「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2008/06/01 (Sun)
さて、
近況報告がてら、
軽い話題をひとつ…。
今年はよく選んで購入しよう、
と決心した“紙ジャケ”シリーズですが、
4月23日リリースのヴァン・ヘイレンは、
なんだかんだと言いながら、
3枚も手に入れてしまったものの、
「やっぱ、このドラムは好きになれないなぁ」、
「今聴くと、シンセの音が古いなぁ」、
などと反省することしきりでした。
結局、
衝撃的だったのはファーストアルバムだったということと、
今回このシリーズを購入するきっかけになった、
もう一度聴きたかった曲が、
サミー・ヘイガー在籍時のものであった、
ということがわかっただけでした。
で、
少し気落ちしていたところ…、
5月21日リリースのフランク・ザッパにやられました。
『ザッパ・イン・ニューヨーク』。
名盤の誉れ高い作品ですが、
長いこと完全版が復刻されず、
ファンをイライラさせていた1枚です。
というのも、
エンジェルのギタリスト、
パンキー・メドウスをおちょくった、
「パンキーズ・ウィップス」という曲が、
ずっと削除されたままだったのです。
今回は、
“紙ジャケ”化とともに、
この「パンキーズ・ウィップス」が本来の位置に収録され、
メデタシメデタシということになったのありました。
(この曲は、
ドラマー、テリー・ボジオが、
男と知りながら、
迂闊にもパンキーのポスターに興奮してしまう、
というストーリーになっています)
この時期のザッパは、
この「パンキーズ・ウィップス」のような、
コミカルな歌詞で世相を皮肉った曲と、
信じられないほどの高度なテクニックを披露する、
インストを交互に演奏するスタイルをとっており、
笑いながら(←ここ重要です)、
物凄い演奏を聴くことができるようになっております。
『ザッパ・イン・ニューヨーク』における、
前者のタイプでは、
「ティティーズ・アンド・ビール」、
「ザ・イリノイ・エネマ・バンディット」の出来がよく、
(かつては、
「おっぱい印ビール」、
「イリノイの浣腸強盗」という、
素晴らしい邦題がついていました)
とくに、
ジミヘンの「ヴードゥー・チャイル」に似た
「ザ・イリノイ・エネマ・バンディット」は、
歌詞の意味がわからなければ、
とてもイカした、
ヘヴィ・ブルース・ナンバーの傑作として、
絶賛されること間違いなしです。
また、
後者のタイプでは、
ユニゾンによる変拍子だらけの、
超難曲として有名な「ブラック・ページ」や、
腕利きのメンバーによる、
火を吹くようなインタープレイが聴ける、
「パープル・ラグーン」など、
ザッパ・ファンの間でもとくに人気の高い曲が、
評判通りの素晴らしい仕上がりになっております。
このときのザッパ・バンドは、
前述のテリー・ボジオの他、
エディ・ジョブスンやブレッカー・ブラザースが参加しており、
プログレ寄りのフュージョンに、
現代音楽の要素を加えたような、
今聴いても新鮮で、
きわめて刺激的なサウンドを展開しています。
どうやら、
この後しばらくは、
ザッパにハマりそうです。
今回の“紙ジャケ”シリーズは、
他にも名盤が並んでいますから、
この機会に揃えてみようかな?などと思う、
今日この頃です。
さて、
今月の25日には、
たいへん良心的な、
廉価版(1500円)“紙ジャケ”シリーズが、
大量にリリースされる予定です。
このシリーズは、
ELPやPFM、フォーカスなど、
プログレ&ユーロ勢が中心になっていますが、
その中に、
なぜかトッド・ラングレンが混じっております。
トッド・ラングレンも、
かなりの作品を揃えながら、
まだ買い逃している作品も多いので、
この機会に一気に残りを集めるか、
などとヒソカに狙っている次第です。
フランク・ザッパとトッド・ラングレン。
一癖も二癖もある両者ですが、
不思議なことに、
再発モノでありながら、
どちらとも、
今聴いても新鮮な音なのであります。
近況報告がてら、
軽い話題をひとつ…。
今年はよく選んで購入しよう、
と決心した“紙ジャケ”シリーズですが、
4月23日リリースのヴァン・ヘイレンは、
なんだかんだと言いながら、
3枚も手に入れてしまったものの、
「やっぱ、このドラムは好きになれないなぁ」、
「今聴くと、シンセの音が古いなぁ」、
などと反省することしきりでした。
結局、
衝撃的だったのはファーストアルバムだったということと、
今回このシリーズを購入するきっかけになった、
もう一度聴きたかった曲が、
サミー・ヘイガー在籍時のものであった、
ということがわかっただけでした。
で、
少し気落ちしていたところ…、
5月21日リリースのフランク・ザッパにやられました。
『ザッパ・イン・ニューヨーク』。
名盤の誉れ高い作品ですが、
長いこと完全版が復刻されず、
ファンをイライラさせていた1枚です。
というのも、
エンジェルのギタリスト、
パンキー・メドウスをおちょくった、
「パンキーズ・ウィップス」という曲が、
ずっと削除されたままだったのです。
今回は、
“紙ジャケ”化とともに、
この「パンキーズ・ウィップス」が本来の位置に収録され、
メデタシメデタシということになったのありました。
(この曲は、
ドラマー、テリー・ボジオが、
男と知りながら、
