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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2012/01/15 (Sun)
今年も動き始めましたね。
You Tubeにアップした LOOSE CONNECTIONの動画は、
それなりのアクセスと評価をいただいているようで、
ありがたいことです。

さて、こちらも通常営業を再開しましょう。


昨年の私のキーワードは、
ジャズ、アフリカ、そしてラップでした。
今回はそのキーワードを軸に、
部門別のベストアルバムを紹介いたします。

【新譜】



①Phat Phunktion『Real Life … High Fidelity』
②Limp Bizkit『Gold Cobra』
③Amira Kheir『View From Somewhere』

新譜では、
最近のお気に入りだった、
ラップとヘヴィメタルの融合、
Limp Bizkitのニューアルバムが優勢と思われたのですが、
年末近くになってリリースされた、
Phat Phunktion(ファット・ファンクション)の新譜を聴いて、
順位が入れ替わりました。

Phat Phunktionは、
最近では珍しいブラス入りのファンクバンドです。
1970年代のサウンドを継承しながら、
1980年代以降の新しいタイプのブラックミュージックの要素も加味している、
とてもクールなバンドです。

ギターがかなりジミヘンしていて、
それが前に出ている曲もあり、
いわゆる、
ブラスファンクのパターンにとどまらない点にも好感が持てます。

なにしろ、
文句なしにカッコいいので、
ファンク好きやジミヘン好きには、
オススメの作品です。



以前にも紹介した
Amira Kheirは、
スーダン出身の女性歌手で、
地味めな作品ですが、
ピュアな歌声が心に響きます。

【旧譜】



①Wes Montgomery『Full House』
②Jim Hall『(with Ron Carter) Duo』『(with Bill Evans) Undercurrent』
③Joe Pass『Portraits of Duke Ellington』

旧譜は、
やはりジャズギターですね。
もう本当に一時期は、
これしか聴いていなかったくらいですから…。

そんな中で、
もっとも気に入ったのが、
Wes Montgomeryの『Full House』。
ちょっと「Take Five」に似た、
3拍子のリフがカッコよくて、
思いっきりハマってしまいました。

Wes Montgomeryは、
オーソドックスなジャズをギターで表現しているので、
学ぶべき部分が多いですね。



純粋なギタープレイとしては、
Jim Hallにシビレまくりまして…、
彼のプレイがよく聴こえる、
バンド形態ではなくデュオ作品を2作挙げておきました。
いずれも甲乙つけ難く、
ブッ飛び方もハンパではありません。(とくに『Undercurrent』)

私の知り合いに
「Jim Hallのギターはフワフワしているからイヤだ」
と言う人がいますが…、
何を言っているんだ、
この独特の、
浮遊感いっぱいの空間が素晴らしいんじゃないかい?
こんなギターを弾けるのは、
世界でただ一人、
彼だけですよ。

Joe Passは、
ギターがウマ過ぎで、
少々近寄り難い存在ですが、
ポップな曲が並ぶこの作品は別格。
1曲目の「Satin Doll」はやはり、
古今の名演ですね。

【紙ジャケ再発】



①Ramsey Lewis『Sun Goddes』
②The Who『The Kids Are Alright』
③PIL『Paris In The Spring』『The Flowers Of Romance』

昨年は、
あまり紙ジャケ収集に熱心ではありませんでしたが、
Ramsey Lewisのこの作品は、
ファンク系インスト、
とくにエレピの素晴らしさを再認識させてくれました。

やはり私は、
この系統の音が好きなんですよ。
これを聴いた後にPhat Phunktionが出たので、
余計にハマったのでしょうね。



同じように、
ロックのカッコよさを再認識させてくれたThe Who

空間的なサウンドのカッコよさを再認識させてくれた上で、
LOOSE CONNECTIONの方向性も再確認させてくれたPIL

紙ジャケ再発モノは、
「やっぱ俺って、
こういうの好きなんだよな~っ」を実感したいときに、
購買意欲を後押しするグッズのようです。

最後に、
2011年にもっともよく聴いた作品として、
数年前の新譜ですが、
Esperanza Spaldingの『Esperanza』と
A Tribe Called Questの『The Low End Theory』を挙げておきましょう。

