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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2011/12/25 (Sun)
『スティーヴ・ヴァイ/パッション・アンド・ウォーホェア
(STEVE VAI/PASSION AND WARFARE)』
(1990年発表)



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長らく続けてきた、
「私の人生を変えたアルバム」シリーズですが、
15話になる今回で、
ひとまず完了といたします。

最後に登場するのは、
スティーヴ・ヴァイの『パッション・アンド・ウォーホェア』です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私が、
トッド・ラングレンの影響を受けて、
最低限の機材による、
多重録音のソロ作品を完成させた1990年に、
とんでもない作品が発表されました。

それが、
このアルバム、
『パッション・アンド・ウォーホェア』です。

これも、
ほとんど一人で作り上げた作品になっています。
ただし…コンピューターを駆使して…、
という点がトッドと大きく違っていました。

スティーヴ・ヴァイは、
1984年、
元レインボーのグラハム・ボネットのバンド、
アルカトラスに、
イングウェー・マルムスティーンの後任として参加し、
早弾きを得意としたイングウェーに引けを取らないどころか、
それ以上のテクニックを披露して、
ロックファンの度肝を抜きました。

その後、
ヴァン・ヘイレンを抜けた、
デイヴ・リー・ロスのバンドに参加、
一躍メジャーな存在になりました。

私は当初、
スティーヴ・ヴァイに対し、
いわゆる、
“ヘヴィ・メタル系の早弾きしか能のないギタリスト”と思い、
あまり興味を持ちませんでした。

しかし、
デイヴ・リー・ロス・バンド時代のPVで、
妙なニュアンスのアーミングと、
あまり耳にしたことのない、
不思議なメロディラインを聴いて、
「…ん?」と思い…、

さらに、
彼が1984年に発表した、
ファースト・ソロアルバム『フレクサブル(Flexable)』に収録されている、
「Attitude Song」を聴いて、
さらに「…なんだ、こりゃ?」が増幅し、
興味を持つに至りました。



スティーヴ・ヴァイがロック界に入るきっかけは、
あのフランク・ザッパの難曲を採譜して、
本人の元へ送ったことに始まります。

ヴァイの才能と、
一風変わったセンスに目をつけたザッパは、
次に人間の会話を採譜するように命じたそうです。
これを見事にこなし、
ヴァイは晴れてフランク・ザッパ・バンドの一員として迎え入れられたのです。

ザッパ時代のプレイは、
ライブアルバム『ティンゼルタウン・リベリオン(Tinsel Town Rebellion)』(1980年)
で聴くことができますが、
すでに、
グニョグニョした、
独自のプレイでアピールしています。

人間の会話については、
先に紹介した『フレクサブル(Flexable)』で、
10分程度の会話をユニゾンで追いかけるという…、
信じられないというか、
かなりマニアック…、
いや、
誰もやらないであろう、
誰にもできないであろう(笑)作品を披露していますが、



つまり…、
“ただのヘヴィ・メタル系のギタリスト”ではなかったのです。

『パッション・アンド・ウォーホェア』は、
そんなスティーヴ・ヴァイの2枚目にして、
最高傑作の呼び声の高い作品ですが、
ここで聴けるギタープレイは、
はっきり言って、

人間技ではありません(笑)

この作品は全編、
コンピューターを駆使したインスト作品で、
参加ミュージシャンの名前こそあるものの…、
ヴァイは彼らの音をサンプリングし、
(例えば、ドラマーだったら、キックの音やスネアを叩く音…)
それを元に、
譜面から各パートを打ち込み、
それをバックにギターを録音したと言っているので、
ほぼ一人で作った作品を言ってよいでしょう。

コンピューターを相手に、
まったく破綻のないギタープレイ…、
それを可能にするのは、
どんなに細かい譜割りでも、
正確無比に弾くことができるテクニック。

そして、
奇妙なユーモアと、
ねじくれたセンス…。

これらが同居した、
本当に、
とんでもない作品なのです。

ジャケットに写っているヴァイのギター、
何か不自然なものを感じてよく見てみたら、
なんと…、
弦が7本あるじゃありませんか…。
彼はこのアルバムで、
7弦ギターなるものを駆使していますが、
これは他の誰にも使いこなせないギターです。

まさに究極。
人類が到達した、
極限のギターテクニックがここにあると言っても過言ではありません。

国家のような「リバティ」で荘厳に幕を開け、
カミソリをギターの上にすべらせたという
ヘヴィな「エロティック・ナイトメアーズ」へ続き、
変則チューニングによる12弦ギターを駆使した
「バレリーナ12/24」のような小曲をはさむものの、
とにかく、
ハードな曲の連発で、
元気のない時は少々辟易とするかもしれません。

しかし、
イントロでワウを使い、
女教師(本当にヴァイの恩師とか…)とギターの会話から始まる、
「ジ・オーディエンス・イズ・リスニング」。



抜けるような青空のように心地いい乗りの、
「アイ・ウド・ラヴ・トゥ」。
(↓これ珍しい、PVですよ)



変則7拍子と11拍子のリフが文句なくかっこいい、
「グリイジー・キッズ・スタッフ」。



そして、
フィナーレを飾る、
オクターブ奏法を駆使したバラード「シスターズ」など、
聴くべきポイントは、
たくさんあります。

ちなみに、
この「シスターズ」は、
ジミヘンのバラードに対する新しい解釈と言われ、
冒頭の「リバティ」を
「スター・スパングルド・バナー」(星条旗よ永遠に)の発展版ととらえることで、
この作品を、
スティーヴ・ヴァイによるジミヘン讃歌とする評価もありました。



ハーモナイザーを流行させたのも、
彼だったなぁ…。
(一人でギターをハモらせることができるエフェクター)

いずれにしても、
私は、
この作品を、
ロックギターの究極の発展型と評価し、
このまま21世紀へ突入したらどうなるのか?
と少々怖れおののいたものです。

いや…大げさでなく、
今のロック少年たちは可哀想だな…、
こんな、
およそコピーできそうにない曲に、
最初からお目にかかってしまうわけだから…、
などと本気で同情したほどでした。

しかし、
あれから20年が経ちますが、
そんな作品は、
これ以外発表されておらず、
スティーヴ・ヴァイが突然変異的な存在であったことが、
よくわかります。

そんなヴァイも、
ギターのプレイだけはサンプリングできない…、
というか、
したくなかったわけで、
いわゆる、
どんなにテクノロジーが発達しても、
あの楽器の響きと、
人が弾く微妙なタッチだけは、
再現することができないのです。

ギターの素晴らしさは、
人が弾くことによるもの。

スティーヴ・ヴァイは、
コンピューターに挑みながら、
人間だけが機械に対抗できることを、
ギターを通じて主張したのかもしれません。

そのための体力を保つために、
ベジタリアンであり、
録音の数日前から断食をして体の汚れを抜くとは…、
これも真似できませんね(笑)
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