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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2013/07/28 (Sun)
先週末はいろいろと忙しく、
更新をサボってしましましたが…
暑さのせいではありませんよ(笑)

さて、
1〜2週間前に、
NHK-BSプレミアムで、
「手塚治虫VS石ノ森章太郎」という企画があり、
なつかしいテレビ作品の
初回と最終回を放映しておりました。

最近、
年齢のせいか(?(笑)
少年時代に愛読したコミックスや
テレビ番組にミョーに反応してしまい、
少しずつ作品を集めたりしていたので、
これは大ヒットでした。

今回の一番の目玉は、
「サイボーグ009」のテレビ作品(白黒)
が見られたこと。
009は大好きだったなーっ
というより…
私は石ノ森先生が好きだったなーっ
とあらためて、
痛感してしまいました。

手塚先生の偉大さはもちろん、
よくわかっていますが、
少年時代の私にとっては、
石ノ森先生が神様なのでした。

こと近未来的なSF作品に関しては、
手塚先生も長く、
石ノ森先生に脱帽していたようで、
その気持ちがよくわかります。

1960年代後半から1970年年代の
石ノ森作品は、
とにかくスゴいのです。

さて今回は、
そんな思い出の石ノ森作品を語ってみたい、
と思います。


「サイボーグ009」(1967年)



これは先生のライフワークのひとつで、
何度も中断し続編を書き足す、
を繰り返していたため、
今からこの作品に触れようとする方は
混乱するかもしれませんが…
決定版は、
最初のコミックス…
当時は秋田書店、
現在はサンデーコミックスの復刻版で出ている、
初回の10冊…これに尽きるでしょう。

009たちの生い立ちから始まり、
その後の戦いが描かれているですが、
少年時代にとくに印象に残ったのは、
第6巻「地下帝国ヨミ編」の終わりで…
じつはここでストーリーは、
いったん完結しているのですが…
宇宙空間で戦い、
力尽きた009を、
仲間の002が助けに来ます。
しかし002も力尽き、
2人で抱き合いながら大気圏に突入するというシーン。
炎上して流れ星のようになり、
地上で夜空を見上げていた姉弟がそれを見つけ、
願い事をするのです。



なんてロマンティック…
というか、
映画のワンシーンのように美しいのだろう、
と少年時代に感動したシーン。

今読んでも、
グッときますなぁ…

石ノ森先生は後年、
少々劇画チックなタッチになりますが、
この頃は手塚先生直伝の、
とてもキュートな、
いかにもマンガというタッチで、
それも相まって完成度が高いのが、
初期の10冊です。

先に紹介した、
オリジナルTVアニメは、
なぜか007が子供になっていたり、
009だけが白い防護服を着ていたりしますが、
TV用に作られたストーリーの完成度も高く、
なによりも、
原作に込められた、
石ノ森先生の想い…
第3次世界大戦を起こしてはいけない、
というメッセージが生きているのが素晴らしいと思います。

ちなみに、
オリジナルTVアニメは、
声優もイケていて、
009はまさにこの人(田中雪弥さん、ガッチャマンの人)
個人的には、
003(洋画の吹き替えでよく見かける、鈴木弘子さん)
の可愛らしさが絶品で、
長く記憶に残っていました。
(ちなみに私は、小学校の低学年でした)

TVでは先に、
この作品の原型と思われる
「レインボー戦隊ロビン」という作品がありましたが、
こちらにもリリーという、
可愛らしい看護婦ロボットがいましたね。
(これも見たかった…DVDは高価である)

この「サイボーグ009」と、
ほぼ同時期に発表されていた、
手塚先生の「どろろ」が、
この後のSFヒーローものを生み出すきっかけになったのでした。


「仮面ライダー」(1971年)



ご存じ、
「サイボーグ009」に続く、
改造人間モノの第2弾です。

手塚先生はコイツを見て、
あーっやられたーっと思ったそうです。
何が?って、
そう、
ダークヒーロー…不気味なヒーロー。
手塚先生は、
こういう不気味なヒーローを作りたかったそうです。