両者ともに、
以前ここで取り上げましたが、
Esperanza Spaldingは、
冒頭のキーワード、
ジャズとアフリカをセンスよく表現できるミュージシャンとして、
現在もっとも動向が気になります。

A Tribe Called Questの『The Low End Theory』は、
ジャズとラップをセンスよく融合した傑作です。


このような私の音の指向を、
マイバンド、
LOOSE CONNECTIONに反映させると、
ジャズ+ラップ+ハードロックとなるでしょうね、
あっ、
そこにファンクも入るかもしれない…、
などとひそかに企む、
2012年冒頭の私ではありました。(笑)
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★2011/12/31 (Sat)
12月4日のブログで、

画像、音源等、
用意できたら紹介します、
と言いたいところですが…、
今回は、
事前の準備が間に合わなかったので、
何もアップできないかもしれません。

何かあればアップしますが、
あまり期待しないでくださーい。

と言いましたが、
なんと、
この年の暮、
大晦日になって、
画像のアップが実現しました。

再掲ですが、
データは以下の通りです。

日時: 2011年12月3日(土)
場所:「吉祥寺 曼荼羅Ⅱ」

演奏曲目:
1、Feel Like A River(I Talk to Myself)
2、神曲:煉獄編
3、I've Got A Fever
4、プカプカ

ここで公開するのは、
オリジナルの3曲、

Feel Like A River(I Talk to Myself)
神曲:煉獄編
I've Got A Fever

です。
(プカプカはチューニングがメロメロになっているので公開しませ〜ん)

いずれも、
作詞 作曲:LOOSE CONNECTION
LOOSE CONNECTION:marc(Vo)、matsuZACK(G)、ITO(B)、shiba(Ds)
ということで、
今年最後のプレゼント、
お楽しみください。

それでは、
よいお年を!






★2011/12/25 (Sun)
『スティーヴ・ヴァイ/パッション・アンド・ウォーホェア
(STEVE VAI/PASSION AND WARFARE)』
(1990年発表)



リバティ
 (Liberty)
エロティック・ナイトメアーズ
 (Erotic Nightmares)
ジ・アニマル
 (Animal)
アンサーズ
 (Answers)
ザ・リドル
 (Riddle)
バレリーナ 12/24
 (Ballerina 12/24)
フォー・ザ・ラヴ・オブ・ゴッド
 (For The Love Of God)
ジ・オーディエンス・イズ・リスニング
 (Audience Is Listening)
アイ・ウド・ラヴ・トゥ
 (I Would Love To)
ブルー・パウダー
 (Blue Powder)
グリイジー・キッズ・スタッフ
 (Greasy Kids Stuff)
アリエン・ウォーター・キッス
 (Alien Water Kiss)
シスターズ
 (Sisters)
ラヴ・シークレッツ
 (Love Secrets)

長らく続けてきた、
「私の人生を変えたアルバム」シリーズですが、
15話になる今回で、
ひとまず完了といたします。

最後に登場するのは、
スティーヴ・ヴァイの『パッション・アンド・ウォーホェア』です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私が、
トッド・ラングレンの影響を受けて、
最低限の機材による、
多重録音のソロ作品を完成させた1990年に、
とんでもない作品が発表されました。

それが、
このアルバム、
『パッション・アンド・ウォーホェア』です。

これも、
ほとんど一人で作り上げた作品になっています。
ただし…コンピューターを駆使して…、
という点がトッドと大きく違っていました。

スティーヴ・ヴァイは、
1984年、
元レインボーのグラハム・ボネットのバンド、
アルカトラスに、
イングウェー・マルムスティーンの後任として参加し、
早弾きを得意としたイングウェーに引けを取らないどころか、
それ以上のテクニックを披露して、
ロックファンの度肝を抜きました。