迂闊にもパンキーのポスターに興奮してしまう、
というストーリーになっています)
この時期のザッパは、
この「パンキーズ・ウィップス」のような、
コミカルな歌詞で世相を皮肉った曲と、
信じられないほどの高度なテクニックを披露する、
インストを交互に演奏するスタイルをとっており、
笑いながら(←ここ重要です)、
物凄い演奏を聴くことができるようになっております。
『ザッパ・イン・ニューヨーク』における、
前者のタイプでは、
「ティティーズ・アンド・ビール」、
「ザ・イリノイ・エネマ・バンディット」の出来がよく、
(かつては、
「おっぱい印ビール」、
「イリノイの浣腸強盗」という、
素晴らしい邦題がついていました)
とくに、
ジミヘンの「ヴードゥー・チャイル」に似た
「ザ・イリノイ・エネマ・バンディット」は、
歌詞の意味がわからなければ、
とてもイカした、
ヘヴィ・ブルース・ナンバーの傑作として、
絶賛されること間違いなしです。
また、
後者のタイプでは、
ユニゾンによる変拍子だらけの、
超難曲として有名な「ブラック・ページ」や、
腕利きのメンバーによる、
火を吹くようなインタープレイが聴ける、
「パープル・ラグーン」など、
ザッパ・ファンの間でもとくに人気の高い曲が、
評判通りの素晴らしい仕上がりになっております。
このときのザッパ・バンドは、
前述のテリー・ボジオの他、
エディ・ジョブスンやブレッカー・ブラザースが参加しており、
プログレ寄りのフュージョンに、
現代音楽の要素を加えたような、
今聴いても新鮮で、
きわめて刺激的なサウンドを展開しています。
どうやら、
この後しばらくは、
ザッパにハマりそうです。
今回の“紙ジャケ”シリーズは、
他にも名盤が並んでいますから、
この機会に揃えてみようかな?などと思う、
今日この頃です。
さて、
今月の25日には、
たいへん良心的な、
廉価版(1500円)“紙ジャケ”シリーズが、
大量にリリースされる予定です。
このシリーズは、
ELPやPFM、フォーカスなど、
プログレ&ユーロ勢が中心になっていますが、
その中に、
なぜかトッド・ラングレンが混じっております。
トッド・ラングレンも、
かなりの作品を揃えながら、
まだ買い逃している作品も多いので、
この機会に一気に残りを集めるか、
などとヒソカに狙っている次第です。
フランク・ザッパとトッド・ラングレン。
一癖も二癖もある両者ですが、
不思議なことに、
再発モノでありながら、
どちらとも、
今聴いても新鮮な音なのであります。
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★2008/05/25 (Sun)
今回は、
エース・フレイリーのギターについて、
語ってみたいと思います。
エース・フレイリーが、
キッスに加入する際に使用していた機材は、
ギブソン・ファイヤーバード〓と、
マーシャル・アンプ(50Wコンボ・タイプ)だった、
ということです。
ギターに詳しい人なら、
すぐにピンとくるかもしれませんが、
これはクリーム時代の、
エリック・クラプトンと同じ機材です。
エース・フレイリーはその後、
ステージにおいては、
ギブソン・レスポールとマーシャル・アンプを
定番セットとするようになりますが、
まれに、
ギブソン・エクスプローラのコピーモデル(日本製)
を手にすることがありました。
キッスというバンドが、
その初期において、
ビートルズをイメージしていたことは、
前回に語った通りですが、
エース・フレイリーのギターは、
機材からも明らかなように、
エリック・クラプトン、
それも、
ブルース・ブレイカーズからクリーム時代の、
エリック・クラプトンの影響が大です。
楽曲の雰囲気を損なわないように、
覚えやすいメロディで、
コンパクトにまとめられたギターソロには、
クラプトン直系の、
微妙な音程のチョーキングや、
大きなヴィブラートといった、
ブルースギターのテクニックでいっぱいです。
私は、
そんなエースのギターソロを、
たいへんセンスのいいものであると、
評価しております。
しかし、
バンドの方針なのか、
エースの方針なのか、
歌のバックではほとんどオブリガード等を入れず、
ひたすらリズムギターに徹しているため、
リードギターにスポットが当たる時間が極端に少なく、
またあのメーキャップのおかげで、
音楽的な評価を得る機会そのものにも恵まれず、
結果として、
エースのギターは過小評価されているのが現状です。
これは、とても残念なことです。
長尺のギターソロで自己主張するよりも、
短くコンパクトにまとめる方が、
難易度が高いと思うのですが、
いかがなものでしょう。
さて、
エースのようなタイプのギタリストは、
海外ではあまり見かけないのですが、
おもしろいことに、
日本にはけっこうおります。
たとえば、
キャロル時代の内海利勝さんや、
ストリート・スライダーズ時代の土屋公平さんは、
間違いなく、
エース・タイプのギタリストです。
つまり、
ブルース・ブレイカーズからクリーム時代の
エリック・クラプトンの影響が大でありながら、
バンドのポップなサウンドを損なわないように、
短くコンパクトにまとめるギターソロが多いこと。
そういえば、
バンドにもう一人、
リズムギターを弾くギタリストがいることも、
共通しています。
これは、
同じく、
