「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2008/11/30 (Sun)
私的ロック評論シリーズの第7弾です。
第7回は、
『JEFF BECK GROUP』です。
『ジェフ・ベック・グループ/JEFF BECK GROUP』
(通称:『オレンジ』)
(1972年発表)
SDE1
1.アイスクリーム・ケーキ
(Ice Cream Cakes)
2.グラッド・オール・オーヴァー
(Glad All Over)
3.今宵はきみと
(Tonight I'll Be Staying Here With You)
4.シュガー・ケイン
(Sugar Cane)
5.帰らぬ愛
(I Can't Give Back The Love I Feel For You)
SIDE2
6.ゴーイング・ダウン
(Going Down)
7.アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング
(I Got To Have A Song)
8.ハイウェイズ
(Highways)
9.デフィニットリー・メイビー
(Definitely Maybe)
リッチー・ブラックモアに触発され、
エキセントリックなテクニシャンを目指すようになったものの、
コーラスワークに挫折して、
ユーライア・ヒープ的バンドサウンドをあきらめた私でしたが、
高校生活の半ばにして、
もうひとつ大きな挫折を味わうことになりました。
それは、
ハードロック系ギタリストのテクニックが、
飛躍的に向上したことによるものでした。
私が高校2年の頃、
ハードロック・シーンにおける
重要な作品が続々と発表されましたが、
とくに、
スコーピオンズの『蠍団爆発/Tokyo Tapes』、
そして、
ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムは
大きな話題になりました。
スコーピオンズについては、
スタジオ盤ではわからなかった、
ウルリッヒ・ロスの存在が、
来日公演をきっかけとして明らかになり、
その驚異的なテクニックと
圧倒的な破壊力が注目されるようになりました。
ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムも同様で、
エディ・ヴァン・ヘイレンは、
ライトハンド奏法という新たな分野を開拓しただけでなく、
その明るく破天荒なキャラクターが、
時代が生んだヒーローというイメージで、
“将来の大物”を予感させるに
十分な存在感を示していました。
両者ともストラト・プレイヤーで、
それまでのテクニシャンとは一線を画する、
群を抜いた技術を持っている点が共通していました。
私はここで、
ハードロック系ギタリストのテクニックが、
大きくレベルアップしたことを実感したのです。
そして私は、
スコーピオンズが発表した、
『暴虐の蠍団/Taken By Force』収録の、
「カロンの渡し守」という曲で、
再現不可能な個所に遭遇し、
そこで悪戦苦闘している最中に、
ヴァン・ヘイレンのセカンドアルバムが発表され、
「うわぁ〜もうついていけねぇ〜っ」
という状況に陥ってしまったのでした。
私にとって、
“機械的に速く弾く”、
という分野の技術は、
どうやら、
このへんが限界だったようです。
いずれにしても私は、
世界のトップがこのレベルである以上、
この上を狙うことが不可能となれば、
別の切り口を探さねばならない、
と真剣に考えたのでありました。
そんなときに出会ったのが、
このアルバム、
『ジェフ・ベック・グループ』です。
ジェフ・ベックについてはすでに、
『ブロウ・バイ・ブロウ』を持っており、
(当時は『ギター殺人者の凱旋』という
トンデモナイ邦題がついていました…)
すでにそのサウンドを耳にしていたのですが、
折り悪く、
当時はフュージョンブームの最盛期であり、
どうもそのフュージョンっぽいサウンドに馴染めず、
それほど聴き込んでいない状態でした。
『ジェフ・ベック・グループ』は、
『ブロウ・バイ・ブロウ』へつながる作品であり、
基本的なサウンドコンセプトはよく似ています。
しかし、
このアルバムは、
スタンスをハードロックに置いてあるため、
当時の私には親しみやすかったのです。
私は初めて、
16ビート系のリズムとマトモに向き合うことになりました。
そして最終的に、
「アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング」のような、
リズムカッティングのおもしろさにハマってしまったのです。
私はこのアルバムをきっかけとして、
スティービー・ワンダーや
ブッカーT&MG’Sのアルバムを聴くようになり、
自分にはブルースよりも、
ソウルやファンクの方が相性がいいということを
確信するに至るのでした。
16ビートのカッティングをカッコよくキメたいっ…。
アルバムは、
文句なくカッコイイ、
「アイスクリーム・ケーキ」や
「ゴーイング・ダウン」…。
『ブロウ・バイ・ブロウ』を予感させるに十分な、
「帰らぬ愛」、「デフィニットリー・メイビー」…。
16ビートがズンズンとくる、
「グラッド・オール・オーヴァー」、
「アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング」、
「ハイウェイズ」…。
名曲がズラリと並んでいて、
何度聴いても飽きることがありません。
そういえば、
今でも、
「今宵はきみと」を演奏することがあり、
そういう意味では、
“私の人生を変えたアルバム”というより、
“ずっと私の側で支えてくれたアルバム”、
と表現した方が適切かもしれません。
作品全編にちりばめられた、
エレピのジャズっぽい響きがオシャレで、
ここから私は、
あまりギターでは使わない、
テンションコードに興味を持つようになりました。
この後、
『ブロウ・バイ・ブロウ』に対する、
認識が改まったことは言うまでもありませんが、
さらに、
スタンリー・クラークを連れた、
ジェフ・ベックの来日公演を見て、
私は彼を、
“師匠”として崇拝するに至るのです。
そして、
私の音楽人生においては、
この後、
さらに重要な作品と出会うことで、
現在の自分のスタイルが確立されることになるのですが、
その作品については、
次回ということにしましょう。
あらためて、
本当にスゴい作品です。
36年も前の作品か…これがっ!