その後、
ヴァン・ヘイレンを抜けた、
デイヴ・リー・ロスのバンドに参加、
一躍メジャーな存在になりました。

私は当初、
スティーヴ・ヴァイに対し、
いわゆる、
“ヘヴィ・メタル系の早弾きしか能のないギタリスト”と思い、
あまり興味を持ちませんでした。

しかし、
デイヴ・リー・ロス・バンド時代のPVで、
妙なニュアンスのアーミングと、
あまり耳にしたことのない、
不思議なメロディラインを聴いて、
「…ん?」と思い…、

さらに、
彼が1984年に発表した、
ファースト・ソロアルバム『フレクサブル(Flexable)』に収録されている、
「Attitude Song」を聴いて、
さらに「…なんだ、こりゃ?」が増幅し、
興味を持つに至りました。



スティーヴ・ヴァイがロック界に入るきっかけは、
あのフランク・ザッパの難曲を採譜して、
本人の元へ送ったことに始まります。

ヴァイの才能と、
一風変わったセンスに目をつけたザッパは、
次に人間の会話を採譜するように命じたそうです。
これを見事にこなし、
ヴァイは晴れてフランク・ザッパ・バンドの一員として迎え入れられたのです。

ザッパ時代のプレイは、
ライブアルバム『ティンゼルタウン・リベリオン(Tinsel Town Rebellion)』(1980年)
で聴くことができますが、
すでに、
グニョグニョした、
独自のプレイでアピールしています。

人間の会話については、
先に紹介した『フレクサブル(Flexable)』で、
10分程度の会話をユニゾンで追いかけるという…、
信じられないというか、
かなりマニアック…、
いや、
誰もやらないであろう、
誰にもできないであろう(笑)作品を披露していますが、



つまり…、
“ただのヘヴィ・メタル系のギタリスト”ではなかったのです。

『パッション・アンド・ウォーホェア』は、
そんなスティーヴ・ヴァイの2枚目にして、
最高傑作の呼び声の高い作品ですが、
ここで聴けるギタープレイは、
はっきり言って、

人間技ではありません(笑)

この作品は全編、
コンピューターを駆使したインスト作品で、
参加ミュージシャンの名前こそあるものの…、
ヴァイは彼らの音をサンプリングし、
(例えば、ドラマーだったら、キックの音やスネアを叩く音…)
それを元に、
譜面から各パートを打ち込み、
それをバックにギターを録音したと言っているので、
ほぼ一人で作った作品を言ってよいでしょう。

コンピューターを相手に、
まったく破綻のないギタープレイ…、
それを可能にするのは、
どんなに細かい譜割りでも、
正確無比に弾くことができるテクニック。

そして、
奇妙なユーモアと、
ねじくれたセンス…。

これらが同居した、
本当に、
とんでもない作品なのです。

ジャケットに写っているヴァイのギター、
何か不自然なものを感じてよく見てみたら、
なんと…、
弦が7本あるじゃありませんか…。
彼はこのアルバムで、
7弦ギターなるものを駆使していますが、
これは他の誰にも使いこなせないギターです。

まさに究極。
人類が到達した、
極限のギターテクニックがここにあると言っても過言ではありません。

国家のような「リバティ」で荘厳に幕を開け、
カミソリをギターの上にすべらせたという
ヘヴィな「エロティック・ナイトメアーズ」へ続き、
変則チューニングによる12弦ギターを駆使した
「バレリーナ12/24」のような小曲をはさむものの、
とにかく、
ハードな曲の連発で、
元気のない時は少々辟易とするかもしれません。

しかし、
イントロでワウを使い、
女教師(本当にヴァイの恩師とか…)とギターの会話から始まる、
「ジ・オーディエンス・イズ・リスニング」。



抜けるような青空のように心地いい乗りの、
「アイ・ウド・ラヴ・トゥ」。
(↓これ珍しい、PVですよ)



