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「web-magazine GYAN GYAN」では、第三者的な視点でロックを検証してきましたが、当サイトではプライベートな感覚で、より身近にロックを語ってみたいと思います。
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  ★ プロフィール
HN:
matsuZACK
年齢:
62
性別:
男性
誕生日:
1962/02/15
自己紹介:
matsuZACKです。
“下天のうちをくらぶれば~”の年齢に到達してしまいました。
ミュージシャンを目指したり、
音楽評論家や文筆業を目指したり、
いろいろと人生の奔流に抵抗してきましたが、
どうやらなすがままに、
フツーの人におさまりつつあります。
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★2013/09/08 (Sun)
ジミヘンのアルバムを聴く…

何年ぶりだろうか?
なにしろ、
かなりご無沙汰である。

きっかけは、
NHKの「あまちゃん」を見ていたら、
ユイちゃんが新しいカレシのことを、
ハゼとジミ・ヘンドリックスを足したような顔…
と言っていたからだ。

ユイちゃんが言っていたから…(笑)

ここ10年ほど、
ジミヘンを聴きたくなると、
決まって2枚のアルバムを引っぱり出してくる。

『エレクトリック・レディ・ランド』と、
かつて『炎のライブ』という邦題がついていた
『The Jimi Hendrix Concerts』である。

『炎のライブ』は、
ジミヘンの作品の権利関係が変わってしまったため、
現行のラインナップにはなく、
入手が困難になっている。
ところが、
コイツがケタ違いのライブアルバムなのだ。

ジミのギターにミッチのドラムスが応える。
ときに寄り添い、ときに対峙し、
コール&レスポンスを繰り返すことで、
聴衆をコントロールする。

意外と健闘しているのがノエルのベースだ。
地を這うようなトーンで、
しっかりとミッチのツーバスに重なる。
リズムがソリッドでヘヴィなおかげで、
全体が引き締まっている。

ジミのギターは、
とっちらかったままではなく、
まとめるところはいつになく綺麗にまとめている。
そんなプレイばかりが収録されているのだ。

「Fire」
「I don't live today」
「Red House」
「Stone Free」…
この曲順で演奏されたら、
間違いなく、
このへんでチビってしまうだろう。

それほどすさまじいエネルギーの放出。
資源の節約などとは無縁だ。

やっぱり、ジミヘンはすっげー。

これだけの歳月を経て、
いろいろな音を通過しても、
またもやすっげーと思った。

でも…
いつになっても、
具体的にどこがすごいのか、
指摘することができない。

これは、
他のギタリストたちとは、
一線を画するところだ。

キース・リチャーズは…
ジェフ・ベックは…
リッチー・ブラックモアは…
デイヴ・ギルモアは…

それぞれが、
私にもたらしたものを、
具体的に指摘することができる。

どこがすごいかわかっている。

ジミヘンだけがわからない。
なんだかわからないけど、すっげー。
それがジミヘン。

そういえば、
ジミヘンの曲は一曲も完コピしたことがない。
コピーできないと思ったのか、
意識的にしなかったのか…
そのへんはよく覚えていない。
なにしろ長い付き合いになるのだ。

それにしても…
40年以上も昔に、
いったいこの人は、
何をしたのだろう?

彼のアタマの中にいる悪魔とは、
何者だったんだ?

いまだに理解されない存在。

ロック史上、
天才と呼べるのは、
この人だけかもしれない。


ユイちゃんは知っているのかな?
この名前をヘンな顔を表すときに使ってはいけませんよ(笑)




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★2013/09/01 (Sun)
暑いですね‥
いったん涼しくなった後だから、
よけいにコタエますな‥

暑いと思考回路が鈍るので、
何かを創造する意欲がなくなります。
これは困るんだよね‥(笑)

さて‥
山口冨士夫さんが亡くなってから、
村八分を聴くことが多くなっています。

村八分といえば、
唯一の公式音源は、
1973年5月5日 京大西部講堂での演奏を収めた
『ライブ』です。

これは長らく廃盤でしたが、
私は1984年、
ヴィヴィッドレコードが再発した際に、
手に入れました。
(もちろん、LPです)

ヴォーカルのチャー坊と冨士夫さん以外は
急遽雇われたメンバーだったとか、
制作側が意欲的だったのでとりあえず録音したとか‥
当時はあまり評価が高くありませんでした。

しかし、
なにしろ、
伝説のバンドの音源です。

リズム隊が弱かろうが、
もう一人のギターにまったく存在感がなかろうが、
(この人は、のちのハルヲフォンのドラマーらしい)
チャー坊と冨士夫さんの存在感は圧倒的で、
日本のロック史上類を見ない作品になっています。

『ライブ』はその後CD化されましたが、
注意しなければならないのは、
最後に発売されたバージョンで、
1曲目の「あッ!!」がカットされていることです。

カタワとかメクラとかビッコという
歌詞が問題になったということですが、
この曲がなくては、
『ライブ』の迫力は半減してしまいます。
まったく、
作品の価値を理解しないヤカラのやることは、
よくわかりません。