第7回は、
『JEFF BECK GROUP』です。
『ジェフ・ベック・グループ/JEFF BECK GROUP』
(通称:『オレンジ』)
(1972年発表)
SDE1
1.アイスクリーム・ケーキ
(Ice Cream Cakes)
2.グラッド・オール・オーヴァー
(Glad All Over)
3.今宵はきみと
(Tonight I'll Be Staying Here With You)
4.シュガー・ケイン
(Sugar Cane)
5.帰らぬ愛
(I Can't Give Back The Love I Feel For You)
SIDE2
6.ゴーイング・ダウン
(Going Down)
7.アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング
(I Got To Have A Song)
8.ハイウェイズ
(Highways)
9.デフィニットリー・メイビー
(Definitely Maybe)
リッチー・ブラックモアに触発され、
エキセントリックなテクニシャンを目指すようになったものの、
コーラスワークに挫折して、
ユーライア・ヒープ的バンドサウンドをあきらめた私でしたが、
高校生活の半ばにして、
もうひとつ大きな挫折を味わうことになりました。
それは、
ハードロック系ギタリストのテクニックが、
飛躍的に向上したことによるものでした。
私が高校2年の頃、
ハードロック・シーンにおける
重要な作品が続々と発表されましたが、
とくに、
スコーピオンズの『蠍団爆発/Tokyo Tapes』、
そして、
ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムは
大きな話題になりました。
スコーピオンズについては、
スタジオ盤ではわからなかった、
ウルリッヒ・ロスの存在が、
来日公演をきっかけとして明らかになり、
その驚異的なテクニックと
圧倒的な破壊力が注目されるようになりました。
ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムも同様で、
エディ・ヴァン・ヘイレンは、
ライトハンド奏法という新たな分野を開拓しただけでなく、
その明るく破天荒なキャラクターが、
時代が生んだヒーローというイメージで、
“将来の大物”を予感させるに
十分な存在感を示していました。
両者ともストラト・プレイヤーで、
それまでのテクニシャンとは一線を画する、
群を抜いた技術を持っている点が共通していました。
私はここで、
ハードロック系ギタリストのテクニックが、
大きくレベルアップしたことを実感したのです。
そして私は、
スコーピオンズが発表した、
『暴虐の蠍団/Taken By Force』収録の、
「カロンの渡し守」という曲で、
再現不可能な個所に遭遇し、
そこで悪戦苦闘している最中に、
ヴァン・ヘイレンのセカンドアルバムが発表され、
「うわぁ〜もうついていけねぇ〜っ」
という状況に陥ってしまったのでした。
私にとって、
“機械的に速く弾く”、
という分野の技術は、
どうやら、
このへんが限界だったようです。
いずれにしても私は、
世界のトップがこのレベルである以上、
この上を狙うことが不可能となれば、
別の切り口を探さねばならない、
と真剣に考えたのでありました。
そんなときに出会ったのが、
このアルバム、
『ジェフ・ベック・グループ』です。
ジェフ・ベックについてはすでに、
『ブロウ・バイ・ブロウ』を持っており、
(当時は『ギター殺人者の凱旋』という
トンデモナイ邦題がついていました…)
すでにそのサウンドを耳にしていたのですが、
折り悪く、
当時はフュージョンブームの最盛期であり、
どうもそのフュージョンっぽいサウンドに馴染めず、
それほど聴き込んでいない状態でした。
『ジェフ・ベック・グループ』は、
『ブロウ・バイ・ブロウ』へつながる作品であり、
基本的なサウンドコンセプトはよく似ています。
しかし、
このアルバムは、
スタンスをハードロックに置いてあるため、
当時の私には親しみやすかったのです。
私は初めて、
16ビート系のリズムとマトモに向き合うことになりました。
そして最終的に、
「アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング」のような、
リズムカッティングのおもしろさにハマってしまったのです。
私はこのアルバムをきっかけとして、
スティービー・ワンダーや
ブッカーT&MG’Sのアルバムを聴くようになり、
自分にはブルースよりも、
ソウルやファンクの方が相性がいいということを
確信するに至るのでした。
16ビートのカッティングをカッコよくキメたいっ…。
アルバムは、
文句なくカッコイイ、
「アイスクリーム・ケーキ」や
「ゴーイング・ダウン」…。
『ブロウ・バイ・ブロウ』を予感させるに十分な、
「帰らぬ愛」、「デフィニットリー・メイビー」…。
16ビートがズンズンとくる、
「グラッド・オール・オーヴァー」、
「アイ・ガット・トゥ・ハヴ・ア・ソング」、
「ハイウェイズ」…。
名曲がズラリと並んでいて、
何度聴いても飽きることがありません。
そういえば、
今でも、
「今宵はきみと」を演奏することがあり、
そういう意味では、
“私の人生を変えたアルバム”というより、
“ずっと私の側で支えてくれたアルバム”、
と表現した方が適切かもしれません。
作品全編にちりばめられた、
エレピのジャズっぽい響きがオシャレで、
ここから私は、
あまりギターでは使わない、
テンションコードに興味を持つようになりました。
この後、
『ブロウ・バイ・ブロウ』に対する、
認識が改まったことは言うまでもありませんが、
さらに、
スタンリー・クラークを連れた、
ジェフ・ベックの来日公演を見て、
私は彼を、
“師匠”として崇拝するに至るのです。
そして、
私の音楽人生においては、
この後、
さらに重要な作品と出会うことで、
現在の自分のスタイルが確立されることになるのですが、
その作品については、
次回ということにしましょう。
あらためて、
本当にスゴい作品です。
36年も前の作品か…これがっ!
