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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2011/08/14 (Sun)
(画像はクリックすると拡大されます)

8月12日から
ふたたび岩手県宮古市を訪れています。

前回の訪問はゴールデンウィークだったので、
ちょうど3ヶ月が過ぎたことになります。

前回は震災の爪痕も生々しい状態でしたが、
今回はどうでしょう?
いちばん大きな変化は、
街中から瓦礫がなくなっていたことでしたが…、
これには本当に驚かされました。

数日前の新聞で、
宮古市から北では、
市中の瓦礫撤去がほぼ完了したとありましたが、
これは事実です。

どんな感じかというと、

↓これは前回、5月の画像ですが…





同じ場所が今では、この通り…↓







瓦礫がなくなったおかげで、
かえって何もないことが強調され、
喪失感が増した感もありますが、

それにしても、
スゴいと思いませんか?

本当に、
日本人はスゴいんですよ。

先日、
アメリカから帰ってきた人に話を聞いたら、
アメリカでは自然災害の後は、
数年たってもそのままで、
ぜんぜん片付かないそうです。
住民の多くはその土地を捨てて、
他へ移ってしまうので、
どうにもならなくなるとか…。

彼らは日本の復興の映像を見るたびに、
驚嘆するそうです。

「日本人は世界一優秀な国民だ…、
しかし…、
政府は世界最低である」と…(笑)

大きな災害にみまわれたものの、
我々は自分たちに誇りを持つべきです。

今回、
現地を見て、
つくづくそう思いました。

みんなでがんばるのだ。

東北の美しい景観を、
一日でも早く取り戻すのだ。
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★2011/08/07 (Sun)
前回、
PILを通じて、
1980年代初頭に始まった、
パンクロック以降のリズム革新について
語りましたが、
ここで忘れられないバンドが、
もうひとつ…、
それはFRICTIONです。
これがなんと、
日本のバンドなんですよね。

私が初めて彼らの音に接したのは、
当時の東京のアンダーグラウンドシーンに
スポットライトをあてたオムニバスアルバム、
『東京ロッカーズ』の演奏でした。

冒頭いきなり、
「Hello, TOKYO Junkies!」
とレックが叫び、
「せなかのコード」のフリーキーな演奏が始まります。



和音もメロディもない、
ただ、
リズム、
そう、
並大抵でない、
強靭なリズムをバックに、
スライドバーを上下させるだけのギター…。
呆気にとられていると、
切り込み鋭く「Cool Fool」が続きます。
こちらは、
カミソリのようなリズムギターが、
空間をザクザクと切り裂き、
ひたすら疾走します。



これっ、日本人のバンドなのかな?

当時、
ここまでシャープな…、
いや言葉にするとなんだか平凡な表現ですが、
ここまで切れ味の鋭い日本人のリズムは、
他に存在しておりませんでした。
正確に表現すると、
1970年代の日本のROCKとは、
まったく違う感触を持ったリズムだった、
ということでしょうか。

しかし、
彼らは正真正銘の日本人でした。

『東京ロッカーズ』は、
冒頭のFRICTIONのおかげで、
当時話題だった、
紅蜥蜴あらためLIZARDや、
MIRRORSなどがかすんでしまい。
もうそれからは、
毎日、
「FRICTION、FRICTION」と騒いでいたものです。

そして、
待望のファーストアルバム『軋轢』が
発表されることになるのですが…、
ああ…やはり、
このアルバムも1979年の発表でした。

『軋轢』はプロデューサーが坂本龍一で、
FRICTION特有のそっけない、
ストイックな音を活かしながら、
さりげない演出が隠されています。

たとえば、
「I Can Tell」ではスネアドラムの音にあわせて、
「スッコン、スッコン」と
バケツを叩いたようなシンセサウンドを重ねて、
より一層、
ストイックなリズムを強調していますが、
じつはこういう処理が、
一聴してもわからないように、
さりげなく随所に施されているのです。



今聴いても、
新鮮ですなぁ…。

FRICTIONについて、
残念だったのは、
この衝撃のデビューを果たした、
鉄壁のトリオが長く続かず、
セカンドアルバムを発表する前に、
ギターのツネマツが脱退してしまったこと。