変則7拍子と11拍子のリフが文句なくかっこいい、
「グリイジー・キッズ・スタッフ」。



そして、
フィナーレを飾る、
オクターブ奏法を駆使したバラード「シスターズ」など、
聴くべきポイントは、
たくさんあります。

ちなみに、
この「シスターズ」は、
ジミヘンのバラードに対する新しい解釈と言われ、
冒頭の「リバティ」を
「スター・スパングルド・バナー」(星条旗よ永遠に)の発展版ととらえることで、
この作品を、
スティーヴ・ヴァイによるジミヘン讃歌とする評価もありました。



ハーモナイザーを流行させたのも、
彼だったなぁ…。
(一人でギターをハモらせることができるエフェクター)

いずれにしても、
私は、
この作品を、
ロックギターの究極の発展型と評価し、
このまま21世紀へ突入したらどうなるのか?
と少々怖れおののいたものです。

いや…大げさでなく、
今のロック少年たちは可哀想だな…、
こんな、
およそコピーできそうにない曲に、
最初からお目にかかってしまうわけだから…、
などと本気で同情したほどでした。

しかし、
あれから20年が経ちますが、
そんな作品は、
これ以外発表されておらず、
スティーヴ・ヴァイが突然変異的な存在であったことが、
よくわかります。

そんなヴァイも、
ギターのプレイだけはサンプリングできない…、
というか、
したくなかったわけで、
いわゆる、
どんなにテクノロジーが発達しても、
あの楽器の響きと、
人が弾く微妙なタッチだけは、
再現することができないのです。

ギターの素晴らしさは、
人が弾くことによるもの。

スティーヴ・ヴァイは、
コンピューターに挑みながら、
人間だけが機械に対抗できることを、
ギターを通じて主張したのかもしれません。

そのための体力を保つために、
ベジタリアンであり、
録音の数日前から断食をして体の汚れを抜くとは…、
これも真似できませんね(笑)
★2011/12/18 (Sun)
前回、
トッド・ラングレンの『サムシング / エニシング』を紹介しましたが、
私はその後、
ライノの再発盤を中心に、
彼の主要作品を集めまくったので、
今回は少し、
そのあたりの話をしたいと思います。

トッド・ラングレン。
1948年生まれ。
1967年に NAZZ(ナッズ)のメンバーとして、プロデビュー。
3枚のアルバムを発表するが、
たいした成果を残せず1970年に解散。
『サムシング / エニシング』に収録されている
「ハロー・イッツ・ミー」は NAZZのファーストアルバムが初出だが、
リードヴォーカルはトッドではない。
このことに象徴されるように、
NAZZ時代は不遇だったといえる。

1970年『ラント(RUNT)』でソロデビュー。
『サムシング / エニシング』は、
『ラント(RUNT)』、『バラッド(THE RALLAD OF TODD RUNDGREN)』
に続く3枚目のソロ作品。
この作品から、
ソロでは、
すべての楽器を一人で演奏するようになり、
マルチプレイヤーと呼ばれる。
現在までに20枚のソロアルバムを発表。
アップルコンピューターの支持者で、
最近ではパソコンを使って演奏することも多い。

ソロと並行して、
1974年からはユートピア(UTPIA)を結成。
当初6人編成だったバンドはその後4人編成になり、
1985年までに11枚の作品を発表。
当初は、
プログレッシヴロックを標榜していたが、
その後はビートルズのパロディというか、
発展型のようなサウンドを展開。
こちらでのトッドは、
ギター&ヴォーカルに徹している。

現在も現役のミュージシャンである。

というような経歴のトッドですが、
私が『サムシング / エニシング』の次に気に入っているのは、
ソロ作品としては、
『サムシング / エニシング』の次に発表された、
『魔法使いは真実のスター(Wizard, A True Star)』(1973年発表)



これは、
前作の完成度から一転して、
短い実験的な楽曲を19曲も、
切れ目なしに並べるという、
コラージュ的な手法を使った作品です。

ジャケットも、
かなりシュールですが、
インナースリーブの写真が、
ものスゴい散らかった部屋にいるトッドで、
これが内容を見事に表現しています。

ちなみに、
当時のトッドの恋人だった、
ベベ(有名なグルーピーとしてその男性遍歴を本にした人)の話によると、
この写真って、
トッドの真実の姿のようで、
考えられないくらいロマンティックだと思ったら、
とつぜんハードロッカーになったり、
ヒッピー風のフォークシンガーいになったり、
豹変ぶりが凄まじくてついていけなかったと…。
(トッドって、
ベベとの子供を大切に育てていましたが、
じつはその子はステーヴン・タイラーの子で、
それが後に女優になってリズ・タイラーであるという、
すんごいネタがあります(笑)