PR
★2008/11/23 (Sun)
今回は、
ユーライア・ヒープの
凄腕ベーシストたちを話題にしたタイミングなので、
いままで文字にすることのなかった、
私が好きなベーシストたちについて、
語ってみたいと思います。
〓ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)
〓クリス・スクワイア(イエス)
〓ゲディ・リー(ラッシュ)
いわゆる、
“ゴリゴリ、ドリドリン”派です。
もし、
私がベースを弾いたら、
間違いなく、
このように弾くことでしょう。
ジョン・エントウィッスルについては、
フレーズのみならず、
音色が素晴らしいですね。
彼は生前、
弦高を極限まで下げて、
他のフレットにビビる音が好きだ、
と語っておりましたが、
そのまま普通にやっても、
こんなに綺麗に鳴らすことは、
なかなかできないでしょう。
それから、
薄笑いを浮かべながら、
物凄いプレイをする、
いかにも“不良っ”というたたずまいも、
素晴らしいですね。
クリス・スクワイアは、
ジョン・エントウィッスルに影響を受けたということですが、
私が好きなのは、
ビル・ブラッフォードとのコンビネーションで
変拍子をビシバシと決める瞬間。
アルバム『こわれもの』のプレイです。
じつは彼は、
イエスの影のリーダーだったようで、
たしかに、
あのベースがなくなるとイエスじゃない、
ということになりますね。
それにしても、
イエスのコピーバンドをやるなら、
ギターよりベースをやりたいなぁ。
ゲディ・リーも、
系統的には先の2人とまったく同じですが、
この方は、
歌は歌うは鍵盤は弾くはで、
実に多才というか、
大道芸的な技術の持ち主です。
私は20歳前後の時期に、
トリオこそロックバンドの理想形、
などと考えていたことがあり、
彼のようなベーシストがいないものか、
とマジで探したことがありました。
ラッシュのプレイは、
かなり“ゴリゴリ、ドリドリン”度が高いのですが、
この人はピックを使わず、
指オンリーなんですね。
もっとも、
そうでなければ、
いきなり鍵盤を押さえることができないわけで、
当たり前といえば当たり前のことですが…。
というわけで、
私は「リッケンバッカー♯4001」ベースが好きです。
もっとも実際に弾いてみたら、
弾きにくいわ、
音はボワンボワンだわで、
ダメだこりゃ状態でしたが…ね。
〓パーシー・ジョーンズ(ブランドX)
〓ミック・カーン(ジャパン)
〓ジャコ・パストリアス
“ゴリゴリ、ドリドリン”の一方で、
フレットレスベースの
摩訶不思議さと色気も捨てがたいですね。
パーシー・ジョーンズは、
露骨にジャズっぽくなく、
クールで陰影に富んでいるところがGOODです。
ブランドXの『ライブストック』は、
まさに恰好のサンプルですが、
それでいて、
とつぜんファンキーになったり、
ジャズっぽくなったり、
基本的にはかなり器用な方のようです。
ブランドXは、
クロスオーバーやフュージョンに対する、
イギリスからの回答ということで、
そのいかにも英国人らしい気質もGOODですね。
ミック・カーン、
この“ぶび、ぶばっ、みょ〜ん”の、
金魚男のプレイにブッ飛んだのは、
「孤独の影」のPVを見て以来で、
たしか以前はこんな感じではなかったようですが、
このへんからはかなりイッていて、
たいへんGOODです。
彼は、
前述のパーシー・ジョーンズを
敬愛しているということですが、
ソロ・アルバムなどを聴くと、
パーシーほど柔軟な曲展開ではなく、
ゴツゴツとした彫刻のような、
(そういえば、彫刻家でもありましたな…)
断片的でコラージュっぽい曲に特徴があり、
それが、
“ぶびっ、ぶぱっ、みょ〜ん”と、
音の隙間と
フレットレスならではの気持ち悪さを生かした音に、
たいへんマッチしているといえるでしょう。
ソロアルバム『BESTIAL CLUSTER』はサイコーです。
で…、
ベタですが、
やはりジャコ・パストリアスは素晴らしい。
ただ私としては、
彼の場合ソロよりも、
バンド形態の作品の方がいいと思います。
それは、
彼のベースの持ち味は、
主旋律にうまく寄り添ったときに、
信じられない程美しい空間が演出できる点
だと思うからです。
そう考えると、
パット・メセニーのファーストアルバムや
ウェザー・リポートの諸作品がGOOD、
ということになるのでしょう。
〓ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)
まぁ…フツーに考えて、
ギタリストから見れば、
この人は理想のベーシストでしょうね。
鍵盤を扱えて、
弦のアレンジができて、
その上、
肝心のベースプレイは文句のつけようがない、
ときているわけですから。
少々性格が悪くても…ねぇ。
(べつに、ジョンジーの性格が悪い、
とは言ってませんよ)
彼のベーシストとしての力量は、
ライブ時によく表れるようで、
映画『永遠の詩』のタイトル曲の後半で、
さりげなく、
下の方から全体を盛り上げるあたりなど、
やはりタダ者ではないな、
と唸ってしまいますね。
というわけで、
フェンダー・ジャズベースも大好きです。
このベースはネックが細くて弾きやすいですね。
ギタリスト向けのベース。
〓ビル・ワイマン(ローリング・ストーンズ)
じつは私、
キースの次に好きなストーンズのメンバーが彼で、
ルックスもさることながら、
その、
ミョーなところで顔を出すベースも
かなりイケてると思うのです。
「サティスファクション」や
「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」のイントロは、
ギターだけでやってもあの感じは出ません。
ギターの後ろで妖しく自己主張する、
あのベースのフレーズがないと、
リフの威力が半減してしまうんですね。
〓ルイズルイス加部
日本人では、
この方を置いて他にいないですね。
その圧倒的な存在感と、
誰にも真似のできないプレイ。
私には、
ゴールデン・カップスの「銀色のグラス」を
初めて聴いたときの衝撃が忘れられません。
デイブ平尾が、
「♪ぎ、ん、い、ろの、ぐらす〜にっ」と歌う後ろで、
エディ藩のギターより速く、
ドリドリドリンとくるその破壊力たるや…。
とはいえ、
曲の雰囲気を壊すまでには至らない、
センスはたいしたものだと思います。
感覚派でしょうね。
CHARとやっていた最後の頃は、
まさに緩急自在のプレイで、
表情も、