2本のギターでサウンドを組み立てている、
エアロスミスのようなバンドとは少し違った手法で、
どうやら、
目指すべき存在が、
ビートルズなのかストーンズなのかが、
分かれ道になるようです。
(ストリート・スライダーズは、
ルックスのおかげでストーンズ派に分類されがちですが、
バンドのコンセプトは間違いなくビートルズ派です)
最後に、
いまでも私の記憶に残る、
エース・フレイリーのギターソロ・ベストテイクですが、
「ショック・ミー/アルバム『ラブ・ガン』収録」
「ロケット・ライド/アルバム『アライブ〓』収録」
「スノウ・ブラインド/ソロアルバムに収録」
といったところでしょうか。
いずれの曲も、
エース節全開ではあるものの、
けっこうプッツンいきそうになる部分があって、
おもしろいサンプルだと思います。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
さて、
当初は『地獄の軍団』だけを語るつもりだったのに、
つい調子に乗って、
5回にわたってキッスを語ってしまいましたが、
今回で終了したいと思います。
私をロックへと導いた、
『地獄の軍団』は、
キッスの出世作として位置付けられるものの、
本人達はその手法をよしとせず、
次作『地獄のロック・ファイヤー(ROCK AND ROLL OVER)』
では、
もう一度原点に戻ったようなサウンドを展開します。
キッスが『地獄の軍団』の手法を、
自分達のものとするのは、
その次のアルバム『ラブ・ガン』においてでした。
そう考えると、
キッス・サウンドの完成は、
『ラブ・ガン』ということになるのですが、
その頃の私の興味の中心は、
すでに他のバンドへ移っていたため、
『地獄の軍団』のような感動を得ることはありませんでした。
しかし、
キッスのキャリアはその後も続き、
メンバーチェンジを経たり、
メイキャップをやめたり、
さまざまな困難を乗り越えながら、
アメリカン・ハードロックの王者の地位を守っていきます。
その姿は、
まさに1編のサクセスストーリーであり、
アメリカン・ドリームの体現として賛辞すべきものでしょう。
エース・フレイリーのギターについて、
語ってみたいと思います。
エース・フレイリーが、
キッスに加入する際に使用していた機材は、
ギブソン・ファイヤーバード〓と、
マーシャル・アンプ(50Wコンボ・タイプ)だった、
ということです。
ギターに詳しい人なら、
すぐにピンとくるかもしれませんが、
これはクリーム時代の、
エリック・クラプトンと同じ機材です。
エース・フレイリーはその後、
ステージにおいては、
ギブソン・レスポールとマーシャル・アンプを
定番セットとするようになりますが、
まれに、
ギブソン・エクスプローラのコピーモデル(日本製)
を手にすることがありました。
キッスというバンドが、
その初期において、
ビートルズをイメージしていたことは、
前回に語った通りですが、
エース・フレイリーのギターは、
機材からも明らかなように、
エリック・クラプトン、
それも、
ブルース・ブレイカーズからクリーム時代の、
エリック・クラプトンの影響が大です。
楽曲の雰囲気を損なわないように、
覚えやすいメロディで、
コンパクトにまとめられたギターソロには、
クラプトン直系の、
微妙な音程のチョーキングや、
大きなヴィブラートといった、
ブルースギターのテクニックでいっぱいです。
私は、
そんなエースのギターソロを、
たいへんセンスのいいものであると、
評価しております。
しかし、
バンドの方針なのか、
エースの方針なのか、
歌のバックではほとんどオブリガード等を入れず、
ひたすらリズムギターに徹しているため、
リードギターにスポットが当たる時間が極端に少なく、
またあのメーキャップのおかげで、
音楽的な評価を得る機会そのものにも恵まれず、
結果として、
エースのギターは過小評価されているのが現状です。
これは、とても残念なことです。
長尺のギターソロで自己主張するよりも、
短くコンパクトにまとめる方が、
難易度が高いと思うのですが、
いかがなものでしょう。
さて、
エースのようなタイプのギタリストは、
海外ではあまり見かけないのですが、
おもしろいことに、
日本にはけっこうおります。
たとえば、
キャロル時代の内海利勝さんや、
ストリート・スライダーズ時代の土屋公平さんは、
間違いなく、
エース・タイプのギタリストです。
つまり、
ブルース・ブレイカーズからクリーム時代の
エリック・クラプトンの影響が大でありながら、
バンドのポップなサウンドを損なわないように、
短くコンパクトにまとめるギターソロが多いこと。
そういえば、
バンドにもう一人、
リズムギターを弾くギタリストがいることも、
共通しています。
これは、
同じく、
2本のギターでサウンドを組み立てている、
エアロスミスのようなバンドとは少し違った手法で、
どうやら、
目指すべき存在が、
ビートルズなのかストーンズなのかが、
分かれ道になるようです。
(ストリート・スライダーズは、
ルックスのおかげでストーンズ派に分類されがちですが、
バンドのコンセプトは間違いなくビートルズ派です)
最後に、
いまでも私の記憶に残る、
エース・フレイリーのギターソロ・ベストテイクですが、
「ショック・ミー/アルバム『ラブ・ガン』収録」
「ロケット・ライド/アルバム『アライブ〓』収録」
