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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2013/09/01 (Sun)
暑いですね‥
いったん涼しくなった後だから、
よけいにコタエますな‥

暑いと思考回路が鈍るので、
何かを創造する意欲がなくなります。
これは困るんだよね‥(笑)

さて‥
山口冨士夫さんが亡くなってから、
村八分を聴くことが多くなっています。

村八分といえば、
唯一の公式音源は、
1973年5月5日 京大西部講堂での演奏を収めた
『ライブ』です。

これは長らく廃盤でしたが、
私は1984年、
ヴィヴィッドレコードが再発した際に、
手に入れました。
(もちろん、LPです)

ヴォーカルのチャー坊と冨士夫さん以外は
急遽雇われたメンバーだったとか、
制作側が意欲的だったのでとりあえず録音したとか‥
当時はあまり評価が高くありませんでした。

しかし、
なにしろ、
伝説のバンドの音源です。

リズム隊が弱かろうが、
もう一人のギターにまったく存在感がなかろうが、
(この人は、のちのハルヲフォンのドラマーらしい)
チャー坊と冨士夫さんの存在感は圧倒的で、
日本のロック史上類を見ない作品になっています。

『ライブ』はその後CD化されましたが、
注意しなければならないのは、
最後に発売されたバージョンで、
1曲目の「あッ!!」がカットされていることです。

カタワとかメクラとかビッコという
歌詞が問題になったということですが、
この曲がなくては、
『ライブ』の迫力は半減してしまいます。
まったく、
作品の価値を理解しないヤカラのやることは、
よくわかりません。

私は、
紙ジャケ仕様で
ボーナストラックが1曲追加されているヴァージョンのCDを持っていますが、
このボーナストラック「ゴミ箱のふた」が素晴らしい。

曲調は、
『ライブ』本編に収録されている「のびてぶぎー」とか、
ローリングストーンズの「シェイク・ユア・ヒップス」のパターンそのままで…
(『メインストリートのならず者』に収録)
どうやら富士夫さんはこのパターンがお気に入りらしく、
タンブリングス時代にも「Bun Bun」という作品を残しています…
シンプルこの上ないのですが、
リズム隊、
とくにドラマーのプレイがよいので、
聴きモノです。

そして、
なによりも、
歌詞に味わいがあります。

村八分は、
音楽媒体がCDになってから、
たくさんの未発表作品を発表しましたが、
その中でとくに評価が高いのは、
1971年のスタジオ録音をまとめた『くたびれて』です。

ヴォーカルと演奏のミキシングのバランスはイマイチですが、
『ライブ』の物足りなさを解消してくれる作品です。

リズム隊は、
ドラムスに上原裕さん(のち山下達郎のシュガーベイブ…このときわずか17歳)
ベースに青木眞一さん(こちらは外道、タンブリングス)
で、
なにしろ強力です。

ビートがグイグイ、
うねるように迫ってきて、
『ライブ』のようにヨレルことはありません。

先の「ゴミ箱のふた」はもしかすると、
このメンバーで録音された可能性があるということなので、
なるほどです。

『くたびれて』のタイトル曲は、
チャー坊という稀代のヴォーカリストの本領が発揮された名曲で、
なんというか…
ローリング・ストーンズのもつ疲労感を、
見事に日本語の簡単な単語で表現しています。

あるいても あるいても
はてどなく はてどなく
にぎりしめた手のひらは
あせばかり あせばかり

20歳の若さにしてこの老成ぶり…
いったい何にこんなに疲れていたのでしょう?

ローリング・ストーンズのフォロワー、
日本にもたくさんあれど、
ここまで本質を捉え、
自分達の言葉に置き換えた人を、
他に見たことがありません。

チャー坊もまた、
すでにこの世の人ではなく、
今は残された作品で、
その才能を偲ぶだけですが、
富士夫さんのギターといい、
これが1971年の作品というのは、
とても信じられないことです。

日本に、
突然変異のように誕生した、
ローリング・ストーンズの落とし子…
村八分を聴くたびに、
そんな言葉が浮かんできます。

誰か、
しっかりとマネジメントして、
もっと作品を残していたら、
とんでもない存在になっていたのではないでしょうか?

さて、
そんな富士夫さんの作品をネットで探していたら、
なんと…
裸のラリーズの音源…
最近、
海外で再発された作品が逆輸入されているようで、
幻の名盤といわれた『77 LIVE』のリメイクや、
富士夫さんが在籍した1980〜81年のライブ集(6枚組…)
など、
貴重なアイテムを多数見つけてしまい、
大人買いをしてしまいました。

今年の秋は、
ラリパッパになってしまうかも…(笑)
でもそれは、
夏の猛暑のおかげではありませんよ。


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★ ILLUSTRATION BY nyao