ツネマツ不在で録音されたセカンドアルバム
『SKIN DEEP』はそれなりにおもしろい作品でしたが、
それよりも、
ツネマツが結成したE.D.P.Sの方がかっこよく、
(こちらも衝撃的でした)
そちらを追っかけているうちに、
ドラマーのヒゲも脱退してしまい、
しだいに興味をなくしてしまいました。

しかし…、
ずっと活動していたんですよね。

だいぶ後になって、
『ZONE TRIPPER』(1996年発表)というのがかっこよくて、
「まだ、やっていたのか」と感心したことがありましたが、
最強期があまりにも短かったため、
現役ではなく、
伝説の存在となってしまったようです。

FRICTIONの登場は、
この日本でも、
ROCKが変わりつつあることを実感できた、
衝撃的な事件だったのですが、
スターリンがパンクを変な方向へ持っていったおかげで、
本質的な変化には至らず、
その後の、
ニューミュージックだの、
J-POPだのの動きを見るにつけ、
少々複雑な思いになります。

あのとき、
変革のチャンスはあったのに…。

そういうわけで、
ほんの一瞬であるにせよ、
日本のROCKに変革をもたらせた、
FRICTION。

今聴いてもマジかっこいいっす。
ぜんっぜん、
古くさく感じないのは、
リズムのおかげですね。

音楽に時代を感じさせるのは、
リズムによる部分が大きいんですよ。

★2011/07/31 (Sun)
何度かの発売延期を経て、
ようやく、
パブリック・イメージ・リミテッド(PIL)の
紙ジャケ再発盤が発売されました。

以前に缶入り『METAL BOX』(輸入盤)
を購入していたので、
今回私は、
ライブ『PARIS IN THE SPRING』と『THE FLOWERS OF ROMANCE』の2枚を手に入れました。

デビューは1978年で、
『METAL BOX』が1979年か…。
この1979年という年には、
ロックの方向性を変える、
新しい動きを象徴するような作品が多く発表されています。
POLICEの『白いレガッタ』、
ZEPの『IN THROUGH THE
OUT DOOR』…。

1976年に、
完成度の高い作品が多く発表されているのと
同じような感じですが、
わずか3年でロックは大きく変わろうとしていたのです。

ジョニー・ロットンは当時、
レゲエを高音質のオーディオで聴いていたということですが、
彼はレゲエに興味があったわけではなく、
リズムセクションの音響処理…、
スライ&ロビーが得意としていた、
ダブの手法に関心があったようです。

その成果が、
『FLOWERS〜』の1曲目で聴かれる、
一世を風靡したゲートリバーブ・サウンド…、
「ドンドドンドドンドンパッ」
につながるわけです。

つまり、
PILは、
史上初の音響志向ロックバンドであったというわけです。

パンク以降のニューウェイブ・シーンは、
よくジャーマンロックとの関係が言われますが、
まずは、
レゲエとの関係を語るべきでしょう。

最新の音響処理はジャマイカからやって来たのだ。

また、
PILの初期には、
それまでのロックギタリストのような音で、
ありきたりのフレーズを弾かない、
キース・レヴィンという型破りなギタリストがいたおかげで、
感覚派としての評価も得ています。

いわゆる、
POLICEのアンディ・サマーズと並ぶ、
歪まない音で空間エフェクトを駆使するタイプの出現です。

音響志向で感覚派…、
PILは、
それまでのロックの価値観を変える存在となりました。

当時の私は、
そんな彼らに一撃を食らい、
ものの見事に、
路線変更を果たしたのです。

ロックはリズムであり、
感覚を重視するべきだ。

PILに出会わなかったら、
イングウェイのような、
テクニック重視の、
単なるハードロック野郎で終っていたかもしれませんね(笑)

↓コイツを聴いて地獄に墜ちるのだ(笑)

★2011/07/24 (Sun)
ジャズギターに取り組み始めて、
アドリブのメロディがどれだけ大切なものなのか、
痛感させられる場面が多くあります。
わずか数小節を埋めるフレーズを考えるのに、
一週間も費やすことがあります。

どうやら私は長い間、
リズムを重視するあまり、
メロディを軽く考えていたようです。
はっきり言えば、
音楽はリズムがカッコよければ、
メロディなんてどーでもいい、
そう思っていたのです。

なぜそうなったのか?