「スノウ・ブラインド/ソロアルバムに収録」
といったところでしょうか。
いずれの曲も、
エース節全開ではあるものの、
けっこうプッツンいきそうになる部分があって、
おもしろいサンプルだと思います。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
さて、
当初は『地獄の軍団』だけを語るつもりだったのに、
つい調子に乗って、
5回にわたってキッスを語ってしまいましたが、
今回で終了したいと思います。
私をロックへと導いた、
『地獄の軍団』は、
キッスの出世作として位置付けられるものの、
本人達はその手法をよしとせず、
次作『地獄のロック・ファイヤー(ROCK AND ROLL OVER)』
では、
もう一度原点に戻ったようなサウンドを展開します。
キッスが『地獄の軍団』の手法を、
自分達のものとするのは、
その次のアルバム『ラブ・ガン』においてでした。
そう考えると、
キッス・サウンドの完成は、
『ラブ・ガン』ということになるのですが、
その頃の私の興味の中心は、
すでに他のバンドへ移っていたため、
『地獄の軍団』のような感動を得ることはありませんでした。
しかし、
キッスのキャリアはその後も続き、
メンバーチェンジを経たり、
メイキャップをやめたり、
さまざまな困難を乗り越えながら、
アメリカン・ハードロックの王者の地位を守っていきます。
その姿は、
まさに1編のサクセスストーリーであり、
アメリカン・ドリームの体現として賛辞すべきものでしょう。
★2008/05/18 (Sun)
さて、
前回、前々回と、
キッスというバンドのコンセプトについて、
いろいろと考察してみましたが、
じつは、
ポール・スタンレイとジーン・シモンズは、
初期の段階で「ビートルズ」をイメージして、
バンドのコンセプトを作り上げたようです。
これは、
彼らが、
残りの2人のメンバーである、
ピーター・クリスとエース・フレーリーを選ぶ際に、
演奏の腕より、
リンゴとジョージに似ている声質であるかどうかにコダワッた、
という逸話から明らかになったことです。
とはいえ、
その逸話以前に、
ステージにおける、
ジーン、エース、ポールの立ち位置が、
初期のビートルスにそっくりではありますが…。
また、
この事実を裏付ける話として、
『地獄からの使者』、
『地獄の叫び』、
『地獄への接吻』、
という初期の3枚のアルバムのジャケットが、
それぞれビートルズの、
『WITH THE BEATLES』、
『MAGICAL MYSTERY TOUR』、
『ABBEY ROAD』のパロディである、
という指摘もあります。
なるほど、
並べてみると、
その通りかもしれません。
前回、前々回と、
キッスというバンドのコンセプトについて、
いろいろと考察してみましたが、
じつは、
ポール・スタンレイとジーン・シモンズは、
初期の段階で「ビートルズ」をイメージして、
バンドのコンセプトを作り上げたようです。
これは、
彼らが、
残りの2人のメンバーである、
ピーター・クリスとエース・フレーリーを選ぶ際に、
演奏の腕より、
リンゴとジョージに似ている声質であるかどうかにコダワッた、
という逸話から明らかになったことです。
とはいえ、
その逸話以前に、
ステージにおける、
ジーン、エース、ポールの立ち位置が、
初期のビートルスにそっくりではありますが…。
また、
この事実を裏付ける話として、
『地獄からの使者』、
『地獄の叫び』、
『地獄への接吻』、
という初期の3枚のアルバムのジャケットが、
それぞれビートルズの、
『WITH THE BEATLES』、
『MAGICAL MYSTERY TOUR』、
『ABBEY ROAD』のパロディである、
という指摘もあります。
なるほど、
並べてみると、
その通りかもしれません。
★2008/05/14 (Wed)
(前回からのつづきです)
キッスのセカンドアルバム、
『地獄の叫び/キッス(HOTTER THAN HELL/KISS)』は、
『地獄の軍団』までのアルバムの中では、
最後に日本国内で発売されました。
SDE1
1.ゴット・トゥ・チューズ
(Got To Choose)
2.パラサイト
(Parasite)
3.ゴーイン・ブラインド
(Goin' Blind)
4.ホッター・ザン・ヘル
(Hotter Than Hell)
5.レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール
(Let Me Go, Rock'n Roll)
SIDE2
1.オール・ザ・ウェイ
(All The Way)
2.ウォッチン・ユー
(Watchin' You)
3.メインライン
(Mainline)
4.カミン・ホーム
(Comin' Home)
5.ストレンジ・ウェイズ
(Strange Ways)
『地獄の叫び』は、
まるで、
地下鉄が発する、
レールの軋み音のような、
金属的なギターのリフにつづいて、
チョーキングのハモリが鮮やかに、
「クィーンクィーン」とくる、
「ゴット・トゥ・チューズ」で幕を開けます。
一聴するなり、
「うわっ、重たい」
ファーストアルバム『地獄からの使者』とは、
かなり違ったサウンドに仕上がっていました。
つづいて、
ギターの単音リフがカッコイイ、
