、
アンプでオーバードライブさせるのではなく、
いかにも「エフェクターで歪ませました」という、
宅録大好き少年が好みそうな、
ギターサウンドがおもしろく、
曲の展開に凝っていることもあって、
「これはかなりのオタク集団だな」、
と察しられるのでありました。

何年かに一度、
「カルチャーが変わったなぁ…」、
っと感じる作品に出会うことがありますが、
この『Scenery And Fish』はまさにそんな作品でした。

しかし、
そんなI MOTHER EARTHは、
日本国内ではほとんど知られていない存在です。

これは、とっても不幸なことだと思いますが、
いかがでしょう?

★2008/04/13 (Sun)
昨年12月、
LOOSE CONNECTIONが、
吉祥寺の「曼荼羅2」に出演した際、
最年少の対バンは、
現役の大学生バンドでした。

どうせ、Jポップでもやるんだろう?
と多寡をくくっていたら、
なんと英語の歌詞で、
イカしたハードロックをキメてくれました。

私は、
そのバンドが演奏した4曲がかなり気に入ったので、
演奏が終わった大学生バンドのメンバーに、
「曲名を教えてよ」と尋ねてみました。
すると、
「STONE TEMPLE PILOTS と I MOTHER EARTH のナンバーです」
という答えが返ってきました。

あっ…ストーン・テンプル・パイロッツか…。

I MOTER EARTHについては、
別の機会に語ることとして、
ストーン・テンプル・パイロッツは、
すでに聞き及びのある名前でした。

それほど昔の話ではないのですが、
彼らが☆のジャケットのアルバム…、
『No4』を発表した時期(1999年)に、
そのアルバムを山野楽器の試聴盤のコーナーで、
耳にしたことがあったのです。
その時かなり気に入ったのですが、
なぜか購入することなく現在に至っていました。

私がふたたびその名前に出会ったのは、
昨年の夏に発表された、
VELVET REVOLVERの『LIBERTAD』を購入した際、
バンドのヴォーカリストが、
元ストーン・テンプル・パイロッツの、
スコット・ウェイランドであることを知った際でした。

そうか、ストーン・テンプル・パイロッツだったのか…。

私は大学生バンドが演奏していた、
「Lady Picture Show」と
「Trippin' On a Hole in a Paper Hearrt」を含む、
彼らの3枚目のアルバム、
『TINY MUSIC…SONGS FROM THE VATICAN GIFT SHOP』
(1995年発表)を入手しました。

こうして私は、
紆余曲折の末、
ようやくストーン・テンプル・パイロッツの作品を体験する機会に巡り会ったのです。

アルバムは、
リフを中心としたハードな曲と、
哀愁ただようメロディのソフトな曲がバランスよく並ぶ、
すばらしい内容でした。
とくに中盤の5〜7曲目あたり、
例の2曲の間に、
アンニュイな「And So I Know」がはさまって盛り上がるあたりが、
鳥肌モノの聴きどころです。

いわゆる、
ブリティッシュ・ハードロックの王道的なサウンド。
ZEPあたりが好きな人にはたまらない音と言えるでしょう。

VELVET REVOLVERのカッチリとした仕上がりとは違い、
かなりユルイというか、
いい意味でだらしないというか、
それはとくにヴォーカルに顕著なのですが、
適度にルーズなところに、
私はたまらなくロックを感じてしまうのでした。

やっぱ、ブリティッシュだよな。
この感じ。
ロンドンの曇り空のように、
音がモヤモヤしていたり、
マイナーなメロディがあったり、
しっかりと伝統が受け継がれているんだなぁ…、
と感心していたら、
なんと、ストーン・テンプル・パイロッツは、
アメリカのバンドだったのです。

いや、これは驚きました。
GUNSやBLACK CROWES、
VELVET REVOLVERからはアメリカの匂いが感じられましたが、
ストーン・テンプル・パイロッツからは、
アメリカの匂いがまったく感じられませんでした。

その後、
いろいろ調べてみたら、
ヴォーカルのスコットがこの時期、
麻薬不法所持で逮捕されていたりして、
かなりラリっていたようで、
それが音に表れていたのかもしれません。
私がそれを勝手に、
ブリティッシュっぽいと決めつけていたのでしょう。

それにしても、
最近のイギリスのバンドは、
相当に屈折しているというか、
ヒネくれた音を出す傾向が強く、
ストーン・テンプル・パイロッツのような、
正統派のブリティッシュ・ハードロックを求めるなら、
アメリカへ目を向けた方がいいようです。

いやいや、ずいぶんと環境が変わっていたのですね。

最後に、
新しい音にもいいものがたくさんありますよ、
と言いたかったのですが、
1995年発表のアルバムですから、
もう13年も前の作品なのです。

いやいや、月日の経つのが早いこと…。

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★ ILLUSTRATION BY nyao