悟りの境地のようになっていて、
神々しいばかりの存在になっていました。
もう、ベースは弾かないのでしょうか。
残念なことです。
もうひとり挙げると、
ちょうど10人になるのですが、
もうひとりがドングリの背比べなので、
ここでやめておきましょう。
ベーシストは低音担当ではなく、
1曲まるまるリードギターを弾いている、
と言った先輩がおりましたが、
まさにその通りだと思います。
だから、
プレイヤーもそういう人が多いのです。
けっこうみんな、
自分が主役だと思っているからなぁ…。
ユーライア・ヒープの
凄腕ベーシストたちを話題にしたタイミングなので、
いままで文字にすることのなかった、
私が好きなベーシストたちについて、
語ってみたいと思います。
〓ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)
〓クリス・スクワイア(イエス)
〓ゲディ・リー(ラッシュ)
いわゆる、
“ゴリゴリ、ドリドリン”派です。
もし、
私がベースを弾いたら、
間違いなく、
このように弾くことでしょう。
ジョン・エントウィッスルについては、
フレーズのみならず、
音色が素晴らしいですね。
彼は生前、
弦高を極限まで下げて、
他のフレットにビビる音が好きだ、
と語っておりましたが、
そのまま普通にやっても、
こんなに綺麗に鳴らすことは、
なかなかできないでしょう。
それから、
薄笑いを浮かべながら、
物凄いプレイをする、
いかにも“不良っ”というたたずまいも、
素晴らしいですね。
クリス・スクワイアは、
ジョン・エントウィッスルに影響を受けたということですが、
私が好きなのは、
ビル・ブラッフォードとのコンビネーションで
変拍子をビシバシと決める瞬間。
アルバム『こわれもの』のプレイです。
じつは彼は、
イエスの影のリーダーだったようで、
たしかに、
あのベースがなくなるとイエスじゃない、
ということになりますね。
それにしても、
イエスのコピーバンドをやるなら、
ギターよりベースをやりたいなぁ。
ゲディ・リーも、
系統的には先の2人とまったく同じですが、
この方は、
歌は歌うは鍵盤は弾くはで、
実に多才というか、
大道芸的な技術の持ち主です。
私は20歳前後の時期に、
トリオこそロックバンドの理想形、
などと考えていたことがあり、
彼のようなベーシストがいないものか、
とマジで探したことがありました。
ラッシュのプレイは、
かなり“ゴリゴリ、ドリドリン”度が高いのですが、
この人はピックを使わず、
指オンリーなんですね。
もっとも、
そうでなければ、
いきなり鍵盤を押さえることができないわけで、
当たり前といえば当たり前のことですが…。
というわけで、
私は「リッケンバッカー♯4001」ベースが好きです。
もっとも実際に弾いてみたら、
弾きにくいわ、
音はボワンボワンだわで、
ダメだこりゃ状態でしたが…ね。
〓パーシー・ジョーンズ(ブランドX)
〓ミック・カーン(ジャパン)
〓ジャコ・パストリアス
“ゴリゴリ、ドリドリン”の一方で、
フレットレスベースの
摩訶不思議さと色気も捨てがたいですね。
パーシー・ジョーンズは、
露骨にジャズっぽくなく、
クールで陰影に富んでいるところがGOODです。
ブランドXの『ライブストック』は、
まさに恰好のサンプルですが、
それでいて、
とつぜんファンキーになったり、
ジャズっぽくなったり、
基本的にはかなり器用な方のようです。
ブランドXは、
クロスオーバーやフュージョンに対する、
イギリスからの回答ということで、
そのいかにも英国人らしい気質もGOODですね。
ミック・カーン、
この“ぶび、ぶばっ、みょ〜ん”の、
金魚男のプレイにブッ飛んだのは、
「孤独の影」のPVを見て以来で、
たしか以前はこんな感じではなかったようですが、
このへんからはかなりイッていて、
たいへんGOODです。
彼は、
前述のパーシー・ジョーンズを
敬愛しているということですが、
ソロ・アルバムなどを聴くと、
パーシーほど柔軟な曲展開ではなく、
ゴツゴツとした彫刻のような、
(そういえば、彫刻家でもありましたな…)
断片的でコラージュっぽい曲に特徴があり、
それが、
“ぶびっ、ぶぱっ、みょ〜ん”と、
音の隙間と
フレットレスならではの気持ち悪さを生かした音に、
たいへんマッチしているといえるでしょう。
ソロアルバム『BESTIAL CLUSTER』はサイコーです。
で…、
ベタですが、
やはりジャコ・パストリアスは素晴らしい。
ただ私としては、
彼の場合ソロよりも、
バンド形態の作品の方がいいと思います。
それは、
彼のベースの持ち味は、
主旋律にうまく寄り添ったときに、
信じられない程美しい空間が演出できる点
だと思うからです。
そう考えると、
パット・メセニーのファーストアルバムや
ウェザー・リポートの諸作品がGOOD、
ということになるのでしょう。
〓ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)
まぁ…フツーに考えて、
ギタリストから見れば、
この人は理想のベーシストでしょうね。
鍵盤を扱えて、
弦のアレンジができて、
その上、
肝心のベースプレイは文句のつけようがない、
ときているわけですから。
少々性格が悪くても…ねぇ。
(べつに、ジョンジーの性格が悪い、
とは言ってませんよ)
彼のベーシストとしての力量は、
ライブ時によく表れるようで、
映画『永遠の詩』のタイトル曲の後半で、
さりげなく、
下の方から全体を盛り上げるあたりなど、
やはりタダ者ではないな、
と唸ってしまいますね。
というわけで、
フェンダー・ジャズベースも大好きです。
このベースはネックが細くて弾きやすいですね。
ギタリスト向けのベース。
〓ビル・ワイマン(ローリング・ストーンズ)
じつは私、
キースの次に好きなストーンズのメンバーが彼で、
ルックスもさることながら、
その、
ミョーなところで顔を出すベースも
かなりイケてると思うのです。
「サティスファクション」や
「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」のイントロは、
ギターだけでやってもあの感じは出ません。
ギターの後ろで妖しく自己主張する、
あのベースのフレーズがないと、
リフの威力が半減してしまうんですね。
〓ルイズルイス加部
日本人では、
この方を置いて他にいないですね。
その圧倒的な存在感と、
誰にも真似のできないプレイ。