私は、
紙ジャケ仕様で
ボーナストラックが1曲追加されているヴァージョンのCDを持っていますが、
このボーナストラック「ゴミ箱のふた」が素晴らしい。

曲調は、
『ライブ』本編に収録されている「のびてぶぎー」とか、
ローリングストーンズの「シェイク・ユア・ヒップス」のパターンそのままで…
(『メインストリートのならず者』に収録)
どうやら富士夫さんはこのパターンがお気に入りらしく、
タンブリングス時代にも「Bun Bun」という作品を残しています…
シンプルこの上ないのですが、
リズム隊、
とくにドラマーのプレイがよいので、
聴きモノです。

そして、
なによりも、
歌詞に味わいがあります。

村八分は、
音楽媒体がCDになってから、
たくさんの未発表作品を発表しましたが、
その中でとくに評価が高いのは、
1971年のスタジオ録音をまとめた『くたびれて』です。

ヴォーカルと演奏のミキシングのバランスはイマイチですが、
『ライブ』の物足りなさを解消してくれる作品です。

リズム隊は、
ドラムスに上原裕さん(のち山下達郎のシュガーベイブ…このときわずか17歳)
ベースに青木眞一さん(こちらは外道、タンブリングス)
で、
なにしろ強力です。

ビートがグイグイ、
うねるように迫ってきて、
『ライブ』のようにヨレルことはありません。

先の「ゴミ箱のふた」はもしかすると、
このメンバーで録音された可能性があるということなので、
なるほどです。

『くたびれて』のタイトル曲は、
チャー坊という稀代のヴォーカリストの本領が発揮された名曲で、
なんというか…
ローリング・ストーンズのもつ疲労感を、
見事に日本語の簡単な単語で表現しています。

あるいても あるいても
はてどなく はてどなく
にぎりしめた手のひらは
あせばかり あせばかり

20歳の若さにしてこの老成ぶり…
いったい何にこんなに疲れていたのでしょう?

ローリング・ストーンズのフォロワー、
日本にもたくさんあれど、
ここまで本質を捉え、
自分達の言葉に置き換えた人を、
他に見たことがありません。

チャー坊もまた、
すでにこの世の人ではなく、
今は残された作品で、
その才能を偲ぶだけですが、
富士夫さんのギターといい、
これが1971年の作品というのは、
とても信じられないことです。

日本に、
突然変異のように誕生した、
ローリング・ストーンズの落とし子…
村八分を聴くたびに、
そんな言葉が浮かんできます。

誰か、
しっかりとマネジメントして、
もっと作品を残していたら、
とんでもない存在になっていたのではないでしょうか?

さて、
そんな富士夫さんの作品をネットで探していたら、
なんと…
裸のラリーズの音源…
最近、
海外で再発された作品が逆輸入されているようで、
幻の名盤といわれた『77 LIVE』のリメイクや、
富士夫さんが在籍した1980〜81年のライブ集(6枚組…)
など、
貴重なアイテムを多数見つけてしまい、
大人買いをしてしまいました。

今年の秋は、
ラリパッパになってしまうかも…(笑)
でもそれは、
夏の猛暑のおかげではありませんよ。


★2013/08/25 (Sun)
シガーロスのことを、
さわやかな日曜の午前中に
話題にするべき音ではないと言いましたが、

この夏は、
そのようなサウンドの大物にして老舗、
ブラック・サバスが、

なんと35年ぶりに、
トニー・アイオミ、オジー・オズボーン、ギーザー・バトラーという、
オリジナル・メンバーによるニュー・アルバムを発表しました。

これがいい…じつにいいのです。

このような企画で、
老舗のバンドが再結成されると、
どことなく中途半端な音…
かつての音をなぞりながら、
ミョーに時代を意識した音…
を作りがちですが、
サバスは違いました。

徹頭徹尾、
サバス・サウンド…
そうです、
4枚目ぐらいまでの、
あの、
オリジナル・サバス・サウンドが、
見事に復活しているのです。

ここには、迷いなど微塵も感じられません。

オリジナルメンバーといいましたが、
一人だけ、
ドラマーはビル・ウォードではなく、
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのブラッド・ウィルクに交替していますが、
かえってこれがよかったのではないでしょうか?

他のメンバーより、
かなり若いせいか、
ビートがパワフルで、
それがバンド全体をうまくリードしています。

その若いドラマーに負けじと弾きまくり、
剛腕ぶりをアピールしているのが、
ベースのギーザー・バトラーで、
そのソリッドさには目を見張るものがあります。

多くの人は、
サバス・サウンドから、
どことなく頑なで不器用な感じを受けるかもしれませんが、
ギーザー・バトラーのベースは昔から、
しなやかで変幻自在でした。

トニー・アイオミのギタープレイも、
じつは、
繊細で神経質なタッチをしており、
ピッキングやビブラートなどは
かなり細やかにコントロールされたものになっております。