とにかく…、
この作品は、
早いペースで次から次へと、
いろいろなタイプの作品が登場するのですが、
各曲のレベルは高く、
さすが、
と唸らされるものがあります。

とくに、
大甘のソウルメドレー:
「アイム・ソー・プラウド
〜ウー・ベイビー・ベイビー
〜ラ・ラは愛の言葉
〜クール・ジャーク」は、
部屋に女子を呼んでこれをかけたら、
まず落ちるだろう(笑)
必殺の1曲です。



その他、
ライブの定番曲、
「ネヴァー・ネヴァー・ランド」
「たったひとつの勝利」など、
名曲がズラリです。




トッドは、
ドラムの、
それもスネアの音に、
かなりのコダワリがあって…、
彼の理想はビートルズ時代のリンゴの音のようですが…、
それがサウンドの特徴になっています。

じつは、
これは私も同じで…、
ただ私の場合は、
ZEPのジョン・ボーナムが理想ですが…、
このアルバムでも1曲目で、
タンタンっとスネアが聴こえた瞬間に、
おーっと感動したものです。

ユートピアは、
そのプログレっぽい展開からか、
トッド・ファンの間では評判が悪いのですが、
私はそんなことはなく、
(なにしろ、プログレ好きですから)
けっこうよく聴きました。

まずは、
2枚目の『アナザーライブ(ANOTHER LIVE)』(1975年)



6人編成ですが、
たいへん完成度の高いライブです。
内容は、
それほどプログレっぽくはなく、
かなりソロ作品の音に近く、
部分的には、ステーヴィー・ワンダーっぽい部分があり、
とてもポップで聴きやすい作品になっています。



この“ポップで聴きやすい”は、
トッド・ラングレンのポイントで、
裏方に、
どれだけ毒(攻撃的なメッセージ)があっても、
サウンドにどれだけ凝っていても、
とりあえず、
覚えやすいメロディで、
聴きやすい音になっています。

まるで、
砂糖でコーティングしてあるように…。

このへん、
同じタイプのフランク・ザッパとは大きく違っている部分です。
彼の場合は、
まず、
その先鋭的なサウンドにすべてが表れていますからね。

ユートピアのスタジオ作品では、
その後の、
『太陽神(RA)』
『悪夢の惑星(OOPS WRONG PLANET)』
(ともに1977年発表)
という2枚の完成度が凄まじく、
これは他の追従を許さない程だと思います。





この頃のユートピアは、
衣装も銀色の光モノだったりして、
かなりSFっぽいイメージでした。

『悪夢の惑星』になると、
怒濤のような音の連続で、
全編を通して聴くには、
かなりの体力が必要になるくらいです。

『太陽神』に収録されている「サンバースト・フィニッシュ」は、
当時流行したフュージョン的な展開を見せる曲ですが、
そこで、
楽器によるインタープレイではなく、
コーラスを採用するあたりが、
トッド・ラングレンの真骨頂です。



あくまでも、
人の声にこだわる。

そういえば、
声をサンプリングして演奏に仕上げた作品もありました。
(『ア・カペラ』(1985年)

トッド・ラングレンは今でも音楽活動を続けており、
最近では、
2004年発表の「ライアーズ(LIARS)」という作品が印象に残っていて、
パソコンを上手く使っているなぁ…と感心したものです。




こうして、
あらためて見てみると、
トッドってスゴいなぁ…と思うのですが、
髪を7色に染めてみたり、
眉のあたりに蝶を書いてみたり…、
けっこう変な人というか、
はっきり言って、
奇人変人なんですよね(笑)