私には、
ゴールデン・カップスの「銀色のグラス」を
初めて聴いたときの衝撃が忘れられません。
デイブ平尾が、
「♪ぎ、ん、い、ろの、ぐらす〜にっ」と歌う後ろで、
エディ藩のギターより速く、
ドリドリドリンとくるその破壊力たるや…。
とはいえ、
曲の雰囲気を壊すまでには至らない、
センスはたいしたものだと思います。
感覚派でしょうね。
CHARとやっていた最後の頃は、
まさに緩急自在のプレイで、
表情も、
悟りの境地のようになっていて、
神々しいばかりの存在になっていました。
もう、ベースは弾かないのでしょうか。
残念なことです。
もうひとり挙げると、
ちょうど10人になるのですが、
もうひとりがドングリの背比べなので、
ここでやめておきましょう。
ベーシストは低音担当ではなく、
1曲まるまるリードギターを弾いている、
と言った先輩がおりましたが、
まさにその通りだと思います。
だから、
プレイヤーもそういう人が多いのです。
けっこうみんな、
自分が主役だと思っているからなぁ…。
★2008/11/16 (Sun)
ヴォーカリストは、
バンドの音数が多くなり、
和声構造が複雑になった場合に、
キーやメロディラインを確認し、
曲がどこまで進んでいるのかを判断するために、
ベースのフレーズを追うそうです。
前回、
“私が、
バンドにおけるベーシストの重要性に気がついたのは、
ユーライア・ヒープが最初でした。”
と語りましたが、
ヒープのように、
ギターとキーボードがいる上に、
3〜4声のヴォーカルハーモニーが加わった、
非常に分厚い音の構成では、
まさにこの通りであり、
曲を導くベーシストの役割が重要です。
今回は、
そんなヒープ歴代のベーシストに焦点を当て、
その凄腕ぶりについて、
語ってみたいと思います。
〓ポール・ニュートン
初代ベーシストのポール・ニュートンは、
ヒープのマネジャーの息子で、
ブロンズ・レコーズとの契約後のゴタゴタの結果、
親子そろってバンドから追われることになりました。
あまり注目されることのない存在ですが、
名作『対自核』は彼のプレイであり、
「自由への道(I Wanna Be Free)」などで、
かなり暴れるベースを披露しております。
私が驚いたのは、
『悪魔と魔法使い』がCD化された際に
ボーナストラックとして収録された、
「Why」という未発表曲を聴いたときで、
最初から最後までブリブリ弾きまくる、
そのあまりの凄腕ぶりに身震いした程です。
この曲を聴くと、
ベーシストが曲を導くヒープ・スタイルが、
すでにポール・ニュートンの段階で
完成していたことがよくわかります。
〓マーク・クラーク
前述のポール・ニュートンが脱退し、
ゲイリー・セインが加入するまでのほんの短い期間、
在籍していたのが、
元コロシアムのマーク・クラークです。
『悪魔と魔法使い』の1曲目、
「魔法使い」は、
彼のインスピレーションによる曲といわれています。
マーク・クラークはベーシストというよりも、
サウンド・コーディネーター的な要素が強く、
『悪魔と魔法使い』の基本コンセプトは、
そんな彼の影響による部分が大きかったそうです。
ただ、
この時期は精神的に不安定で、
すぐにバンドを脱退してしまいました。
おかげで、
ユーライア・ヒープでの録音は残っておりません。
私が好きなのは、
彼がヒープ脱退後に、
コロシアム時代の親分、
ジョン・ハイズマン(Ds)と結成した、
テンペストのファースト・アルバム。
あのアラン・ホールズワースが参加していることで有名な、
あの作品です。
これを聴くと、
マーク・クラークが凄腕であり、
あちこちの有名バンドから声をかけられた理由がよくわかります。(そういえば、レインボーにも、ほんの短期間だけいたことが…)
ホールズワースのプレイも最高なので、
ぜひ聴いてみてください。
〓ゲイリー・セイン
この方がどれだけ凄腕であったかについては、
いまさら言うことがないので、
今回は割愛しますが、
かつて『web-magazine GYAN GYAN』で、
“ナビゲーター役は、ベースだ。
その緻密な音の中で神々しい光を放ち、
それでいてバンド・サウンドからはみ出すことなく、
聴き手に訴えかけてくる。
そのトーンは、我々を天上へと誘う。
ゲイリー・セインは、モーゼのような存在だ。”
と語ったことがすべてを表現しているでしょう。
ただ、
この方は、
人間的にはそれほど神々しくなかったのか、
かなりのヤク中だったようで、
それがために感電事故が命取りになってしまったという、
“ロケンロール”な生き方をなさっており、
そこがまた、
たまらなく魅力的だったりするのです。
そんなことで、
ベースプレイ以外の部分で、
もっと掘り下げてくれたら、
と願う次第です。
伝記が出版されたら、
少なくとも2冊は売れるでしょう。
〓ジョン・ウェットン
1974年にゲイリー・セインが脱退した後に、
また、
とんでもない“大物”を持ってきたものです。
ジョン・ウェットンがどれほどの凄腕であったかについては、
これまたいまさら語るまでもありませんが、
キング・クリムゾンの未発表ライブが出るたびに、
あのロバート・フリップが、
「ジョン・ウェットンこそ、英国No1のベーシストである」
と言っていたことを痛感する次第です。
とくに、
『Live at the Amsterdam Concertgebouw November 23rd 1973』
は鳥肌モノでっす。
おもしろいのは、
キング・クリムゾン解散後の、
ヒープでもロキシー・ミュージックでも、
きっちりバンドサウンドにおさまっていて、
暴れたプレイをしていないことです。
クリムゾンでヤリ尽くしたのでしょうか。
〓トレバー・ボルダー
ジョン・ウェットン脱退後の1977年から、
(たしか)ずっと在籍していた(?)のが、
元デヴィッド・ボウイのスパイダー・フロム・マースにいた、
トレバー・ボルダーです。
スパイダー・フロム・マースなどというと、
多分にアイドル的なイメージがありますが、
とんでもない。
ミック・ロンソンといい、
この人といい、
なかなかどうして、
かなりの凄腕ミュージシャンであります。
トレバー・ボルダーのベースは、
パワフルで、
ビートをビンビン感じさせてくれる、
強引な心地よさがあります。
(「アラジン・セイン」の妖しさも好きですが)
スパイダー・フロム・マースの
来日公演を見た人に話を聞くと、
もっとも意外だったのが、
トレバー・ボルダーのベースのスゴさだったようで、