今回は、
アコースティックギターを、
さりげなくオーバーダビングする場面も多く、
サウンド全体に洗練されたイメージを与えています。

どちらかと言うと、
ビル・ウォードが不器用な感じだったので、
今回のメンバーチェンジは、
サバス・サウンドを現代に蘇らせることに、
功を奏したのだと言えるでしょう。

そして…、
オジーは相変わらず、
グニャグニャした、
不安定な音程と不安定なリズムで、
独特のパフォーマンスを展開しています。

健在ですなぁ…
やっぱサバスはオジーでないと‥

1曲目の「エンド・オブ・ザ・ビギニング」なんて、
まさに、
ファーストアルバム1曲目の「ブラック・サバス」そのもの。

多少のバリエーションはあるものの、
基本的にリフ中心、ミディアム・テンポ中心の、
単調な曲で構成されているので、
少し油断すると、
あっという間に意識を失い(笑)、
いつのまにかエンディングを迎えていたりしますが、
それもサバス・サウンドらしくて、
たいへんよろしいと思います。
(昔から、
下手にバラエティに富ませると、
評判を落とす傾向あり)

ここまで徹底されると、
気持ちいいですね。

今後の活動に要注意です。

★2013/08/20 (Tue)
迂闊にも‥

旅行中、
ニュースなどをチェックしていなかったので、
昨日まで知りませんでした。

山口冨士夫さんが亡くなっていたことを‥

8月14日に逝去。享年64歳。

1ヶ月前に福生駅前でちょっとしたトラブルがあり、
入院していたとのこと。

事件と死因の因果関係は調査中。
持病の糖尿病もかなり悪かったらしい。

などなど‥

すっきりしない情報ばかりですが、

“らしい”なぁ‥
冨士夫さんはいつまでも冨士夫さん。
ろけんろーるですよ。

私は‥
18の頃かな?
(1980年頃)
日本でいちばん好きなギタリスト‥
というか‥
ジョニー・サンダースと横並びで評価していた時期がありました。

なにしろ、
リズム感やチョーキングのセンスが、
日本人っぽくなかった‥
そのわりに、
日本語的な表現にこだわっていて、
圧倒的な存在感を誇っていました。

「からかわないで」とか
「酔いどれ天使」なんか好きですね。

当時はタンブリングス‥
当初はタンブリング・ダウンと名乗っていたような記憶が‥
を結成した直後でした。

写真で見たかぎりでは、
RCのチャボに似ているかな?
と思っていたのですが、
実物を見てビックリ!
コワっ‥マジでビビるほどの迫力でした。

当然、
村八分は後追いでしたが、
あの時代にあのギターはあり得ません!
欧米リアルタイムのギターですよ。

チャック・ベリーやキースがそこにいるような感じ‥
リードを弾くと彼らよりウマイ!

裸のラリーズに参加したり、
ルイズルイス加部さんとリゾートを結成したり、
もっとたくさんの音を聴きたいと思ったものです。
(余談ですが、リゾートはカッコよかっただろうなぁ‥)

まぁ‥
私が50を越えたので、
かつてアコガレたミュージシャンもそれなりの年齢に達していますが、
訃報に接するたびに、
諸行無常を感じます。

天国でジミヘンに会えたかな?


⇩若い頃はなにしろコワイ





⇩1980年代はボブ・マーリィっぽい



⇩このまま100までいってほしかった





永遠のアンファン・テリブルに合掌‥
★2013/08/11 (Sun)

シガーロス(SIGUR ROS)の新作

『クウェイカー(Kveikur)』を聴いています。

これは、

なんというか…

最初の一音で終わってしまう音…

ハイタイドや

フラワートラヴェリンバンド時代の石間さんのギターのような、

奈落が見えるような音…

なにしろ、

しばらく耳にしていなかった系統の音です。

PILの『フラワーズ・オブ・ロマンス』に近い、

インダストリー系のリズムパターンと

ノイジーなギターが、

まるで情景を切り取るような音を構築する中、

一筋の光のような…

そう、霧の中に一筋の光が差し込むように、

ヴォーカルが切り込んでくる…

この瞬間の美しさは絶品です。

なぜか、

ヴォーカルがピュアなのです。

こんなところがビョークと比較される部分なのでしょうが、

ガシャガシャのリズムと霧がかかったようなギターとの対比が

実に素晴らしい。

芸術的です。

アイスランド出身ということで、

なるほど…

つまりはユーロロックの仲間とらえれば、

無理なく理解できます。

最近、

現代音楽に触れるようになり、

もう一度、

そのへんに近いユーロロック…

スイスのアイランドとか、

ベルギーのユニヴェルゼロなんかを聴くようになっていたので…

そうです…この音は、

“ユーロロック”です。

そう考えると、

自分の中での位置付けが明確になります。

この音は、

今年のような、

例年にない灼熱の夏の深夜に聴くと、

たいへん効能があるようです。

なんというか…

宇宙と一体になれるような気になるのです。

そして、

冬になったら酷寒の深夜にも聴いてみたいと思います。

いずれにしても、

さわやかな日曜の午前中に

話題にするべき音ではありませんね(笑)

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★ ILLUSTRATION BY nyao