「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2014/02/02 (Sun)
その音からは…
ブルースなどまったく感じさせず、
クラシックやジャズの香りはするものの、
高度なテクニックを持つ演奏者がいるわけではなく、
インプロビゼーションの火花を散らすわけでもない…
しかし、
多くの人は“プログレッシヴ・ロック”をイメージする。
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターは、
そんなグループです。
(以下、VDGGと略します。)
ヴォーカルのピーター・ハミルは、
その端正な顔立ちと、
カリスマ的なたたずまい、
独自の世界観に支えられた歌詞の世界から、
“裏ピーター・ガブリエル”などと称されていた時期がありました。
派手な話題でマスコミを騒がせる、
太陽のようなイメージのピーター・ガブリエルと、
派手な話題とは無縁であるし、
むしろそれを敬遠しているかのような、
月のイメージのピーター・ハミルですが、
その本質が同じようなものであることを、
ロックファンはよくわかっていたのです。
ピーター・ハミルは、
人間の心に潜む闇の部分にスポットを当て、
そこからメッセージを発信しています。
ただ…そのメッセージは力強く、
確認に満ちあふれています。
昨年末に、
SHM-CD化され紙ジャケ仕様で再発されたのは、
そんな彼らの全盛期の作品群です。
彼らの活動は、
大きく4つの時期に分かれます。
契約問題から、
当時はほとんど流通していなかった、
デビューアルバムの後、
『THE LEAST WE CAN DO IS WAVE TO EACH OTHER』
『H TO HE』
『PAWN HEARTS』
までの3枚の作品を発表した1969年から1971年。
ここでいったんバンドは解散したものの、
再結成され、
『GODBLUFF』
『STILL LIFE』
『WORLD RECORD』
という、
かつては“後期3部作”といわれた、
問題作を立て続けに発表した1975年から1976年。
そして、
バンド名をヴァン・ダー・グラフと短くして、
『THE QUIET ZONE』
『VITAL(LIVE)』
を発表した1977年から1978年。
その後、
バンドは長らく活動を休止していましたが、
2003年に復活を遂げ、
3枚のアルバムを発表、
現在に至るまでの時期。
今回、
再発されたのは、
この中でアルバム名を明記した8枚です。
私が今回、
まず手に入れたのは、
いわゆる“後期3部作”の最後の作品で、
VDGGの最高傑作といわれてる、
『WORLD RECORD』です。
私が彼らに興味を持ったのは、
高校の終わり頃(1979年)だったので、
ほぼリアルタイムのはずですが、
その作品は輸入盤店ですら見かけることが少なく、
私は『WORLD RECORD』を、
ロンドンに出張に行った父親に頼んで、
わざわざ現地で入手してもらったほどでした。
ようやく手に入れた『WORLD RECORD』は、
私の愛聴盤のひとつになったことは言うまでもありません。
さて、
LP音源に慣れ親しんでいた私にとって、
今回のSHM-CD化は衝撃でした。
何が変わったといって、
バンドの音がたいへんクリアになったことに驚きました。
とくにそれは、
バスドラやベースといった低音に顕著で、
いままでは、
混沌としたサウンドの中に埋もれがちだった音が
よく聴こえるようになったことで、
バンドの全体像がよく見えるようになったのです。
それと同時に、
不思議な躍動感が伝わってきて、