そういう意味では、
おさまるべき場所におさまった、
ということなのでしょうか。
さて、
ユーライア・ヒープ歴代のベーシストについて、
振り返ってみましたが、
同じようにベーシストが安定しなかったバンドとして、
ロキシー・ミュージックがあるわけですが、
こちらの事情はいかなるものであったのか、
ふと考えてしまった私です。
バンドの音数が多くなり、
和声構造が複雑になった場合に、
キーやメロディラインを確認し、
曲がどこまで進んでいるのかを判断するために、
ベースのフレーズを追うそうです。
前回、
“私が、
バンドにおけるベーシストの重要性に気がついたのは、
ユーライア・ヒープが最初でした。”
と語りましたが、
ヒープのように、
ギターとキーボードがいる上に、
3〜4声のヴォーカルハーモニーが加わった、
非常に分厚い音の構成では、
まさにこの通りであり、
曲を導くベーシストの役割が重要です。
今回は、
そんなヒープ歴代のベーシストに焦点を当て、
その凄腕ぶりについて、
語ってみたいと思います。
〓ポール・ニュートン
初代ベーシストのポール・ニュートンは、
ヒープのマネジャーの息子で、
ブロンズ・レコーズとの契約後のゴタゴタの結果、
親子そろってバンドから追われることになりました。
あまり注目されることのない存在ですが、
名作『対自核』は彼のプレイであり、
「自由への道(I Wanna Be Free)」などで、
かなり暴れるベースを披露しております。
私が驚いたのは、
『悪魔と魔法使い』がCD化された際に
ボーナストラックとして収録された、
「Why」という未発表曲を聴いたときで、
最初から最後までブリブリ弾きまくる、
そのあまりの凄腕ぶりに身震いした程です。
この曲を聴くと、
ベーシストが曲を導くヒープ・スタイルが、
すでにポール・ニュートンの段階で
完成していたことがよくわかります。
〓マーク・クラーク
前述のポール・ニュートンが脱退し、
ゲイリー・セインが加入するまでのほんの短い期間、
在籍していたのが、
元コロシアムのマーク・クラークです。
『悪魔と魔法使い』の1曲目、
「魔法使い」は、
彼のインスピレーションによる曲といわれています。
マーク・クラークはベーシストというよりも、
サウンド・コーディネーター的な要素が強く、
『悪魔と魔法使い』の基本コンセプトは、
そんな彼の影響による部分が大きかったそうです。
ただ、
この時期は精神的に不安定で、
すぐにバンドを脱退してしまいました。
おかげで、
ユーライア・ヒープでの録音は残っておりません。
私が好きなのは、
彼がヒープ脱退後に、
コロシアム時代の親分、
ジョン・ハイズマン(Ds)と結成した、
テンペストのファースト・アルバム。
あのアラン・ホールズワースが参加していることで有名な、
あの作品です。
これを聴くと、
マーク・クラークが凄腕であり、
あちこちの有名バンドから声をかけられた理由がよくわかります。(そういえば、レインボーにも、ほんの短期間だけいたことが…)
ホールズワースのプレイも最高なので、
ぜひ聴いてみてください。
〓ゲイリー・セイン
この方がどれだけ凄腕であったかについては、
いまさら言うことがないので、
今回は割愛しますが、
かつて『web-magazine GYAN GYAN』で、
“ナビゲーター役は、ベースだ。
その緻密な音の中で神々しい光を放ち、
それでいてバンド・サウンドからはみ出すことなく、
聴き手に訴えかけてくる。
そのトーンは、我々を天上へと誘う。
ゲイリー・セインは、モーゼのような存在だ。”
と語ったことがすべてを表現しているでしょう。
ただ、
この方は、
人間的にはそれほど神々しくなかったのか、
かなりのヤク中だったようで、
それがために感電事故が命取りになってしまったという、
“ロケンロール”な生き方をなさっており、
そこがまた、
たまらなく魅力的だったりするのです。
そんなことで、
ベースプレイ以外の部分で、
もっと掘り下げてくれたら、
と願う次第です。
伝記が出版されたら、
少なくとも2冊は売れるでしょう。
〓ジョン・ウェットン
1974年にゲイリー・セインが脱退した後に、
また、
とんでもない“大物”を持ってきたものです。
ジョン・ウェットンがどれほどの凄腕であったかについては、
これまたいまさら語るまでもありませんが、
キング・クリムゾンの未発表ライブが出るたびに、
あのロバート・フリップが、
「ジョン・ウェットンこそ、英国No1のベーシストである」
と言っていたことを痛感する次第です。
とくに、
『Live at the Amsterdam Concertgebouw November 23rd 1973』
は鳥肌モノでっす。
おもしろいのは、
キング・クリムゾン解散後の、
ヒープでもロキシー・ミュージックでも、
きっちりバンドサウンドにおさまっていて、
暴れたプレイをしていないことです。
クリムゾンでヤリ尽くしたのでしょうか。
〓トレバー・ボルダー
ジョン・ウェットン脱退後の1977年から、
(たしか)ずっと在籍していた(?)のが、
元デヴィッド・ボウイのスパイダー・フロム・マースにいた、
トレバー・ボルダーです。
スパイダー・フロム・マースなどというと、
多分にアイドル的なイメージがありますが、
とんでもない。
ミック・ロンソンといい、
この人といい、
なかなかどうして、
かなりの凄腕ミュージシャンであります。
トレバー・ボルダーのベースは、
パワフルで、
ビートをビンビン感じさせてくれる、
強引な心地よさがあります。
(「アラジン・セイン」の妖しさも好きですが)
スパイダー・フロム・マースの
来日公演を見た人に話を聞くと、
もっとも意外だったのが、
トレバー・ボルダーのベースのスゴさだったようで、
そういう意味では、
おさまるべき場所におさまった、
ということなのでしょうか。
さて、
ユーライア・ヒープ歴代のベーシストについて、
振り返ってみましたが、
同じようにベーシストが安定しなかったバンドとして、
ロキシー・ミュージックがあるわけですが、
こちらの事情はいかなるものであったのか、
ふと考えてしまった私です。
★2008/11/16 (Sun)
『web magazine GYAN GYAN』を掲載していた、
AOL HOMETOWNが、
とつぜん10月31日をもって閉鎖されてしまい、
閲覧することができなくなってしまいました。
(利用者からは非難ゴーゴーのようです)
ファイルは手元にあるので、