名曲の誉れ高い「パラサイト」。
歪んだギターのアルペジオの間を、
リードギターのようなベースがメロディを奏でる、
ヘヴィ・バラード「ゴーイン・ブラインド」。
歯切れのいいリフと、
対照的に重たいサウンドが耳に残る、
アルバム・タイトル・チューン、
「ホッター・ザン・ヘル」。
前作における、
軽やかなサウンドはどこへやら、
このアルバムでキッスは、
重金属的な重たいサウンドを聴かせています。
それは、
当時はまだ一般的な表現ではありませんでしたが、
いわゆる“ヘヴィメタル”サウンドそのものです。
ドラムの残響処理に特徴があって、
水平方向にペシャッと響く、
ミョーなサウンドになっています。
これがまた、
全体のサウンドを重くしている要因のひとつでしょう。
前作の延長線上にあるような作風の、
「レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール」も、
軽やかにならずひたすら重い。
キッスはこのアルバムで、
自分たちが“ハードロック”・バンドであることを、
宣言したのです。
『地獄の叫び』は、
怒濤の勢いのA面に比べると、
B面が少々気が抜けていて、
「ウォッチン・ユー」以外は、
あまり聴きものがありませんが、
ファンの間では「初期の最高傑作」、
「キッスのヘヴィメタルな面を堪能したければ、
このアルバムである」と言われつづけている作品です。
(エースが弾きまくっていることでも有名です)
しかし、
彼らはこれほどの内容の作品にも、
けっして満足することはなかったのでした。
さて、
サードアルバム、
『地獄への接吻/キッス(DRESSED TO KILL/KISS)』へ続きます。
SDE1
1.ルーム・サービス
(Room Service)
2.トゥー・タイマー
(Two Timer)
3.レディス・イン・ウェイティング
(Ladies In Waiting)
4.ゲット・アウェイ
(Getaway)
5.ロック・ボトム
(Rock Bottom)
SIDE2
1.激しい愛を
(C'mon And Love Me)
2.あの娘のために
(Anything For My Baby)
3.彼女
(She)
4.すべての愛を
(Love Her All I Can)
5.ロックン・ロール・オール・ナイト
(Rock And Roll All Nite)
このアルバムは、
前2作で聴かせた、
軽やかなロックンロールと、
ヘヴィメタル・サウンドがほどよくブレンドされていますが、
最大の特徴は、
全体的に“ポップ”な音作りを心がけていることで、
それは、
シングルカットされた、
「激しい愛を」や
「ロックン・ロール・オール・ナイト」に象徴されている通りです。
ここで明らかになることは、
キッスというバンドは、
パンクロックや、
ヘヴィメタルロックのマニアックな世界で、
そこそこの成功をおさめるのではなく、
アメリカを代表するようなバンドになって、
大きな成功をおさめることを、
当初から活動目的にしていたということです。
『地獄への接吻』は、
全米ヒットチャートに上がるような、
シングル曲を意識した作りになっています。
この点が前2作と大きく異なっているのです。
アルバムを制作するに当たって、
収録曲の数が足らず、
ジーン・シモンズは、
キッス以前に活動していたバンドの曲を持って来た、
という逸話があります。
そのせいか、
このアルバムは、
各曲の出来不出来のレベルの差が激しく、
ポイントとなる曲以外は、
あまり聴くべきもののない作品になっています。
こういうアルバムの作り方は、
アメリカのバンド、
とくにそれなりにヒット曲を持っているバンドに、
よく見られるパターンです。
みなさんは、
シングルヒットした有名曲だけが聴きもので、
あとはまったく聴く気にならないアルバムを、
体験したことがありませんか?
このように、
『地獄への接吻』は、
シングルカット候補曲を中心に制作された作品です。
その背景には、
もうこのアルバムで結果が出なかったらすべてが終わり、
という、
切羽詰まったバンドの事情があったようです。
結果的に、
シングルカットされた、
「ロックン・ロール・オール・ナイト」と
「激しい愛を」が、
デトロイトを中心としたローカルエリアで、
スマッシュヒットを放ったからよかったようなものの、
これがなかったら、
キッスというバンドは、
世に出ることなく終わってしまったかもしれません。
この後、
次作『地獄の狂獣(KISS ALIVE)』が、
彼らの熱狂的なライブを伝える作品としてブレイクし、
敏腕プロデューサー、
ボブ・エズリンを迎えた、
スタジオ作品の傑作『地獄の軍団』がブレイクしたことで、
キッスは一気に、
スターダムをのし上がって行きました。
このへんは、広く知られていることでしょう。
さて、
このように、
キッス初期の3枚のアルバムは、
それぞれ違った印象の作品になっており、
そこからは、
未来のスターを夢見るミュージシャンが、
悪戦苦闘している姿が見えてきます。
ロック初心者だった私が、
若いバンドが成功をおさめていく過程を、
リアルタイムで体験できたことは、
大きな意味を持っていたのではないでしょうか。
そして、
どのバンドでも、
ブレイクする直前の時期が、
いちばんおもしろい作品を作る、
創造性に富んだ時期であることということは、