よりいっそう、
バンドのメッセージが心に響くようになった感じがします。
この、
混沌としたサウンドというのは、
VDGGの特徴で、
リフもメロディも判別がつかない状態で曲が進行し、
唯一ヴォーカルが入ることで、
曲としての体裁は整うものの、
アドリブ展開の少ない、
インプロビゼーションみたいなものが延々続き、
ときにリズムをチェンジしたり、
主旋律が変化したり、
譜面を起こしているのか、
即興なのかわからない…
そんな表現方法が、
この『WORLD RECORD』では、
他の作品よりも強力に
全体を支配しているのです。
音的には、
そうですね…
イギリスのバンドに、
こんな表現を使うのは変だと思いますが…
いわゆる、
“ブリティッシュロック”というよりは、
“ユーロロック”に近い感じ…、
VDGGにもっとも近いサウンドを探すと、
『web-magazine GYAN GYAN』で紹介した、
スイスのアイランドによく似ています。
アイランドといえば、
ヴォーカル&パーカッション、
ドラムス、
キーボード、
管楽器という変則的な4人編成ですが、
VDGGも、
ヴォーカル、
ドラムス、
オルガン、
管楽器なので、
編成自体がよく似ています。
VDGGは、
ヴォーカルのピーター・ハミルが、
ギターやピアノを弾くのですが、
基本的には、
ギター&ベースという、
ロックバンドの基本定位置が不在であることが、
大きな特徴だと思います。
その編成でありながら、
スタジオ重視の音作りではなく、
メンバーが疲弊するほど、
たくさんのライブをこなし、
そのライブを通じて曲を成長させてきたので、
ここはアイランドと大きく異なる点です。
『WORLD RECORD』はそんな感じで、
ライブで練り込んだ曲を、
ライブに近い臨場感で延々と演奏をする、
そんな手法で作り上げられております。
注目すべきポイントは、
LP時代のB面、
CDでは4~5曲目で、
まず「MeurglysⅢ」という、
20分に及ぶ大作の後半で、
リズムがレゲエに変化するところ。
おそらく史上もっとも早い、
プログレとレゲエの接点であり、
この音の感触は、
この後のいわゆる
“ニューウェイブ・サウンド”に引き継がれているので、
たいへん重要なポイントだと思います。
あのジョニー・ロットンは、
VDGGからたいへん影響を受けたと語っておりますが。
それはこのあたりから窺えます。
PILのヒントはVDGGだったのかもしれません。
そして、
もうひとつのポイントは、
アルバムの最後に収録された「Wondering」…
CDではボーナストラックが追加されているので、
最後ではありませんが、
ここでいったんCDを止めることをおススメします。
この曲は最初からシングルを意識していたので、
たいへん聴きやすく作られていますが、
ここにVDGG…というより
ピーター・ハミルの世界観が凝縮されています。
♪
僕は目覚める
ずっと深い所で そして目を開く
もう少しで息が止まるところだった
待ってくれ
何か得体の知れないものがいる
私が怖れているものが
近寄ってくる気配がする
君なのか?
その声は誰なんだ?
今こそが心を決めるときなんだろうか
あの理不尽な痛みよ
このちっぽけな脳ミソが
今は歓喜ではちきれそうだ
僕なのか?
今こそそのときなんだろうか?
誓いを立てるときがやって来たのだろうか?
僕は戻ってくる
生きている限り、息をしている限り、輝いているかぎり
生き抜いてみせると誓いを立てる
暗闇に向かって思い切り腕を伸ばし
鏡に向かってじっと目を凝らし
これらがすべて現実だったのだろうかと
考えながら
♪
いかがでしょう?