天才と○○は紙一重って、
トッドのためにあるような言葉かも…。

そういえば、
以前に紹介した、
クラプトンがクリーム時代に使っていた、
サイケデリックペイントのSGは、
その後トッド・ラングレンが所有しているんですね。

その上、ミーハー?(笑)
★2011/12/11 (Sun)
『トッド・ラングレン/サムシング / エニシング
(TODD RUNDGREN/SOMETHING / ANYTHING ?)』
(1972年発表)



SDE1
アイ・ソー・ザ・ライト(瞳の中の愛)
 (I Saw the Light)
所詮は同じこと
 (It Wouldn't Have Made Any Difference)
ウルフマン・ジャック
 (Wolfman Jack)
冷たい朝の光
 (Cold Morning Light)
イット・テイクス・トゥー・トゥ・タンゴ
 (It Takes Two to Tango (This Is For the Girls))
甘い想い出
 (Sweeter Memories)

SDE2
イントロ
 (Intro)
ブレスレス
 (Breathless)
ナイト・ザ・カルーゼル・バーント・ダウン
 (Night the Carousel Burnt Down)
セイヴィング・グレイス
 (Saving Grace)
マーリーン
 (Marlene)
ソング・オブ・ザ・ヴァイキング
 (Song of the Viking)
アイ・ウェント・トゥ・ザ・ミラー
 (I Went to the Mirror)

SDE3
ブラック・マリア
 (Black Maria)
ワン・モア・デイ
 (One More Day (No Word))
伝えられずにいられない
 (Couldn't I Just Tell You)
トーチ・ソング
 (Torch Song)
小さな赤い灯
 (Little Red Lights)
オーヴァーチュア/マイ・ルーツ:マネー~メッシン・ウィズ・ザ・キッド
 (Overture- My Roots: Money (That's What I Want) / Messin' With The Kid)

SDE4
風に舞うほこり
 (Dust in the Wind)
ピス・アローン
 (Piss Aaron)
ハロー・イッツ・ミー
 (Hello It's Me)
サム・フォークス・イズ・イーヴン・ホワイター・ザン・ミー
 (Some Folks Is Even Whiter Than Me)
ユー・レフト・ミー・ソア
 (You Left Me Sore)
スラット
 (Slut)


前回、
U2の話の中で、
1987年…新婚当時、
経済的にまったく余裕のなかった年に、
2枚だけ手に入れたLPの1枚が
『ヨシュアトゥリー』であったと言いましたが、
その、
もう1枚というのが、
トッド・ラングレンの『サムシング / エニシング』でした。

トッド・ラングレンといえば、
その昔、
『ミュージックライフ』誌で、
ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズと、
顔の長さを争っていたことが印象に残っていて、
不覚にも、
ずっと、
お笑い系というか…、
マジメなミュージシャンではないと思っていました。

その後、
1978年頃、
ユートピアのメンバーとして来日し、
テレビの音楽番組に出演した彼を見て、
初めてミュージシャンとして認識するに至るのですが、
当時はCHAR以外に愛用者を知らなかった、
黒いフェンダー・ムスタングを抱え、
SFっぽい、
プログレがかったハードロックを演奏するトッドは、
とても新鮮に映ったものです。

ただ、
その当時すでに、
トッド・ラングレンはソロとユートピアの活動を並行させ、
一方プロデューサーとしても活躍していて、
たくさんのレコードを出していたので、
どこから聴いたらよいのか、
少々取っつきづらい存在でした。
その上、
ソロアルバムの多くは廃盤になっていて、
中古レコード屋で高値がついていました。
これも影響したのか、
私が彼に近づくまでには、
その後数年を必要としたのです。

1986年。
アメリカのライノが、
トッド・ラングレンの作品の販売権を手に入れ、
すべての作品を最発することになりました。
このタイミングで、
音楽雑誌がこぞって彼の特集を組み、
ようやく私は彼に近づくことができるようになりました。

そして、
多くの音楽評論家から高い評価を得ているのが、
この『サムシング / エニシング』だということがわかり、
経済的に余裕がない状況で2枚組はキビシかったのですが、
清水の舞台から飛び降りる勢いで、
手に入れたのでした。