間違いのない事実でしょう。
キッスのセカンドアルバム、
『地獄の叫び/キッス(HOTTER THAN HELL/KISS)』は、
『地獄の軍団』までのアルバムの中では、
最後に日本国内で発売されました。
SDE1
1.ゴット・トゥ・チューズ
(Got To Choose)
2.パラサイト
(Parasite)
3.ゴーイン・ブラインド
(Goin' Blind)
4.ホッター・ザン・ヘル
(Hotter Than Hell)
5.レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール
(Let Me Go, Rock'n Roll)
SIDE2
1.オール・ザ・ウェイ
(All The Way)
2.ウォッチン・ユー
(Watchin' You)
3.メインライン
(Mainline)
4.カミン・ホーム
(Comin' Home)
5.ストレンジ・ウェイズ
(Strange Ways)
『地獄の叫び』は、
まるで、
地下鉄が発する、
レールの軋み音のような、
金属的なギターのリフにつづいて、
チョーキングのハモリが鮮やかに、
「クィーンクィーン」とくる、
「ゴット・トゥ・チューズ」で幕を開けます。
一聴するなり、
「うわっ、重たい」
ファーストアルバム『地獄からの使者』とは、
かなり違ったサウンドに仕上がっていました。
つづいて、
ギターの単音リフがカッコイイ、
名曲の誉れ高い「パラサイト」。
歪んだギターのアルペジオの間を、
リードギターのようなベースがメロディを奏でる、
ヘヴィ・バラード「ゴーイン・ブラインド」。
歯切れのいいリフと、
対照的に重たいサウンドが耳に残る、
アルバム・タイトル・チューン、
「ホッター・ザン・ヘル」。
前作における、
軽やかなサウンドはどこへやら、
このアルバムでキッスは、
重金属的な重たいサウンドを聴かせています。
それは、
当時はまだ一般的な表現ではありませんでしたが、
いわゆる“ヘヴィメタル”サウンドそのものです。
ドラムの残響処理に特徴があって、
水平方向にペシャッと響く、
ミョーなサウンドになっています。
これがまた、
全体のサウンドを重くしている要因のひとつでしょう。
前作の延長線上にあるような作風の、
「レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール」も、
軽やかにならずひたすら重い。
キッスはこのアルバムで、
自分たちが“ハードロック”・バンドであることを、
宣言したのです。
『地獄の叫び』は、
怒濤の勢いのA面に比べると、
B面が少々気が抜けていて、
「ウォッチン・ユー」以外は、
あまり聴きものがありませんが、
ファンの間では「初期の最高傑作」、
「キッスのヘヴィメタルな面を堪能したければ、
このアルバムである」と言われつづけている作品です。
(エースが弾きまくっていることでも有名です)
しかし、
彼らはこれほどの内容の作品にも、
けっして満足することはなかったのでした。
さて、
サードアルバム、
『地獄への接吻/キッス(DRESSED TO KILL/KISS)』へ続きます。
SDE1
1.ルーム・サービス
(Room Service)
2.トゥー・タイマー
(Two Timer)
3.レディス・イン・ウェイティング
(Ladies In Waiting)
4.ゲット・アウェイ
(Getaway)
5.ロック・ボトム
(Rock Bottom)
SIDE2
1.激しい愛を
(C'mon And Love Me)
2.あの娘のために
(Anything For My Baby)
3.彼女
(She)
4.すべての愛を
(Love Her All I Can)
5.ロックン・ロール・オール・ナイト
(Rock And Roll All Nite)
このアルバムは、
前2作で聴かせた、
軽やかなロックンロールと、
ヘヴィメタル・サウンドがほどよくブレンドされていますが、
最大の特徴は、
全体的に“ポップ”な音作りを心がけていることで、
それは、
シングルカットされた、
「激しい愛を」や
「ロックン・ロール・オール・ナイト」に象徴されている通りです。
ここで明らかになることは、
キッスというバンドは、
パンクロックや、
ヘヴィメタルロックのマニアックな世界で、
そこそこの成功をおさめるのではなく、
アメリカを代表するようなバンドになって、
大きな成功をおさめることを、
当初から活動目的にしていたということです。
『地獄への接吻』は、
全米ヒットチャートに上がるような、
シングル曲を意識した作りになっています。
この点が前2作と大きく異なっているのです。
アルバムを制作するに当たって、
収録曲の数が足らず、
ジーン・シモンズは、
キッス以前に活動していたバンドの曲を持って来た、
という逸話があります。
そのせいか、
このアルバムは、
各曲の出来不出来のレベルの差が激しく、
ポイントとなる曲以外は、
あまり聴くべきもののない作品になっています。
こういうアルバムの作り方は、
アメリカのバンド、
とくにそれなりにヒット曲を持っているバンドに、
よく見られるパターンです。
みなさんは、
シングルヒットした有名曲だけが聴きもので、
あとはまったく聴く気にならないアルバムを、
体験したことがありませんか?