私は“死”とか“宇宙”のイメージを感じ取ってしまいますが、
なぜかそこに“魂”の解放を感じます。
イメージとは裏腹の前向きなメッセージ。
この歌詞が、
見事に構築された美しいメロディと、
後半に登場する、
賛美歌のようなコーラスに支えられて
エンディングへと向かう瞬間は、
たとえようのないほど美しいのです。
初めて耳にしたとき、
涙が出るほど感動したことを覚えています。
これこそが、
VDGGの真髄、
ピーター・ハミルの世界観なのです。
さて、
VDGGについては、
諸作を含め、
一度まとまった文章にしておきたいところですが、
それは別の機会に譲るとして…
私の今の興味は、
そんな彼らが、
21世紀の今、
どんな音を出しているかということ…
以前、
kisatoさんからいただいた、
最近来日した際の音源を聴く限りでは、
表現方法は当時と大きく変わっていないので、
さて、
そこで何を描いているのか、
たいへん興味深いところです。
ひさびさに、
VDGGを聴いて、
芸術家魂を揺さぶられてしまいました。
うーむ…(笑)
ブルースなどまったく感じさせず、
クラシックやジャズの香りはするものの、
高度なテクニックを持つ演奏者がいるわけではなく、
インプロビゼーションの火花を散らすわけでもない…
しかし、
多くの人は“プログレッシヴ・ロック”をイメージする。
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターは、
そんなグループです。
(以下、VDGGと略します。)
ヴォーカルのピーター・ハミルは、
その端正な顔立ちと、
カリスマ的なたたずまい、
独自の世界観に支えられた歌詞の世界から、
“裏ピーター・ガブリエル”などと称されていた時期がありました。
派手な話題でマスコミを騒がせる、
太陽のようなイメージのピーター・ガブリエルと、
派手な話題とは無縁であるし、
むしろそれを敬遠しているかのような、
月のイメージのピーター・ハミルですが、
その本質が同じようなものであることを、
ロックファンはよくわかっていたのです。
ピーター・ハミルは、
人間の心に潜む闇の部分にスポットを当て、
そこからメッセージを発信しています。
ただ…そのメッセージは力強く、
確認に満ちあふれています。
昨年末に、
SHM-CD化され紙ジャケ仕様で再発されたのは、
そんな彼らの全盛期の作品群です。
彼らの活動は、
大きく4つの時期に分かれます。
契約問題から、
当時はほとんど流通していなかった、
デビューアルバムの後、
『THE LEAST WE CAN DO IS WAVE TO EACH OTHER』
『H TO HE』
『PAWN HEARTS』
までの3枚の作品を発表した1969年から1971年。
ここでいったんバンドは解散したものの、
再結成され、
『GODBLUFF』
『STILL LIFE』
『WORLD RECORD』
という、
かつては“後期3部作”といわれた、
問題作を立て続けに発表した1975年から1976年。
そして、
バンド名をヴァン・ダー・グラフと短くして、
『THE QUIET ZONE』
『VITAL(LIVE)』
を発表した1977年から1978年。
その後、
バンドは長らく活動を休止していましたが、
2003年に復活を遂げ、
3枚のアルバムを発表、
現在に至るまでの時期。
今回、
再発されたのは、
この中でアルバム名を明記した8枚です。
私が今回、
まず手に入れたのは、
いわゆる“後期3部作”の最後の作品で、
VDGGの最高傑作といわれてる、
『WORLD RECORD』です。
私が彼らに興味を持ったのは、
高校の終わり頃(1979年)だったので、
ほぼリアルタイムのはずですが、
その作品は輸入盤店ですら見かけることが少なく、
私は『WORLD RECORD』を、
ロンドンに出張に行った父親に頼んで、
わざわざ現地で入手してもらったほどでした。
ようやく手に入れた『WORLD RECORD』は、
私の愛聴盤のひとつになったことは言うまでもありません。
さて、
LP音源に慣れ親しんでいた私にとって、
今回のSHM-CD化は衝撃でした。
何が変わったといって、
バンドの音がたいへんクリアになったことに驚きました。
とくにそれは、
バスドラやベースといった低音に顕著で、
いままでは、
混沌としたサウンドの中に埋もれがちだった音が
よく聴こえるようになったことで、
バンドの全体像がよく見えるようになったのです。
それと同時に、
不思議な躍動感が伝わってきて、
よりいっそう、
バンドのメッセージが心に響くようになった感じがします。
この、
混沌としたサウンドというのは、
VDGGの特徴で、
