「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2020/11/29 (Sun)
真藤順丈さんによる、
2019年直木賞受賞作品です。
私はかなり以前に購入していましたが、
500ページを超えるヴォリュームに圧倒され、
なかなか手が出ず放置されていました。
それを“読書の秋”とばかりに、
9月頃から読み始め、
本日めでたく全編を読み終えたのです。
当初圧倒されていたヴォリュームですが、
いざ読み始めてみると、
文章がリズミカルでテンポよく、
またたいへん興味深い内容でもあったため、
それほど苦にはなりませんでした。
さて話は、
第二次世界大戦後の沖縄を舞台にしており、
我々がこれまで知らずにいた、
生々しい真実が次々と突きつけられます。
ここはノンフィクションとして見ても、
かなり興味深いものがあります。
同じ日本のことなのに、
我々は沖縄のことを知らなさ過ぎる。
これでは本土の人間が嫌われるわけだ…
GoToトラベルで沖縄に行くなんて、
よく考えた方がよいなぁ…
などと反省することしばしです。
そして、
ストーリーは謎を解き明かす、
いわゆるミステリーなので、
グイグイと引き込まれるように、
ページをめくってしまいます。
秀逸なのは、
救いようのない悲惨さ…
とくに結末は、
見方によっては、
終末観で満ち溢れているといえるのですが、
そこに、
美しい沖縄の景観や伝統的な文化を織り込むことで、
叙事詩のような余韻を残している部分です。
したがって、
読後に何とも言えない、
希望の光を感じるというか、
爽やかな余韻が残るのです。
テンポのよい文体といい、
このあたりの美的感覚に、
作者の非凡さが窺えます。
読みながら、
私の記憶に蘇ってきたのは、
この物語の最後にあたる、
本土復帰(1972年)の数年後に、
続々とやってきた、
沖縄のロッカーたちの姿です。
紫、コンディショングリーン、
喜納昌吉とチャンプルー…
喜納さんがインタビューで、
本土に対して、
かなり過激な発言をしていたことを覚えていますが、
この『宝島』を読み終えた後では、
その真意を理解することができました。
本当に我々は沖縄の戦後を知らなかったのです。
そして、
リアルタイムで見た、
コンディショングリーンの“キナ臭さ”は、
今でも忘れることができません。
ファーストアルバムに体現されていた、
アメリカの匂いが充満する中、
割り込むように漂う沖縄の情緒、
そこには“日本”の匂いはまったく感じられず、
立ち込める悪意とイライラした空気の正体が、
当時は理解できず、
ただただ、
圧倒的な存在感とパワーに熱狂していただけですが、
今ではその背景が、
なんとなく理解できるようになりました。
あのヤバイ雰囲気は、
当時の沖縄ならではのものであったわけです。
このように、
あれから半世紀近くが過ぎた今になって、
私はようやく、
沖縄を正しく知るきっかけを得たようです。
そして、
こんなに読み応えのある本に出会ったのは、
何年ぶりのことでしょう。
これから何度も読んで、
生涯の愛読書になりそうな感じです。
2019年直木賞受賞作品です。
私はかなり以前に購入していましたが、
500ページを超えるヴォリュームに圧倒され、
なかなか手が出ず放置されていました。
それを“読書の秋”とばかりに、
9月頃から読み始め、
本日めでたく全編を読み終えたのです。
当初圧倒されていたヴォリュームですが、
いざ読み始めてみると、
文章がリズミカルでテンポよく、
またたいへん興味深い内容でもあったため、
それほど苦にはなりませんでした。
さて話は、
第二次世界大戦後の沖縄を舞台にしており、
我々がこれまで知らずにいた、
生々しい真実が次々と突きつけられます。
ここはノンフィクションとして見ても、
かなり興味深いものがあります。
同じ日本のことなのに、
我々は沖縄のことを知らなさ過ぎる。
これでは本土の人間が嫌われるわけだ…
GoToトラベルで沖縄に行くなんて、
よく考えた方がよいなぁ…
などと反省することしばしです。
そして、
ストーリーは謎を解き明かす、
いわゆるミステリーなので、
グイグイと引き込まれるように、
ページをめくってしまいます。
秀逸なのは、
救いようのない悲惨さ…
とくに結末は、
見方によっては、
終末観で満ち溢れているといえるのですが、
そこに、
美しい沖縄の景観や伝統的な文化を織り込むことで、
叙事詩のような余韻を残している部分です。
したがって、
読後に何とも言えない、
希望の光を感じるというか、
爽やかな余韻が残るのです。
テンポのよい文体といい、
このあたりの美的感覚に、
作者の非凡さが窺えます。
読みながら、
私の記憶に蘇ってきたのは、
この物語の最後にあたる、
本土復帰(1972年)の数年後に、
続々とやってきた、
沖縄のロッカーたちの姿です。
紫、コンディショングリーン、
喜納昌吉とチャンプルー…
喜納さんがインタビューで、
本土に対して、
かなり過激な発言をしていたことを覚えていますが、
この『宝島』を読み終えた後では、
その真意を理解することができました。
本当に我々は沖縄の戦後を知らなかったのです。
そして、
リアルタイムで見た、
コンディショングリーンの“キナ臭さ”は、
今でも忘れることができません。
ファーストアルバムに体現されていた、
アメリカの匂いが充満する中、
割り込むように漂う沖縄の情緒、
そこには“日本”の匂いはまったく感じられず、
立ち込める悪意とイライラした空気の正体が、
当時は理解できず、
ただただ、
圧倒的な存在感とパワーに熱狂していただけですが、
今ではその背景が、
なんとなく理解できるようになりました。
あのヤバイ雰囲気は、
当時の沖縄ならではのものであったわけです。
このように、
あれから半世紀近くが過ぎた今になって、
私はようやく、
沖縄を正しく知るきっかけを得たようです。
そして、
こんなに読み応えのある本に出会ったのは、
何年ぶりのことでしょう。
これから何度も読んで、
生涯の愛読書になりそうな感じです。
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