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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2008/07/06 (Sun)


私がハタチの頃、
初めてオリジナル曲を人前で演奏した際、
何人かの友人から同じことを言われた。
「ジョー・ペリーっぽいじゃん…」
当時はそれほど彼に関心を持っていなかったのだが、
少年期にかなりの衝撃を受けたので、
私のDNAに強く刷り込まれていたのだろう。

ジョーのギター、ありゃなんだろう?

ウマイのか、ヘタなのかよくわからないギター。
リフやコードカッティングのセンスは一級品なのに、
リードギターを弾き始めると、
とたんに妙な指癖フレーズばかりになり、
もつれたような、
スライドを使っていないのにスライドみたいに粘る、
不思議な引っ掛かりのある、
ぎこちない不器用なプレイになってしまう。

とくに『ロックス』の自作曲では、
何をやっているのかよくわからない、
グニョグニョしたパートが多く、
(「バック・イン・ザ・サドル」「地下室のドブねずみ」「コンビネイション」など)
もう一方のギタリスト、
ブラッド・ウィットフォード作の曲における、
(「ラスト・チャイルド」「ノーバディズ・フォールト」)
整然としたフレーズと対照的である。

『ロックス』は、
前後のアルバム、
『闇夜のヘヴィロック(TOYS IN THE ATTIC)』『ドロー・ザ・ライン(DRAW THE LINE)』と比較すると、
音がスッキリ聴こえてこないというか、
モヤがかかったようなエコーが全体を支配しているため、
余計にそう聴こえるのかもしれない。
一説によると、
この頃のジョーはヘヴィ・ドラッグで、
いつもアタマの中に霧がかかっていたらしい。

また、
ブラッドとの対比は、
『ライブ・ブートレグ(LIVE BOOTLEG)』で明らかだが、
キチンとしたリズムで端正なソロをとる“巧い”ブラッドと、
リズムが早くなったり遅くなったりしながら、
イレギュラーなソロをとる“旨い”ジョーが、
微妙なバランスをとりながらアンサンブルを構成している。
このキナクサイ感じは、
ジョーが当時のバンド内で浮いていたことによるものだといわれているが、
まさに火花が散るようなインター・プレイが克明に記録されている。

ジョーはブラッドあっての存在であり、
しっかりと下ごしらえされた料理にほんの少々加える、
刺激の強い調味料のようなものなのである。

おかげで、
エアロスミスを脱退したジョーによる、
ジョー・ペリー・プロジェクトの作品は、
どれも中途半端な内容で終わってしまっている。
そもそも、
刺激の強い調味料だけの料理なんて、
食べたいと思わないでしょう?

その後、
過去の過ちを反省したジョーは、
エアロスミスに復帰し、
健康的な生活と盤石のチームワークを手に入れたが、
もうそこには、
かつてのような妖しさやキナクサさはまったくなかった。

再結成後のエアロスミスはおもしろくない。

私が好きなジョー・ペリーは、
『ロックス』と『ライブ・ブートレグ』で聴けるような、
妖しく火花を放っている瞬間だけである。
時期的には、
ほんの2〜3年のことなのだ。

にもかかわらず、
オリジナル曲を作ったら、
「ジョー・ペリーっぽいじゃん…」などと言われるのだから、
その衝撃度の大きさが伺い知れるというもの。

余談だが、
ジョーはインタビューなどで、
ジェフ・ベックのファンであることを公言しており、
来日公演のリハーサルで、
「フリーウェイ・ジャム」を完全コピーして弾いていた、
などという証言があるので、
あのトリッキーなプレイのヒントがそこから来ていることは確か。
同じようにジェフ・ベック・ファンである私には、
ジョーのフレーズのルーツがよくわかる。

いずれにしても、
私と同じように、
ジョーにインスパイアされたグループは、
海外にもたくさんいて、
ハノイ・ロックス、
ラット、
ガンズ・アンド・ローゼス…。
とくにアメリカにおいて、
これ以降の、
ロックバンドのお手本となっていることは間違いない。

ストーンズから影響を受けて…、
ヤードバーズにあこがれて…、
いえいえ、
みんな正直に言いましょう。
エアロスミスに、
いや、
ジョー・ペリーにあこがれた、
っとね…。
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