私は初期の数回目から、
TV作品を見ていましたが、
(この頃は、小学校の高学年でした)
サブタイトルが「SF怪奇アクション」でしたからね…
なにしろ、
暗く、
不気味な映像でした。

バッタをモチーフにしてあるというけれど、
どことなくドクロに似たライダーのマスク。
変身ポーズもなく、
ショッカーの戦闘員もデストロイヤーみたいなマスクではなく、
素顔にベチャっと色を塗りたくり、
怪人たちも人の目が出ていることが多く、
目の動きがさらに不気味さを演出していたりして…
とにかく、
ハンパなくグロテスクでした。

その上、
主人公の本郷猛は、
なにかにつけて、
「もう普通の人間ではない」を連発するので、
不気味な上に暗い…
でも、
また見たくなる…
説明できないカッコよさを感じる、
不思議な作品でした。

撮影中の事故で藤岡弘さんが降板した際、
少し明るさを出そうということで、
変身ポーズを考えたり、
ライダーガールズを登場させるに至るわけですが、
私はそうなる前の、
初期12回放送分が「仮面ライダー」のすべて、
と今でも思っています。

一方で、
TV放映が始まってから、
「少年マガジン」(最初は「ぼくらマガジン」)に連載していた、
コミックスの方は、
これまた、
負けず劣らずの不気味さで…
この頃から石ノ森先生は、
劇画タッチを取り入れるようになったようですが…
なんと主人公の本郷猛が射殺されるという、
救いようのない展開が待ち受けていたりしました。

ヒーローが明るくない、
ということは、
後にローリングストーンズにアコガレることになる私にとって、
たまらないポイントだったんでしょうね。

バイクに乗っているというところも、
どことなく不良っぽくて、
カッコよかったんですね。


「人造人間キカイダー」(1972年)



改造人間モノに続いて、
今度は人造人間が出てきました。

人造人間というと、
西遊記のナタクや、
フランケンシュタイン博士の怪物など、
むかしからSF作品のテーマのひとつでした。

「人造人間キカイダー」は、
良心回路が不完全という欠陥を持っていて、
これがおもしろいところでした。
コミックスはここが強調されていて、
ピノキオのように、
いいことをすれば人間に近づく、
という寓話的な要素が盛り込まれていました。

キカイダーのデザインのグロテスクさは
ライダーの比ではなく、
初回放映終了後に抗議の電話が殺到したり、
共演者(ミツコさん)があまりの不気味さに失神したり、
もうハンパなかったということです。

この、
不完全さを強調したデザイン、
私は学校にあった人体模型だなと思いましたが、
傑作だと思いますよ。
ちなみに、
石ノ森先生もこの,
赤青左右非対称スケルトンの
デザインを気に入っていて、
自分の作品でのベストに上げておりました。

「人造人間キカイダー」は、
放映時間が土曜の夜8時からということもあり、
少し大人っぽい雰囲気だったと記憶しています。
(ビジンダーのような軽いお色気キャラがいたりした)

こちらも仮面ライダー同様、
バイクに乗っていたんですが、
なぜかサイドカーの上に、
足を伸ばせないほど車高が低く、
ころも印象的でした。


さて、
「サイボーグ009」
「仮面ライダー」
「人造人間キカイダー」
に共通しているテーマは、
人間の心に潜む“悪”だと思います。

それをヒーローの姿にも投影したのが、
後の2作ということで、
ここに、
手塚治虫先生が脱帽した、
石ノ森先生の卓越したセンスが輝いているわけです。

今あらてめて見ても、
作品のおもしろさは色あせず、
アニメもコミックスもどちらも魅力的…
このような作品にはそれほどお目にかかれないでしょうね。

次回は「どろろ」について、
語りたいのですが…(笑)
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★ ILLUSTRATION BY nyao