結局、
こんなに聴きこんだ2枚組の作品は他にない、
という程の愛聴盤になりました。

LP時代は4面に分かれており、
3面までは、
トッド・ラングレンが一人ですべての楽器を操り、
多重録音をした作品、
最後の4面だけが、
多数のゲストを招いた、
バンド形態になっています。

当時はリズムガイドなどもなく、
おそらくドラムから順に録音したのでしょうが、
ときにリズムが早くなったり遅くなったり、
そしてそのツジツマというか帳尻を合わすべく、
ギターやピアノのフレーズが入っていたり、
相当な苦労の跡がうかがえるのですが、
それも作品の一部になっているのが、
素晴らしいところです。

SIDE2はシンセサイザーを駆使し、
後のユートピアに通じるような、
スペイシーなサウンドを展開していますが、
その他は、
ハードロックあり、
ロマンティックなバラードあり、
フォーク調の曲ありで、
まるで、
おもちゃ箱をひっくり返したようにバラエティに富んだ楽曲が並んでいます。

しかし、
全体は、
ソウルっぽいコード感覚とピアノを中心としたアレンジに支配されていて、
楽曲のバラエティの割には散漫な印象は受けません。

この感じは、
トッド・ラングレン特有のもので、
キャロル・キングの男性版、
ステーヴィー・ワンダーの白人版とでも言えばいいでしょうか…、
ただし、
ちょっとハードロックっぽく、
そしてホーンよりもコーラスを重視していて、
その部分は、
ビーチボーイズ的というか…、
変なたとえですが、
山下達郎っぽかったりして、
たいへんコダワリを感じる部分ですが、
一聴して彼とわかる、
特有のサウンドを構築しています。

ソウル、
ピアノ、
ハードロック、
コーラス、
プログレッシブロック…、
このへんが彼を語る上でのキーワードでしょうね。

そして、
基本的にはギタリストというか、
ギターが大好きなようで、
ギターソロを弾くと、
かなりプッツンいっちゃうというか、
のけぞっちゃっています。

このへんの、
きっちり作っているのに少々ほころんでいる部分があるのが、
とてもほほえましいですね。

個人的には、
SIDE1の6曲が強力なのと、
(とくにアタマの3曲とタイトル通り大甘の「甘い想い出」)
THE WHOみたいに12弦ギターをかき鳴らす、
「伝えられずにいられない(Couldn't I Just Tell You)」、
そして永遠の名曲、
「ハロー・イッツ・ミー」が気に入って、
とにかく、
よく聴きこんだものです。



また、
ミュージシャンとしては、
やはり、
マルチプレイヤーの面にアコガレ、
一人でも音楽はできるというか…、
一人でやれば妥協せずに、
100%自分のやりたい音が出せるという点に興味を持ちました。

当時の私は、
バンド活動を休止していたのですが、
ここから一人で多重録音をするべく、
少しずつ機材を集め始めることになります。

私が最低限の機材による、
多重録音のソロ作品を完成させたのは、
1990年のこと…、
以降、
1991年、1992年にそれぞれ1作ずつ、
計3作品を残すに至ったのは、
トッド・ラングレンのおかげ、
というより、
この『サムシング / エニシング』を聴いたからでしょうね。

さらに、
ギタリストもピアノを扱えるようになって、
コード感覚を磨くべきだと思い、
ヤマハのサンプリングシンセを手に入れ、
バイエル1冊を独学でこなすに至るわけですが、
これも間違いなくトッドからの影響です。

これ以降の私は、
ギターを中心に楽曲を考えるのではなく、
あくまでも楽曲優先に考え、
ギターはその表現手段のひとつ、
と考えるようになりました、

この主張が今に至ります。

そう考えると、
今の自分があるのは、
この『サムシング / エニシング』による所が大きく、
あのとき、
かなり無理をして購入したことは、
とても価値があったと思う次第です。

↓最近の映像で、ホール&オーツと共演した映像です。


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★ ILLUSTRATION BY nyao