このように、
『地獄への接吻』は、
シングルカット候補曲を中心に制作された作品です。
その背景には、
もうこのアルバムで結果が出なかったらすべてが終わり、
という、
切羽詰まったバンドの事情があったようです。
結果的に、
シングルカットされた、
「ロックン・ロール・オール・ナイト」と
「激しい愛を」が、
デトロイトを中心としたローカルエリアで、
スマッシュヒットを放ったからよかったようなものの、
これがなかったら、
キッスというバンドは、
世に出ることなく終わってしまったかもしれません。
この後、
次作『地獄の狂獣(KISS ALIVE)』が、
彼らの熱狂的なライブを伝える作品としてブレイクし、
敏腕プロデューサー、
ボブ・エズリンを迎えた、
スタジオ作品の傑作『地獄の軍団』がブレイクしたことで、
キッスは一気に、
スターダムをのし上がって行きました。
このへんは、広く知られていることでしょう。
さて、
このように、
キッス初期の3枚のアルバムは、
それぞれ違った印象の作品になっており、
そこからは、
未来のスターを夢見るミュージシャンが、
悪戦苦闘している姿が見えてきます。
ロック初心者だった私が、
若いバンドが成功をおさめていく過程を、
リアルタイムで体験できたことは、
大きな意味を持っていたのではないでしょうか。
そして、
どのバンドでも、
ブレイクする直前の時期が、
いちばんおもしろい作品を作る、
創造性に富んだ時期であることということは、
間違いのない事実でしょう。
★2008/05/11 (Sun)
前回、
キッスの『地獄の軍団』について語ったところ、
今度は、
彼らの初期の作品について語りたくなってしまいました。
そこで今回は、
一度どこかで特集してみたかった、
初期のキッスについて、
「私の人生を変えたアルバム〓特別編」として、
語ってみようと思います。
キッスのアルバムは、
デビューからリアルタイムで日本に紹介されたわけではなく、
まず、
サードアルバム『地獄への接吻(DRESSED TO KILL)』で、
日本デビューを果たし、
それから『地獄の狂獣(KISS ALIVE)』、
『地獄の軍団(DESTROYER)』がリアルタイムで発売され、
その後、
ファースト、セカンドの順に、
後追いの形で発売されたと記憶しています。
『地獄の軍団』から衝撃を受けた私は、
このような形で発売されたキッスのアルバムを、
ファーストから順番に買い揃えたのでした。
それは中学3年当時(1976年)のことです。
それではまず、
ファーストアルバム、
『地獄からの使者/キッス(KISS/KISS)』について、
語ってみましょう。
SDE1
1.ストラッター
(Strutter)
2.ナッシン・トゥ・ルーズ
(Nothin' To Lose)
3.ファイヤーハウス
(Firehouse)
4.コールド・ジン
(Cold Gin)
5.レット・ミー・ノウ
(Let Me Know)
SIDE2
1.キッシン・タイム
(Kissin' Time)
2.デュース
(Deuce)
3.キッスのテーマ
(Love Theme From KISS)
4.10万年の彼方
(100,000 Years)
5.ブラック・ダイヤモンド
(Black Diamond)
『地獄の軍団』よりもオドロオドロしいけれど、
どことなく安っぽく感じられるジャケットに、
一抹の不安を覚えながら、
針を落としてみると果たして…、
「ドコドコドコトンッ、ジャララーンッ」と、
軽やかに、
そう、
それはそれは軽やかに「ストラッター」が始まったのでした。
軽い、
あまりにも軽い、
肩透かしを食らったように軽快なロックンロールに続いて、
ポコポコとカウベルが鳴り、
ピアノが入る、
これまた軽快な「ナッシン・トゥ・ルーズ」が始まります。
これはどことなく「狂気の叫び」を思わせる、
印象的なリフレインの曲ですが、
アメリカンポルノみたいな歌詞が大笑いで、
とてもシリアスにはなれません。
続いて、
巷のウワサでは、
この曲でジーンが火を吹くらしいと言われていた、
「ファイヤーハウス」。
本当はもっとヘヴィなイメージなのでしょうが、
録音のせいか軽やかで薄っぺらいサウンドになっています。
エンディングのサイレンがいかにもショボくて、
なにやら情けない気分になっていると、
「ファイヤーハウス」にそっくりな「コールド・ジン」が始まり…、
(この2曲の並びはよろしくないですね)
全曲を聴き終える頃には、
なんだかどの曲も同じに聴こえ、
退屈の極限に達したところで、
針が上がったのでした。
キッスのサウンドが、
ビジュアルから受けたイメージのように、
暗く禍々しいものではないことは、
『地獄の軍団』でわかっていましたが、
正直ここまで明るく軽やかに、
スコーンと抜けた、
乾いた音を展開されると、
少々複雑な思いにかられたものです。
このアルバムがアメリカで発表されたのは1974年。
そして、
デビュー当時の彼らは、
ニューヨークで活動していました。
後になって、
いろいろ考えてみると、
ニューヨーク・ドールズと、
ほぼ同じ時期に同じ場所で活動していたのです。
そういえば、
『地獄からの使者』で聴ける軽快なロックンロールは、
ニューヨーク・ドールズに通じるものがあります。
グラムロックのブームが終わり、
ニューヨークではパンクロックの動きが始まろうとしていた、
まさにそのタイミングで、
キッスはデビューし、
ファーストアルバムを発表したのです。
あのメーキャップはグラムロックからの流れであり、
あのサウンドはニューヨークパンクへの流れであるとすると、
その誕生の経緯が理解できるというものです。
あの軽さ、安っぽさはそれゆえのものかもしれません。
また、
このファーストアルバムは、
当時のライブの定番曲で固めてあったため、
すでに、
しっかりできあがっていたバンドのコンセプトのおかげで、
全曲が同じように聴こえたのかもしれません。
見方を変えれば、
デビューアルバムの時点で、
全曲が同じ方向性で統一されていた、
完成度の高いサウンドである、
ということになるのではないでしょうか。
それは、
とくにギターのトーンに関して顕著で、
『地獄の軍団』で鳴りわたっていた、