リフもメロディも判別がつかない状態で曲が進行し、
唯一ヴォーカルが入ることで、
曲としての体裁は整うものの、
アドリブ展開の少ない、
インプロビゼーションみたいなものが延々続き、
ときにリズムをチェンジしたり、
主旋律が変化したり、
譜面を起こしているのか、
即興なのかわからない…
そんな表現方法が、
この『WORLD RECORD』では、
他の作品よりも強力に
全体を支配しているのです。
音的には、
そうですね…
イギリスのバンドに、
こんな表現を使うのは変だと思いますが…
いわゆる、
“ブリティッシュロック”というよりは、
“ユーロロック”に近い感じ…、
VDGGにもっとも近いサウンドを探すと、
『web-magazine GYAN GYAN』で紹介した、
スイスのアイランドによく似ています。
アイランドといえば、
ヴォーカル&パーカッション、
ドラムス、
キーボード、
管楽器という変則的な4人編成ですが、
VDGGも、
ヴォーカル、
ドラムス、
オルガン、
管楽器なので、
編成自体がよく似ています。
VDGGは、
ヴォーカルのピーター・ハミルが、
ギターやピアノを弾くのですが、
基本的には、
ギター&ベースという、
ロックバンドの基本定位置が不在であることが、
大きな特徴だと思います。
その編成でありながら、
スタジオ重視の音作りではなく、
メンバーが疲弊するほど、
たくさんのライブをこなし、
そのライブを通じて曲を成長させてきたので、
ここはアイランドと大きく異なる点です。
『WORLD RECORD』はそんな感じで、
ライブで練り込んだ曲を、
ライブに近い臨場感で延々と演奏をする、
そんな手法で作り上げられております。
注目すべきポイントは、
LP時代のB面、
CDでは4~5曲目で、
まず「MeurglysⅢ」という、
20分に及ぶ大作の後半で、
リズムがレゲエに変化するところ。
おそらく史上もっとも早い、
プログレとレゲエの接点であり、
この音の感触は、
この後のいわゆる
“ニューウェイブ・サウンド”に引き継がれているので、
たいへん重要なポイントだと思います。
あのジョニー・ロットンは、
VDGGからたいへん影響を受けたと語っておりますが。
それはこのあたりから窺えます。
PILのヒントはVDGGだったのかもしれません。
そして、
もうひとつのポイントは、
アルバムの最後に収録された「Wondering」…
CDではボーナストラックが追加されているので、
最後ではありませんが、
ここでいったんCDを止めることをおススメします。
この曲は最初からシングルを意識していたので、
たいへん聴きやすく作られていますが、
ここにVDGG…というより
ピーター・ハミルの世界観が凝縮されています。
♪
僕は目覚める
ずっと深い所で そして目を開く
もう少しで息が止まるところだった
待ってくれ
何か得体の知れないものがいる
私が怖れているものが
近寄ってくる気配がする
君なのか?
その声は誰なんだ?
今こそが心を決めるときなんだろうか
あの理不尽な痛みよ
このちっぽけな脳ミソが
今は歓喜ではちきれそうだ
僕なのか?
今こそそのときなんだろうか?
誓いを立てるときがやって来たのだろうか?
僕は戻ってくる
生きている限り、息をしている限り、輝いているかぎり
生き抜いてみせると誓いを立てる
暗闇に向かって思い切り腕を伸ばし
鏡に向かってじっと目を凝らし
これらがすべて現実だったのだろうかと
考えながら
♪
いかがでしょう?
私は“死”とか“宇宙”のイメージを感じ取ってしまいますが、
なぜかそこに“魂”の解放を感じます。
イメージとは裏腹の前向きなメッセージ。
この歌詞が、
見事に構築された美しいメロディと、
後半に登場する、
賛美歌のようなコーラスに支えられて
エンディングへと向かう瞬間は、
たとえようのないほど美しいのです。
初めて耳にしたとき、
涙が出るほど感動したことを覚えています。
これこそが、
VDGGの真髄、
ピーター・ハミルの世界観なのです。
さて、
VDGGについては、
諸作を含め、
一度まとまった文章にしておきたいところですが、
それは別の機会に譲るとして…
私の今の興味は、
そんな彼らが、
21世紀の今、
どんな音を出しているかということ…
以前、
kisatoさんからいただいた、
最近来日した際の音源を聴く限りでは、
表現方法は当時と大きく変わっていないので、
さて、
そこで何を描いているのか、
たいへん興味深いところです。
ひさびさに、
VDGGを聴いて、
芸術家魂を揺さぶられてしまいました。
うーむ…(笑)
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