また場所を探して復活させようと思いますが、
そういった事情で、
しばらく見ることができなくなったことを、
ここにお知らせいたします。
AOL HOMETOWNが、
とつぜん10月31日をもって閉鎖されてしまい、
閲覧することができなくなってしまいました。
(利用者からは非難ゴーゴーのようです)
ファイルは手元にあるので、
また場所を探して復活させようと思いますが、
そういった事情で、
しばらく見ることができなくなったことを、
ここにお知らせいたします。
★2008/11/09 (Sun)
私的ロック評論シリーズの第6弾です。
第6回は、
URIAH HEEPの『DEMONS AND WIZARDS』です。
『悪魔と魔法使い/ユーライア・ヒープ(DEMONS AND WIZARDS/URIAH HEEP)』
(1972年発表)
SDE1
1.魔法使い
(The Wizard)
2.時間を旅する人
(Traveller In Time)
3.安息の日々
(Easy Livin')
4.詩人の裁き
(Poet's Justice)
5.連帯
(Circle Of Hands)
SIDE2
6.虹の悪魔
(Rainbow Demon)
7.オール・マイ・ライフ
(All My Life)
8.楽園
(Paradise)
9.呪文
(The Spell)
ディープ・パープルに熱中していた高校2年の夏頃、
誰に勧められたのかは忘れてしまいましたが、
「パープル好きなら、きっと気に入ると思うよ」
と友人に言われて手に入れたのが、
ユーライア・ヒープの
『対自核(LOOK AT YOURSELF)』でした。
友人はおそらく、
“キーボードが入ったハードロック”という視点で、
私にこのアルバムを勧めたと思われますが、
思惑通り、
私は『対自核』を気に入ってしまいました。
パープルが、
“ギターが強い、キーボード入りのハードロック”とすれば、
ヒープはさしずめ、
“キーボードが強い、キーボード入りのハードロック”
といったところでしょうか。
さすがに、
ギターではパープルに一歩譲るとして、
ヒープにはそれを補って余りある、
強力な武器がありました。
それは、コーラスワークです。
パープルではありえない、
多層構造のヴォーカルによるパートが、
このグループの“売り”でした。
私は、
クィーンのジョン・ディーコンが、
ミュージックライフのインタビューで、
「ヒープ、大好き」と言っていたことを思い出し、
あのクィーンが影響を受けたほどなんだから
このコーラスワークはスゴいんだ、
と妙な納得をしてしまいました。
クィーンにはそれほど興味を持てなかった私ですが、
なぜかヒープのコーラスワークには感動を覚えたのです。
このコーラスワークが、
芸術的といえるほど美しく、
ヒープ・サウンドの耽美的な面を強調していて、
暴力的な部分とうまくバランスをとっているのでした。
私は、
思春期に激しい振幅をもって交互に現れる、
わけのわからない暴力衝動と、
美しいものに対する感動の、
両方を満足させるグループに出会った、
そんな気持ちでいっぱいになりました。
そして、
『悪魔と魔法使い』が、
『対自核』の次に発表された作品だということを知った私は、
早速それを購入するためにレコード店へ駆け込んだのです。
レコード店でアルバムを手にした私が
最初に感動したのは、
イエスのアルバムジャケットで有名な、
ロジャー・ディーンによる、
神秘的なジャケット・ワークでした。
綺麗だなぁ…中身もこういう感じなのかな?
私はイエスの一連の作品、
そう、
いわゆるプログレッシヴ・ロックの音を思い浮かべました。
そしてその予感は、
1曲目の「魔法使い」が始まった瞬間に、
現実のものとなったのです。
ああっ…プログレっぽい、
深くて綺麗な音…。
神秘的な光景をドラマティックに描いた「魔法使い」は、
これ以降、
現在に至るまで、
私のフェイバリット・ソングになっています。
『悪魔と魔法使い』は、
『対自核』のサウンドを整理し、
もっと丁寧に作り上げたという印象で、
『対自核』をパープルの『イン・ロック』にたとえるなら、
こちらは『マシン・ヘッド』ということになる、
暴力的で荒削りな部分を抑えて、
整合性を強く打ち出した、
そんな印象の作品です。
とくに、
LP時代のA面の出来が素晴らしく、
前述の「魔法使い」を別にしても、
「詩人の裁き」のイントロの短いコーラスや、
「連帯」の荘厳なオルガンの響きなど、
本当に鳥肌が立つほどの美しさを感じる瞬間が
何度も現れます。
音の感触はまさに“プログレッシヴ・ロック”。
アルバム・ジャケットから受けたイメージが、
そのまま音になっていたのです。
パープルでは、
より暴力的な『イン・ロック』を好んだ私が、
ヒープに関しては、
暴力的な部分を抑えた『悪魔と魔法使い』を好んだのは、
私が両者に対して求めたものが違っていたからでしょう。
私はヒープに、耽美的なものを求めたのです。
さてこの他、
前作『対自核』と大きく違ったのは、
ベーシストの存在感でした。
『対自核』と『悪魔と魔法使い』の間では、
ベーシストとドラマーが交替しています。
もともとこのグループは、
ギターの手数が少ない分、
ベースが細かいフレーズを弾く傾向にあったのですが、
新加入の名手ゲイリー・セインは、
ベーシストというよりは、
低音メロディ担当とでも言いたくなるような、
たいへん美しい旋律を奏で、
全体のサウンド作りに大きく貢献しています。
ベーシストがウマいと、音が変わるんだ…。
私が、
バンドにおけるベーシストの重要性に気がついたのは、
ユーライア・ヒープが最初でした。
そして、
このようなヒープ・サウンドに、
リッチー・ブラックモアのような
エキセントリックなギタリストが加わったら最強なのでは、
と思うようになり、
それが私の当面の目標になりました。
それは高校2年頃のことだと記憶していますが、
私はマジメにユーライア・ヒープになりたい、
と願うほどになったのです。
しかし、
それはすぐに、
コーラスをとりながら演奏する難しさと、
コーラスでハモるには
リードヴォーカル級のトレーニングが必要である、
という大きな問題に当たり、
あっけなく挫折してしまいました。
理想のサウンドに出会ったものの、
それを表現することの困難さを知った私。
人生とはこのようなことの繰り返しと言えますが、
さて、
その後どのような方向へ向かうことで、
この現実に折り合いをつけたのでしょう?