キュンキュンとうなる、
エース特有のリードギターは、
すでにこのアルバムで聴くことができます。
私はといえば、
最初こそ戸惑いはしたものの、
何回か聴くうちに、
すっかりこの軽いロックンロールが気に入ってしまい、
中3の夏頃には、
それこそ毎日のように、
『地獄からの使者』を聴くようになりました。
とくに「ストラッター」はこの後、
私のフェイバリット・ソングとなり、
今だにときどき聴いているほどです。
さて、
このままであったら、
キッスは、
パンクロックムーブメントでブレイクし、
そこそこの成功をおさめる程度で終わったかもしれなかったのですが、
ご存知のように、
そうはなりませんでした。
なぜそうはならなかったのかについては、
次回でお話しすることにしましょう。
キッスの『地獄の軍団』について語ったところ、
今度は、
彼らの初期の作品について語りたくなってしまいました。
そこで今回は、
一度どこかで特集してみたかった、
初期のキッスについて、
「私の人生を変えたアルバム〓特別編」として、
語ってみようと思います。
キッスのアルバムは、
デビューからリアルタイムで日本に紹介されたわけではなく、
まず、
サードアルバム『地獄への接吻(DRESSED TO KILL)』で、
日本デビューを果たし、
それから『地獄の狂獣(KISS ALIVE)』、
『地獄の軍団(DESTROYER)』がリアルタイムで発売され、
その後、
ファースト、セカンドの順に、
後追いの形で発売されたと記憶しています。
『地獄の軍団』から衝撃を受けた私は、
このような形で発売されたキッスのアルバムを、
ファーストから順番に買い揃えたのでした。
それは中学3年当時(1976年)のことです。
それではまず、
ファーストアルバム、
『地獄からの使者/キッス(KISS/KISS)』について、
語ってみましょう。
SDE1
1.ストラッター
(Strutter)
2.ナッシン・トゥ・ルーズ
(Nothin' To Lose)
3.ファイヤーハウス
(Firehouse)
4.コールド・ジン
(Cold Gin)
5.レット・ミー・ノウ
(Let Me Know)
SIDE2
1.キッシン・タイム
(Kissin' Time)
2.デュース
(Deuce)
3.キッスのテーマ
(Love Theme From KISS)
4.10万年の彼方
(100,000 Years)
5.ブラック・ダイヤモンド
(Black Diamond)
『地獄の軍団』よりもオドロオドロしいけれど、
どことなく安っぽく感じられるジャケットに、
一抹の不安を覚えながら、
針を落としてみると果たして…、
「ドコドコドコトンッ、ジャララーンッ」と、
軽やかに、
そう、
それはそれは軽やかに「ストラッター」が始まったのでした。
軽い、
あまりにも軽い、
肩透かしを食らったように軽快なロックンロールに続いて、
ポコポコとカウベルが鳴り、
ピアノが入る、
これまた軽快な「ナッシン・トゥ・ルーズ」が始まります。
これはどことなく「狂気の叫び」を思わせる、
印象的なリフレインの曲ですが、
アメリカンポルノみたいな歌詞が大笑いで、
とてもシリアスにはなれません。
続いて、
巷のウワサでは、
この曲でジーンが火を吹くらしいと言われていた、
「ファイヤーハウス」。
本当はもっとヘヴィなイメージなのでしょうが、
録音のせいか軽やかで薄っぺらいサウンドになっています。
エンディングのサイレンがいかにもショボくて、
なにやら情けない気分になっていると、
「ファイヤーハウス」にそっくりな「コールド・ジン」が始まり…、
(この2曲の並びはよろしくないですね)
全曲を聴き終える頃には、
なんだかどの曲も同じに聴こえ、
退屈の極限に達したところで、
針が上がったのでした。
キッスのサウンドが、
ビジュアルから受けたイメージのように、
暗く禍々しいものではないことは、
『地獄の軍団』でわかっていましたが、
正直ここまで明るく軽やかに、
スコーンと抜けた、
乾いた音を展開されると、
少々複雑な思いにかられたものです。
このアルバムがアメリカで発表されたのは1974年。
そして、
デビュー当時の彼らは、
ニューヨークで活動していました。
後になって、
いろいろ考えてみると、
ニューヨーク・ドールズと、
ほぼ同じ時期に同じ場所で活動していたのです。
そういえば、
『地獄からの使者』で聴ける軽快なロックンロールは、
ニューヨーク・ドールズに通じるものがあります。
グラムロックのブームが終わり、
ニューヨークではパンクロックの動きが始まろうとしていた、
まさにそのタイミングで、
キッスはデビューし、
ファーストアルバムを発表したのです。
あのメーキャップはグラムロックからの流れであり、
あのサウンドはニューヨークパンクへの流れであるとすると、
その誕生の経緯が理解できるというものです。
あの軽さ、安っぽさはそれゆえのものかもしれません。
また、
このファーストアルバムは、
当時のライブの定番曲で固めてあったため、
すでに、
しっかりできあがっていたバンドのコンセプトのおかげで、
全曲が同じように聴こえたのかもしれません。
見方を変えれば、
デビューアルバムの時点で、
全曲が同じ方向性で統一されていた、
完成度の高いサウンドである、
ということになるのではないでしょうか。
それは、
とくにギターのトーンに関して顕著で、
『地獄の軍団』で鳴りわたっていた、
キュンキュンとうなる、
エース特有のリードギターは、
すでにこのアルバムで聴くことができます。
私はといえば、
最初こそ戸惑いはしたものの、
何回か聴くうちに、
すっかりこの軽いロックンロールが気に入ってしまい、
中3の夏頃には、
それこそ毎日のように、
『地獄からの使者』を聴くようになりました。
とくに「ストラッター」はこの後、
私のフェイバリット・ソングとなり、
今だにときどき聴いているほどです。
さて、
このままであったら、
キッスは、
パンクロックムーブメントでブレイクし、
そこそこの成功をおさめる程度で終わったかもしれなかったのですが、
ご存知のように、
そうはなりませんでした。
なぜそうはならなかったのかについては、
次回でお話しすることにしましょう。