それは、
1970年代も最後の頃、
ヴァン・ヘイレンやウルリッヒ・ロスの出現で、
テクニックの限界を感じていた私は、
アンダーグラウンドの世界から、
新しい刺激を受け始めていました。

デビュー直後のポリス、
日本人離れしたフリクション、
そして…、PIL。
彼らに共通していたのは、
圧倒的に強力なリズム。
そう、
リズムだけで…、
もっと極端に表現すれば、
ベースとドラムだけで曲が成立している…。
それまでの常識をくつがえしてしまう、
強烈な刺激があったのです。

その後、
リズムという切り口から、
レッド・ツェッペリンとキング・クリムゾンを聴き直してみたら、
彼らのスゴさを再認識することができ、
自身が参加するLOOSE CONNECTION
などは、
モロにその辺りの影響から曲を作り始めたくらいです。

以来、
レゲエだ、
アフリカだ、
ジャズファンクだ、
クラブだ、
と…、
時代が変わっても、
常にリズム、
リズム、リズムで来ていました。

そこへ、
最近になって、
ジャズギターのメロディに取り組み始めたわけですから、
ミョーに新鮮だったんでしょうね。

ただ…、
ジャズの合間に聴くのは、
ヒップホップやレゲエで、
やっぱりリズムなんですなぁ…これが(笑)

言い忘れましたが、
もうひとつ、
メロディを否定したのは、
どうも、
あの、
ブルースの泣きのギターというヤツが嫌いだった、
という理由もあったかもしれません。

そういうタイミングで、
そろそろ、
PILの紙ジャケ再発が出るんですね。
LIVEとかFLOWERS OF ROMANCEなんか聴くと、
また来てしまう(?)かもしれませんなぁ…。

それはそうと、
これカッコいいっす↓






★2011/07/17 (Sun)
Esperanza Spalding
(エスペランサ・スポルディング)

1984年、アメリカ・オレゴン州ポートランド生まれのジャズ・ベーシスト&シンガー。地元の音楽学校で神童と呼ばれ、バークリー音楽大学に16歳で入学。20歳で卒業後は同校史上最も若い講師になった。学生時代からパティ・オースティン、ジョー・ロヴァーノ、パット・メセニーのツアーやレコーディングに参加。その後もブライアン・ブレイド、スタンリー・クラーク、リチャード・ボナらと共演し、話題を集める。2008年8月にデビュー・アルバム『エスペランサ』をリリースした。(CDジャーナル データベースより)

神童…、たしかに。
16歳でバークリーに入学、
20歳で卒業と同時に同校講師ですから、
神童以外の何者でもありませんね。

しかし、
この人の作品には、
才気走った感じや、
取っつきにくいところは微塵もなく、
とても柔らかく、
優しげな雰囲気でいっぱいです。

最初、
ミーハーな私としては、
アップライトベースを弾きながら歌う
彼女の姿に関心を持ったのですが、
作品を聴いてブッ飛びました。

素晴らしい…。

さきほど、
「取っつきにくいところは微塵もなく、
とても柔らかく、
優しげな雰囲気でいっぱいです」
と言いましたが、
それは、
メインとなる、
歌の部分に拠るところが大きく、
演奏の部分は結構とんでもないというか、
アバンギャルドなことをやっていたりします。

ベースのリフが個性的というか、
かなりイっていて、
リズムはロックっぽい変拍子だったりするので、
マグマとかアレアのような印象を受ける部分があります。

歌はラテンのフレーバーを効かせたソウル、
演奏はロックっぽいジャズといったところでしょうか。
それでも、
全体が柔らかく優しげな感じになるのは、
アレンジが優れているからでしょう。

いずれにしても、
素晴らしい才能だと思います。
今もっとも注目している才能です。



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★ ILLUSTRATION BY nyao