それは、
次回以降のお楽しみということにして、
今回はあらためて
『悪魔と魔法使い』の素晴らしさを堪能することにしましょう。
第6回は、
URIAH HEEPの『DEMONS AND WIZARDS』です。
『悪魔と魔法使い/ユーライア・ヒープ(DEMONS AND WIZARDS/URIAH HEEP)』
(1972年発表)
SDE1
1.魔法使い
(The Wizard)
2.時間を旅する人
(Traveller In Time)
3.安息の日々
(Easy Livin')
4.詩人の裁き
(Poet's Justice)
5.連帯
(Circle Of Hands)
SIDE2
6.虹の悪魔
(Rainbow Demon)
7.オール・マイ・ライフ
(All My Life)
8.楽園
(Paradise)
9.呪文
(The Spell)
ディープ・パープルに熱中していた高校2年の夏頃、
誰に勧められたのかは忘れてしまいましたが、
「パープル好きなら、きっと気に入ると思うよ」
と友人に言われて手に入れたのが、
ユーライア・ヒープの
『対自核(LOOK AT YOURSELF)』でした。
友人はおそらく、
“キーボードが入ったハードロック”という視点で、
私にこのアルバムを勧めたと思われますが、
思惑通り、
私は『対自核』を気に入ってしまいました。
パープルが、
“ギターが強い、キーボード入りのハードロック”とすれば、
ヒープはさしずめ、
“キーボードが強い、キーボード入りのハードロック”
といったところでしょうか。
さすがに、
ギターではパープルに一歩譲るとして、
ヒープにはそれを補って余りある、
強力な武器がありました。
それは、コーラスワークです。
パープルではありえない、
多層構造のヴォーカルによるパートが、
このグループの“売り”でした。
私は、
クィーンのジョン・ディーコンが、
ミュージックライフのインタビューで、
「ヒープ、大好き」と言っていたことを思い出し、
あのクィーンが影響を受けたほどなんだから
このコーラスワークはスゴいんだ、
と妙な納得をしてしまいました。
クィーンにはそれほど興味を持てなかった私ですが、
なぜかヒープのコーラスワークには感動を覚えたのです。
このコーラスワークが、
芸術的といえるほど美しく、
ヒープ・サウンドの耽美的な面を強調していて、
暴力的な部分とうまくバランスをとっているのでした。
私は、
思春期に激しい振幅をもって交互に現れる、
わけのわからない暴力衝動と、
美しいものに対する感動の、
両方を満足させるグループに出会った、
そんな気持ちでいっぱいになりました。
そして、
『悪魔と魔法使い』が、
『対自核』の次に発表された作品だということを知った私は、
早速それを購入するためにレコード店へ駆け込んだのです。
レコード店でアルバムを手にした私が
最初に感動したのは、
イエスのアルバムジャケットで有名な、
ロジャー・ディーンによる、
神秘的なジャケット・ワークでした。
綺麗だなぁ…中身もこういう感じなのかな?
私はイエスの一連の作品、
そう、
いわゆるプログレッシヴ・ロックの音を思い浮かべました。
そしてその予感は、
1曲目の「魔法使い」が始まった瞬間に、
現実のものとなったのです。
ああっ…プログレっぽい、
深くて綺麗な音…。
神秘的な光景をドラマティックに描いた「魔法使い」は、
これ以降、
現在に至るまで、
私のフェイバリット・ソングになっています。
『悪魔と魔法使い』は、
『対自核』のサウンドを整理し、
もっと丁寧に作り上げたという印象で、
『対自核』をパープルの『イン・ロック』にたとえるなら、
こちらは『マシン・ヘッド』ということになる、
暴力的で荒削りな部分を抑えて、
整合性を強く打ち出した、
そんな印象の作品です。
とくに、
LP時代のA面の出来が素晴らしく、
前述の「魔法使い」を別にしても、
「詩人の裁き」のイントロの短いコーラスや、
「連帯」の荘厳なオルガンの響きなど、
本当に鳥肌が立つほどの美しさを感じる瞬間が
何度も現れます。
音の感触はまさに“プログレッシヴ・ロック”。
アルバム・ジャケットから受けたイメージが、
そのまま音になっていたのです。
パープルでは、
より暴力的な『イン・ロック』を好んだ私が、
ヒープに関しては、
暴力的な部分を抑えた『悪魔と魔法使い』を好んだのは、
私が両者に対して求めたものが違っていたからでしょう。
私はヒープに、耽美的なものを求めたのです。
さてこの他、
前作『対自核』と大きく違ったのは、
ベーシストの存在感でした。
『対自核』と『悪魔と魔法使い』の間では、
ベーシストとドラマーが交替しています。
もともとこのグループは、
ギターの手数が少ない分、
ベースが細かいフレーズを弾く傾向にあったのですが、
新加入の名手ゲイリー・セインは、
ベーシストというよりは、
低音メロディ担当とでも言いたくなるような、
たいへん美しい旋律を奏で、
全体のサウンド作りに大きく貢献しています。
ベーシストがウマいと、音が変わるんだ…。
私が、
バンドにおけるベーシストの重要性に気がついたのは、
ユーライア・ヒープが最初でした。
そして、
このようなヒープ・サウンドに、
リッチー・ブラックモアのような
エキセントリックなギタリストが加わったら最強なのでは、
と思うようになり、
それが私の当面の目標になりました。
それは高校2年頃のことだと記憶していますが、
私はマジメにユーライア・ヒープになりたい、
と願うほどになったのです。
しかし、
それはすぐに、
コーラスをとりながら演奏する難しさと、
コーラスでハモるには
リードヴォーカル級のトレーニングが必要である、
という大きな問題に当たり、
あっけなく挫折してしまいました。
理想のサウンドに出会ったものの、
それを表現することの困難さを知った私。
人生とはこのようなことの繰り返しと言えますが、
さて、
その後どのような方向へ向かうことで、
この現実に折り合いをつけたのでしょう?
それは、
次回以降のお楽しみということにして、
今回はあらためて
『悪魔と魔法使い』の素晴らしさを堪能することにしましょう。